ハイドロコロイドの基礎
~ペクチン・カラギナンなど徹底解説~
ジェランガムは、水溶性の天然多糖類の一種です。特に脱アセチル化ジェランガムはカルシウムなど反応して透明性の高い固いゲルを形成します。耐熱性ゲルであることを活かして様々な食品に応用されています。ジェランガムの基礎から食品への応用例までご説明します。
目次
ジェランガムとは、グルコースなどを栄養源にスフィンゴモナス・エロディア(Sphingomonas elodea)という微生物を培養することで製造されます。発酵により産出した多糖類を分離・精製してジェランガムが作られます。
ジェランガムは、直鎖状をしており、4つの糖分子の繰り返しの構造を持ちます。その構成は、グルコース、グルクロン酸、グルコースとL-ラムノースの反復ユニットで構成されています。後述しますが、ジェランガムにはネイティブ型ジェランガム(HAジェランガム)と脱アシル型ジェランガム(LAジェランガム)があります。それぞれの構造を左に示します。(Hongbin Z. et al., Applications of natural polymer-basedhydrogels in the food industry, 2020. クリックして拡大)
製造工程は、種菌であるスフィンゴモナス・エロディア(Sphingomonas elodea)が糖類を発酵した後で回収し、精製、乾燥、粉砕という工程で製造されます。発酵の後、脱アシル化工程を経て精製されたものが脱アシル型ジェランガム(LAジェランガム)で、一般的にジェランガムと呼ばれるのはこのタイプです。脱アシル化工程を経ないものがネイティブジェランガム(HAジェランガム)です。
~ペクチン・カラギナンなど徹底解説~
ジェランガムは、海藻由来のゲル化剤と比べて強いゲルを形成する特性を持ちます。ジェランガムには、ネイティブ型ジェランガム(HAジェランガム)と脱アシル型ジェランガム(LAジェランガム)の2種類があります。それぞれの特性の違いやアプリケーション例について解説します。
2つのタイプのジェランガムは、多くの異なった特性を有しています。特性の一部をこちらの表に示しました。
脱アシルジェランガム | ネイティブ型ジェランガム | |
---|---|---|
ゲルの食感 | 硬く、もろい | 弾力が強く、しなやか |
ゲルの見た目 | 透明 | 不透明(~3か月) |
離水量 | 多い | 少ない |
冷凍耐性 | なし | あり |
溶解温度 | 約90℃ | 約80℃ |
ゲル化温度 | 約40℃ | 約70℃ |
ゲル化要因 | Ca, K, Mgなどのイオン | 70℃以下の温度 |
~ペクチン・カラギナンなど徹底解説~
ジェランガムは、それぞれの種類で、主に次のように食品に利用されています。
下記にて、ジェランガムの使い方の使用例を紹介していきたいと思います。
ゲル化剤、増粘剤、安定剤などに利用されています。
・ゼリー…ゼラチンのような餅食感の弾力のあるやわらかいゼリーになります。離水を防ぐことができます。和風デザートにも利用されています。
・グミやマシュマロ、ヨーグルト…融点を高めたり、保水性や保形性を高めたりします。
・ジャムやプリン…テクスチャーを改良し、温度安定性、離水防止による安定性が増します。
・ココア飲料、ドレッシング、ソース…下に固形物が沈まず、溶液中に分散安定します。
ゲル化剤として多く利用されています。
・ゼリー…透明なゼリーを作る上に、耐酸性、耐熱性により安定性が向上します。
・ジャムやグミ、ソース類…耐熱性により、安定性の向上などが期待できます。
・デザート食品類…保形性を高めます。
・小麦粉製品…糖の結晶析出防止によりツヤが出ます。
~ペクチン・カラギナンなど徹底解説~
ジェランガムは、食品分野では、実に多様なカテゴリの食品に活用されています。ぜひ商品開発にお役立てください。
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食品の水分保持、増粘、ゲル化、安定化を目的として
使用される増粘多糖類の一種である
ハイドロコロイドの基礎を徹底解説します。
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