アメリカにおける食品の軽減税率

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日本では、10月1日から消費税が10%に引き上げとなります。飲食料品やテイクアウトは軽減税率の対象となるため、消費税は現行の8%のままとなりますが、外食には10%の消費税が適用されます。今回のコラムでは、すでに軽減税率が導入されているアメリカでの制度についてご紹介します。(調査年月:2019年9月)

アメリカにおける売上税

アメリカでは、物品の販売時に課税される間接税を売上税(Sales Tax)と呼びます。売上税は、連邦政府ではなく州政府の管轄にあるため、州ごとに税率が設定されています。オレゴン州やデラウェア州のように税率が0%の州もあれば、カリフォルニア州のように9%近くになる州もあります。州によっては、市や郡ごとに税率が設定されているところもあり、そのような場合は州内で売上税率が異なります。
もちろん、食品に関わる軽減税率も州(あるいは市や郡)ごとに異なります。大部分の州ではスーパーマーケット等で販売されている一般的な食料品の税率は0%ですが、イリノイ州など州によっては数%の税率が適用されています。本コラムでは、具体的にニューヨーク州とミシガン州を例に、アメリカにおける食品の軽減税率についてご紹介します。

ニューヨーク州の場合

ニューヨーク州の売上税率は市や郡によって異なります。州の売上税4%に、市や郡ごとの税率が加算され、合計で最大8.75%となっています。例えば、ニューヨーク市における売上税は8.75%、北部にあるナイアガラ郡の売上税は8%です。
食品に関する税金の規定はニューヨーク州政府が定めています。食料品(酒類除く)には軽減税率が導入されており、スーパーマーケット等で販売されている食料品は非課税です。ただし、チョコレートやハニーローストナッツ等の甘いお菓子や、炭酸飲料には通常の売上税が適用されます。ポテトチップスやプレッツェル等のスナック、ドライフルーツも基本的には非課税ですが、砂糖やチョコレートでコーティングされている場合は売上税が加算されます。
そしてニューヨーク州では、下記のいずれかに該当する食品に対し、一般的に通常の売上税が適用となります。
・温かい状態で販売されている食品
・レストランやフードコート、サラダバー等その場で消費するために販売されている食品
・その場で消費するか否かに関わらず販売者が調理しており、すぐに食べることができる状
態の食品(温かい状態か否かに関わらず)

例えば、ピザの場合、冷凍もしくは冷蔵の温められていない状態であれば非課税、お店で温められた状態になると売上税が適用されます。また、野菜サラダは、袋詰めで売られている場合は非課税、セルフサービスのサラダバーやお皿に持った状態で提供される場合は課税対象となります。なお、外食や宅配、ケータリングは基本的に売上税が適用されます。

ミシガン州の場合

デトロイトがあるミシガン州の売上税率は6%です。ミシガン州では、市や郡ごとの税率は設定されておらず、州内全ての地域で同じ率の売上税が適用となります。
食料品には軽減税率が導入されており、スーパーマーケット等で販売されている食料品(酒類除く)は非課税です。なお、ミシガン州では、炭酸飲料や菓子類も非課税となっています。
一方、ミシガン州では基本的に「調理済み食品(Prepared food)」が課税対象と定められており、外食(ファーストフードの店内飲食を含む)、ドライブスルー、宅配、ケータリングには6%の売上税が適用されます。州政府は下記のいずれかに該当する場合を「調理済み食品」と定めています。
・温かい状態の食品、もしくは売り手によって温められた食品
・売り手によって、2種類以上の材料を混ぜ合わせるもしくは組み合わせられた食品
・売り手によって食器類が提供される食品。食器類には、ナイフ、フォーク、スプーン、グラス、カップ、ナプキン、ストロー、皿等を含み、持ち運び用の容器は含まれない

例えば、コンビニエンスストアの店内で温めた状態で販売されているホットドッグは課税対象となります。一方、第三者が調理したサンドイッチを、コンビニエンスストアで冷たい状態かつ食器類を提供せずに販売する場合は非課税です。
また、ベーカリー商品(パン、ベーグル、クロワッサン、ドーナツ、マフィン、パイ、クッキー等)については、これらの商品そのものは非課税ですが、ベーグルを注文し、店員にスライス、温め、クリームチーズを塗ってもらうと調理済み食品となり6%の売上税が加算されます。

軽減税率が与える影響は?

以上のように、アメリカでは、州(あるいは市や郡)によって売上税の税率が異なります。そして、一般的な食料品においても、炭酸飲料や菓子類が課税対象になったり、非課税となったり、州によって規則が異なることがわかります。一方、ニューヨーク州やミシガン州の例からもわかる通り、「温められた状態であれば課税」、「すぐに食べることができる状態であれば課税」となっているように、それぞれの州ごとに細かい規定はあるものの、アメリカの多くの州では、売り手がその食品に手間をかけているかどうかが、課税か非課税かの線引きになっているようです。
こういった軽減税率の有無によって、消費者の購買行動に影響は出るのでしょうか。個人や、住む地域によって考え方はそれぞれ異なりますが、筆者の考えでは、わずかながら影響が出るように思います。一般的には、非課税となるから敢えて冷たい状態の商品を購入するのではなく、購入したい商品が温められた状態のもので課税対象であれば、税金を支払って温かい商品を購入する消費者が多いように見受けられます。しかし、大家族でたくさん購入する場合等、税金によって金額に大きな差が出る際には、消費者の行動も変わってくることもあるでしょう。また、州境の地域に住む消費者であれば、例えば、炭酸飲料や菓子類をまとめ買いしたいが、住んでいる州ではこれらの商品が課税対象になる一方、隣接する州では非課税となる場合、後者の州で購入することも考えられるでしょう。

※参考資料
●ニューヨーク州
https://www.tax.ny.gov/pubs_and_bulls/tg_bulletins/st/food_sold_by_food_stores.htm
https://www.tax.ny.gov/pubs_and_bulls/tg_bulletins/st/sales_by_restaurants.htm
https://www.tax.ny.gov/pubs_and_bulls/tg_bulletins/st/caterers_and_catering_services.htm

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