ハイドロコロイドの基礎
~ペクチン・カラギナンなど徹底解説~
寒天とは、日本では古来から使われている多糖類の一種で、食品分野ではゼリー、和菓子、デザート類、つくだ煮類、介護食などに活用されています。寒天の基礎から食品への応用例まで解説します。
寒天は、古くは江戸時代初期、現在の京都府に、ところてんが冬に凍り、乾物化したことで偶然発見されたといわれています。その後日本では、寒天を活用した練り羊羹が開発され、和菓子に広く使われてきました。また現代においては、食物繊維の生理機能を持ち、便通改善による健康増進効果が証明されたことから、特定保健用食品として許可されています。
寒天の原料は、テングサ科、オゴノリ科などの紅藻類です。第二次世界大戦前までは日本での生産が主流でしたが、現在ではチリ産が世界の8割を占めています。この中に存在する粘性物質を抽出することにより得られます。
寒天には糸寒天、角寒天、粉末寒天、フレーク寒天などがあります。
寒天の基本的な製造工程は、まず原料となる紅藻類をアルカリ処理、水洗いして異物を除去します。そして煮沸し硫酸や酢酸で微酸性にして抽出します。その後、ろ過、冷却によりゲル化させてから凍結乾燥することで糸寒天や角寒天ができあがります。そこから粉末状に粒砕したものが、粉末寒天です。また、粒度を調製したものがフレーク寒天です。
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寒天の特性と共に、低粘度寒天と高粘度寒天の2種類の特徴をみていきましょう。
・溶解性・ゲル化
沸騰している水の中で溶けて水溶液になり、冷却することで凝固しゲルを形成します。加熱により再溶解される、つまり熱可逆性を持ちます。このゲルは耐熱性が高く、沸騰させる必要があるのが特徴です。
・離水性
離水が多い性質を持ちます。これは、寒天が構造的に水を抱える力が小さいことに起因します。
・低粘度寒天
弱いゲルであることから、はちみつなどに添加してスプレッド性を持たせるなどの用途に活用されています。また、くちどけの良さも提供します。さらに、スポンジケーキなどの保水性を高める、焼き縮みを防ぐといった効果も考えられます。
・高粘度寒天
重合度の大きな寒天を含む海藻から、寒天分子が加水分解しないように抽出した寒天です。ゲル強度は強くないものの、粘性が高く、ゲルを変形させても崩れたり、切れたりしにくいという特徴を持ちます。細工が必要な和菓子などに活用されます。
寒天を使うメリットは少量添加で高いゲル強度を得られることやサクイ食感からあっさりとした食べ口やフレーバーリリースが良いことです。溶解性が悪く扱いにくいことや固い食感が欠点とされていましたが技術進歩により様々な特性を持つ寒天が誕生し加工食品に応用されています。
ゼリー…耐熱性、透明性が高く、もろいものの、硬いゼリーを作るのに活用されます。
羊羹やところてんなどの和菓子…和菓子に適している理由としては、糖と寒天を併用することにより、固くなり、透明度が上がることなどが挙げられます。
デザート…耐熱性を加えることができるほか、保形性やテクスチャーの改善につながります。
介護食…そのテクスチャーから介護食に適している上に、耐熱性に優れており、温めていただく場合も保形性があるので形状維持にも役立ちます。
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寒天は、昔からさまざまな食品に活用されてきました。低粘度、高粘度などの種類によっても特性が異なります。それぞれの特性を踏まえた上で、適した食品に有効活用していきましょう。
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