コラーゲンの基礎知識を解説!

このエントリーをはてなブックマークに追加

美容素材として知られるコラーゲンですが、最近はスポーツニュートリション分野やロコモ分野などでも注目を集めています。本コラムでは、コラーゲンの人体での役割や由来原料などの基礎知識から、特殊なアミノ酸配列と人体における機能まで広く解説します。

コラーゲンとは~人体におけるコラーゲンの役割

 コラーゲンは3重らせん構造をとるたんぱく質の一種で、人体のたんぱく質の約1/3を占めています。体内ではこれが繊維状たんぱく質として存在しており、様々な身体構造を構成しています。例えば皮膚では真皮にネットワーク状に存在しており、皮膚の弾力性に寄与しています。また、軟骨にも多く存在しており、骨と骨との接点を覆うことで摩擦や衝撃から骨を保護しています。部位別の構成比を細かく見てみると、腱の85%、靭帯の70%、関節軟骨の70%と、肌以外の部位でもコラーゲンの構成比は大きく、体全体の構造に不可欠な要素であることがよくわかります。

コラーゲンを
使ったレシピ集

~製菓・製パン・デザート~

ダウンロードはこちら

製造方法から分かるコラーゲンペプチド、ゼラチンとの違い

 コラーゲンの由来原料は主に豚皮・牛骨・魚皮で、これら原料からコラーゲンは抽出されます。コラーゲンを使用した製品で良く課題にあがる畜臭や魚臭は、これら原料に由来するものです。そのためメーカーはろ過の方法を工夫したりたんぱく含量など成分の調整を行ったりして、においを抑えています。
 コラーゲンとゼラチンの違い、コラーゲンとコラーゲンペプチドの違いは何でしょうか。コラーゲンもゼラチンも実は原料・アミノ酸組成は同一で、構造が異なっています。製造過程において、まず3重らせん構造を持つ“コラーゲン”(画像上)が原料から抽出されます。この状態では分子鎖が大きく不溶性です。それを変性処理して短い1本鎖にしたのが“ゼラチン”(画像中)です。これをさらに加水分解・酵素分解して断片化したのが“コラーゲンペプチド”(画像下)で、分子鎖がとても短いため水に容易に溶解します。一般的にコラーゲンと呼ばれ流通している物質はこのコラーゲンペプチドを指します。

人体におけるコラーゲンの機能

特殊なアミノ酸配列と体内での輸送について

 コラーゲンのアミノ酸配列は特殊で、アミノ酸組成はグリシンが最も多く約1/3を占め、Gly-X-Yのような他アミノ酸との繰り返し配列になっています。グリシン以外にはプロリン、ヒドロキシプロリン、アラニンが多くを占めており、それらが3重らせん構造を形成し、繊維状のたんぱく質となっています。摂取したコラーゲンは完全なアミノ酸に分解されず、特徴的なペプチドの状態で体内に吸収され、肌や骨、筋肉などコラーゲンが局在する箇所に輸送されることが分かっています。

摂取した際に期待される効果

 コラーゲンにはⅠ型やⅡ型といった種類があり、体内で局在する部位や機能が異なってきます。一般的に流通している多くのコラーゲンはⅠ型で、皮膚に多く存在しています。コラーゲン=肌にいい、という代表的なイメージがあると思いますが、実際にコラーゲンは真皮にネットワーク構造を形成しており、皮膚の弾力性やハリに大きく寄与しています。加齢に伴いこのネットワーク構造が壊れてくると、表皮を支えられなくなって陥没し、シワとして現れます。(画像)また筋肉にも存在することが知られているコラーゲンは、運動後の筋疲労回復や、筋損傷の回復にも寄与するという報告があります。
 一方、流通量の多くないⅡ型コラーゲンは、軟骨に多く存在するコラーゲンです。最近はⅡ型コラーゲンに関する研究も多く、ロコモ対策、フレイル対策としてコラーゲンが注目されています。

コラーゲンを
使ったレシピ集

~製菓・製パン・デザート~

ダウンロードはこちら

加齢によるコラーゲンの減少

Castelo-Branco C. et al., Maturitas (1994) 18:199-206. ■のプロットは 肌コラーゲン量の変化を示す

 コラーゲンは体を支える上で重要なたんぱく質であることが分かりました。しかしコラーゲンは20~30歳をピークとして、右図のように加齢とともに減少します。そのため、日々の食事やサプリメントなどでコラーゲンペプチドを効果的に摂取することが重要です。

コラーゲンペプチドの活用事例

コラーゲンペプチドは機能を有したたんぱく素材であるということがわかりました。
これまでは化粧品や健康食品など、コラーゲンの美容機能に着目した製品・食品が多く販売されてきましたが、最近は、高たんぱく商品や高齢者食のたんぱく補強などの、単純なたんぱく素材としてもコラーゲンペプチドが広く使用されています。

特に昨今、ホエイたんぱくが高騰している(2022年11月現在)影響から、高たんぱく商品のホエイたんぱくの代替としてコラーゲンペプチドがたんぱく源に使用されることが増えてきました。コラーゲンペプチドはホエイたんぱくよりも透明性が高く、ダマになりにくいので、透明性を求められるアプリケーションへの適性や作業性の改善が期待できます。

コラーゲンペプチドはメーカーによって製造工程が異なるため、各社風味や溶解性、物性が異なります。ユニテックフーズでは世界的メーカーのルスロ社のコラーゲンブランドPeptan®を使用しています。ぜひ一度お手に取ってみてください。
ターゲット別のコラーゲンブランドの活用事例をご紹介していますので、下のリンクからご参照ください。

コラーゲンを
使ったレシピ集

~製菓・製パン・デザート~

ダウンロードはこちら

食品開発に関するお役立ち資料を無料進呈

無料!

今注目を集めている食品トレンド情報や
食品開発に関する資料を
無料でご提供しています。
是非この機会にご覧ください。

無料提供資料

今すぐダウンロード

ハイドロコロイドの基礎

無料ダウンロード!

~ペクチン・カラギナンなど徹底解説~

ペクチン、ゼラチン、キサンタンガム、
カラギナンなど
ハイドロコロイドに
ついて徹底解説。
ハイドロコロイドの概要から、
各種の特徴を全75ページにわたって
徹底に解説しています。
是非ご覧ください。

資料内容

  • ハイドロコロイドの概要 
    ~分類、由来原料、産地
  • ハイドロコロイド各論
    (ペクチン、ゼラチン、キサンタンガム、カラギナン、グァーガムなど)
  • 相乗効果、応用例 
    ~他の多糖類との併用
ダウンロードはこちら
ペクチンとは~徹底解説!構造や種類・ゲル化の仕組み

ペクチンの概要と種類、物性改良剤としての機能や使い方のコツについて解説します。

キサンタンガムとは~徹底解説!使い方や特性・構造・効果など

キサンタンガムはどのようなものなのか、特性や他の多糖類との相乗効果について解説します。

カラギナンとは~徹底解説!構造や特徴、効果、安定剤としての用途など

カラギナンはゲル化剤として最も使用されている多糖類の一つです。このカラギナンの概要や種類、特性、ゲル化についてなど、基礎から解説していきます。

ガラクトマンナンとは~基礎から徹底解説

グァーガム、タラガム、ローカストビーンガムなど、ガラクトマンナンの基礎から食品への応用例まで解説していきます。

メチルセルロース(MC)やヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)はどのようなものなのか。特徴や構造、機能について解説しています。

ゼラチンとは~原料や構造・酸とアルカリ処理の違い・等電点による影響など解説

身近なゲル化剤としてよく利用されている「ゼラチン」。様々な原料があること、それによって食感が変わることご存知でしょうか。

アラビアガムとは~基礎から徹底解説

アラビアガムは植物の樹液を原料とする多糖類で、食品分野では増粘安定剤として広く活用されています。その基礎から、食品への応用例までご紹介します。

ジェランガムとは~構造や食品応用例を徹底解説

水溶性の天然多糖類の一種であるジェランガム。構造や種類、それぞれの特性など基礎から、様々な食品への応用例まで、分かりやすく解説します。

アルギン酸とは~構造や製造工程、効果を徹底解説

コンブやワカメなどの褐藻類に含まれ、さまざまな食品に活用されているアルギン酸類。その構造や特性、食品応用例などについて解説します。

多糖類・寒天とは~構造や離水性などの特徴を徹底解説

日本では古くから使われ、馴染み深い寒天。和菓子、洋菓子から介護職まで広く活用されている寒天の基礎知識から、食品応用例まで詳しく解説します。

グルコマンナンとは~基礎から徹底解説

グルコマンナンは食用コンニャクの主成分で、優れた保水性やゲル化能から様々な食品に応用されます。その基礎から食品への応用まで解説します。

加熱してゲル化する添加物カードランの基礎を解説しています。

タマリンドガムの特徴、構造、機能について解説します。

増粘多糖類は様々な食品に使用されていますが、その原料が何に由来しているかはあまり知られていません。今回は増粘多糖類の起源原料についてご紹介します。

食品分野で活用される増粘多糖類。塗料分野でのニーズも高まっているため、その特性をレオロジー的視点から紹介します。

食品開発ラボ 運営会社のご紹介

食品の企画・開発に関わる人のための専門メディア「食品開発ラボ」は、ユニテックフーズ株式会社が運営しています。
当社では創業以来独自の素材・製品で新しい食品の価値を創造することをコンセプトに、ペクチンをはじめとするハイドロコロイドの研究や素材を組み合わせたこれまでにない特性を持つ製品の開発、加えてお客様のご要望に応じた当社製品を実際の食品に用いた利用・応用技術の開発を行っています。
商品企画・開発において何かお困りごとがあれば、きっと当社がお役に立てると思います。
是非お気軽にお問い合わせください。

サイト内検索

人気記事ランキング

  • ペクチンとは~徹底解説!構造や種類・ゲル化の仕組み

    ペクチンとは?
    構造や種類・ゲル化の仕組みなどを徹底解説!

  • 白キクラゲ多糖~概要や効果・食品応用例など徹底解説

    シロキクラゲ多糖体とは?特徴から食品応用例、効果まで徹底解説

  • 「とろとろ」「ぷるぷる」美味しさを引き出す ゲル化剤・増粘剤

    ゲル化剤・増粘剤とは?種類や用途・利用事例をご紹介

  • アルギン酸とは~構造や製造工程、効果を徹底解説

    アルギン酸、アルギン酸類とは~基礎から徹底解説

  • アップサイクル食品とは?

    廃棄寸前食材を活用!サステナブルな社会の実現を目指す「アップサイクル食品」

基礎知識特集

  • ペクチンとは~概要と種類を徹底解説

    ペクチンとは~概要と種類を徹底解説

  • キサンタンガムとは~基礎から徹底解説

    キサンタンガムとは~基礎から徹底解説

  • カラギナンとは~基礎から徹底解説

    カラギナンとは~基礎から徹底解説

  • ガラクトマンナンとは~基礎から徹底解説

    ガラクトマンナンとは~基礎から徹底解説

  • メチルセルロース・HPMCとは~基礎から徹底解説

    メチルセルロース・HPMCとは~基礎から徹底解説

  • ゼラチンとは~基礎から徹底解説

    ゼラチンとは~基礎から徹底解説

  • コラーゲンとは~基礎から徹底解説

    コラーゲンとは~基礎から徹底解説

  • アラビアガムとは~基礎から徹底解説

    アラビアガムとは~基礎から徹底解説

  • ジェランガムとは~基礎から徹底解説

    ジェランガムとは~基礎から徹底解説

  • アルギン酸、アルギン酸類とは~基礎から徹底解説

    アルギン酸、アルギン酸類とは~基礎から徹底解説

  • 寒天とは~基礎から徹底解説

    寒天とは~基礎から徹底解説

  • グルコマンナンとは~基礎から徹底解説

    グルコマンナンとは~基礎から徹底解説