世界的に注目される植物性食品ですが、今回のコラム記事では、中でも飲料とデザートにフォーカスし、地域ごとのトレンドと市販品を紹介します。今回取り上げる北・南アメリカ地域のトレンド傾向としては、砂糖不使用・減量製品です。これにはケトジェニックダイエットの流行やCOVID-19による健康意識の変化に起因していると考えられています。
アメリカにおける植物性飲料の主な購入理由は、健康上の理由からです。しかし乳製品に比べて味が劣るという理由から、いまだ購買層は健康志向層に限定されています。実際にアメリカの成人の40%が、植物性飲料は味が劣るという理由から乳製品の代替品を利用していません。そのような中でもアーモンドミルクは、オーツミルクや豆乳、ココナツミルクに比べて味が良く、健康イメージも良いため、乳製品代替としてもっともよく飲まれる植物性飲料だそうです。
こちらに北アメリカ地域の商品カテゴリごとの発売数推移を示しました。ここ数年で植物性飲料および植物性アイスクリーム・フローズンヨーグルトの発売数割合が伸びています。メーカーはよりクリーミーな飲み口を再現すべく、ひまわり油を活用しています。また、植物性アイスクリームでは、遺伝子組み換えフリーを訴求した商品が伸びているそうです。
こちらの商品はインゲン豆由来のたんぱく質を使用した植物性飲料です。ひまわり油やひまわり由来のレシチン、その他増粘多糖類を使用することで、乳製品に近い飲み口を再現しています。また、遺伝子組み換え食品やグルテン、ナッツ類不使用かつ、DHAを配合している点も特徴です。
原料は水、エンドウたんぱく、ひまわり油、ビタミン類、DHA、pH調整剤、レシチン、食塩、保存料安定剤です。
ケトジェニックダイエットとは、糖質を制限し脂質を積極的に摂取することで、体のエネルギー源を炭水化物ではなくケトン体にしていくダイエットのことです。アメリカの成人の約3人に1人がこのケトジェニックダイエットをしている、または興味を持っており、その認知度の高さが窺えます。ケトジェニックダイエットでは炭水化物を制限する必要があるため、砂糖不使用・減量製品が徐々に増えてきています。
こちらは、北アメリカで発売された植物性飲料・デザートのうち、砂糖不使用・減量を訴求する製品の発売数推移のデータです。左からNo added sugar(砂糖不使用)、Low/reduced sugar(砂糖減量)、Sugar-free(1食あたり砂糖が0.5g以下)の訴求製品を年月ごとに示しています。市場自体は小さいものの、ここ最近伸びているのが分かります。
こちらはケトフレンドリーを謳ったシナモンロール味のココナッツベースの植物性飲料です。1食あたり5gのMCTオイル、1g以下の炭水化物、ビタミン類などを含みます。脂質をエネルギー源にするケトジェニックダイエットでは、良質な脂質を摂取することも大切です。
原料は水、ココナッツクリーム、MCTオイル、ココナッツオイル、エンドウたんぱく、炭酸カルシウム、レシチン、天然香料、食塩、シナモン、ジェランガム、ステビア抽出物、シナモン抽出物、ビタミン類です。
こちらは砂糖を減量した植物性ヨーグルトです。ベースはアーモンドで、非遺伝子組み換えの大豆たんぱくを含み、ヴィーガンやケトジェニックダイエット向けの商品になっています。
原料はアーモンドミルク、大豆たんぱく、ココナッツクリーム、デンプン、キビ砂糖、ソラマメたんぱく、天然香料、天然着色料、ローカストビーンガム、酵母エキス、キサンタンガム、ステビア、スターターです。
ラテンアメリカ地域では、COVID-19による影響から運動したり外出したりする機会が減ったことで、砂糖不使用・減量製品に注目が集まりました。実際にそのような製品の発売数推移を以下に示しています。特に砂糖不使用製品の発売数の伸びが著しく、植物性飲料・デザートのうち、砂糖不使用・減量製品の発売数はこの1年で約35%も増えました。(2021-2022 vs 2020-2021)
こちらはアーモンドベースの植物性飲料で、ひまわり油由来のレシチンや増粘多糖類を使用しています。砂糖不使用で1食あたり25kcalです。Nescafé社のコーヒーがセットでつくのが特徴です。
原料はアーモンドペースト、安定剤、レシチン、食塩、増粘剤、ビタミン類です。
こちらの商品はココナッツベースの植物性ヨーグルトで、砂糖不使用、トランス脂肪酸不使用です。ビタミンを添加することで栄養強化している点も特徴です。160g入りで約2ドルです。
原料は水、ココナッツクリーム、白ブドウ果汁、イチゴ、デンプン、植物性たんぱく、増粘剤、イチゴ香料、スターター、ビタミン類です。
北・南アメリカ地域ではケトジェニックダイエットや健康を意識した砂糖不使用・減量製品が特徴でした。また、乳製品のような飲み口を再現するためにひまわり油や増粘多糖類を活用する製品が多く見られました。そのほかの地域での市販品は下記リンクからご覧いただけます。
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