ゼラチンとは~基礎から徹底解説

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身近なゲル化剤としてよく利用されている「ゼラチン」。なんと5,000年以上前の古代エジプト人も利用していたという歴史ある素材です。国内だけでおよそ1万2千トンが流通しています。GRAND VIEW RESEARCH の調査によると2015年の世界のゼラチン市場は41万2700トンと推定されています。優れたゲル化剤としてまだまだ注目されている「ゼラチン」について解説します。

ゼラチンの世界市場動向

ゼラチンの原料や構造~酸とアルカリ処理の違い・等電点による影響とは

ゼラチンは5,000年前の古代エジプト人も利用していたといわれるほど古くから存在してきました。18世紀になるとヨーロッパを中心に工業的に生産されるようになりヨーロッパの多彩な食を支える重要な食材として食文化の発展に貢献してきました。GRAND VIEW RESEARCH の調査によると世界のゼラチン市場は2015年に41.3万トンとなり、今後も年平均成長率5.3%(2016-2024年)で拡大していくと予想されています。食品向けには製菓や乳製品などを中心に拡大しています。日本では中食(特にコンビニエンスストア)で需要が高まっています。また、医薬品では再生医療への展開が注目されています。

ゼラチンの特徴と用途

ゼラチンゲルの特徴

・離水の少ない弾力のある柔らかいゲル
・熱可逆性である(熱をかけると溶けるが冷やすと再度固まる)
・凝固点(固まる温度)が低くセットに時間がかかる
・融点(溶ける温度)が低く30℃程度のためくちどけが良い

ゼラチンの用途

・機能:ゲル化、保水、乳化安定、成膜、接着、保護コロイド
・利用実績:ゼリー、グミ、ヨーグルト、カプセル、畜肉製品、スープなど

ゼラチンの構造とゲル化メカニズム

構造

ゼラチンの素となるのはコラーゲン(タンパク質)繊維です。動物の骨や皮などに含まれるコラーゲン繊維の抽出によってゼラチンは作られています。コラーゲン分子は、アミノ酸が連なった10万の分子量を持つ長い鎖が三重らせんの構造で絡み合っています。熱によってアミノ酸の結合部分が切れることでゼラチンとなります。ランダムで切れるためゼラチンの分子量は数万~数百万の分子量分布となります。

ゲル⇔ゾル メカニズム

ゼラチンは通常40℃以上の温水中ではゾル状態であり、フレキシブルなランダムコイル構造を保っています。これを冷却すると、ゼラチン分子が部分的にヘリックス構造を作ります。この部分同士が接合してネットワークを形成することで流動性を失い、ゲルを作ります。このゲルは熱により簡単にゾルとなり、可逆的にゾル-ゲルの構造変化がおきます。

この加熱、冷却によるゾル⇔ゲル変化はゼラチンの最も大きな特徴のひとつです。例えばゼラチン10%溶液ではゲル化温度(凝固点)はだいたい25℃でゾルからゲルへ、溶解温度(融点)は30℃程度でゲルからゾルへ相変化します。この変化は常温に近い温度帯で可逆的におきるため、ゼラチンゲルの柔らかい口当たりや、くちどけのよさがつくられます。ゲル化温度や溶解温度は、濃度、pH,熱履歴、他ハイドロコロイドとの併用などの影響により、変化します。またゼラチンの原料によってもゲル化温度や溶解温度は異なることが分かっており、特に魚由来のゼラチンは他の原料に比べて5℃~10℃程度低くなることが分かっています。

ゼラチン原料・製造方法による違い(原料の種類、部位)

製造方法

ゼラチンの原料となるのは主に豚や牛の骨や皮です。魚由来のものもありますが、供給量は少なく全体の2%もありません。これら原料を熱水で抽出しても不純物が多く品質が悪くなってしまうため、酸やアルカリで前処理をします。この前処理の違いによってゼラチンの性質も異なります。ちなみに、酸処理ゼラチンをAタイプ、アルカリ処理ゼラチンBタイプともいいます。

酸処理ゼラチンとアルカリ処理ゼラチンの違い

酸処理ゼラチン アルカリ処理ゼラチン
主な原料 豚皮や牛皮 牛骨
原料処理時間 短い(~1週間) 長い(~3か月)
等電点 pH 7.0-9.5 付近 pH 4.8-5.1 付近
物理的性質 低い傾向にある 高い傾向にある
ゲルの特性 歯切れのよいゲル もっちりしたゲル

酸処理ゼラチンは原料処理期間が短く、それによりアルカリ処理ゼラチンに比べると精製度がやや低くなります。アルカリ処理ゼラチンは原料処理期間が長いため、精製度が高くなります。また処理方法も緩やかなため、酸処理ゼラチンに比べるとダメージが少なく物理的性質が保持されています。また、この2つのゼラチンの大きな違いとして等電点の位置の違いがあります。等電点より低いpHではゼラチンの電荷はプラスに、等電点より高いpHではゼラチンの電荷はマイナスになります。カラギナンやキサンタンガムとゼラチンを併用する場合には中性であっても等電点の低いアルカリ処理ゼラチンを使用することが望ましいです。

等電点の違いによる影響

酸処理ゼラチンの等電点は、pH7-9と幅広く、アルカリ処理ゼラチンの等電点はpH5付近とシャープです。これはコラーゲン中のグルタミン、アルギンが脱アミド化されてグルタミン酸、アルギン酸に変化するためです。ゼラチンを使う上では等電点を避けたpHで商品開発することが好ましいといわれています。ゼラチンの等電点付近のpHで使用すると、粘度が低くなったり思っていたほど固まらなかったり、ゲルが濁ったりします。また、カラギナンと併用する場合には、等電点以上でご使用ください。等電点以下ではゼラチンとカラギナンが結合し沈殿してしまいます。

ブルームによる違い

ゼラチンのゲル強度規格はブルーム法と呼ばれる国際的に統一された測定方法で決められています。6.67%ゼラチン溶液を10℃で18時間保持した後、直径1/2インチのプランジャーを4mm貫入させたときの応力をブルームと呼んで規格化しています。様々なブルームが生まれるのは抽出回数によるものです。通常ゼラチンの抽出工程は同じ原料に対して複数回おこなわれます。最初に抽出されたものは高いゲル強度を持ち、後になるほど低くなります。高いブルーム、低いブルームを使い分けることで食感にバリエーションを持たせた商品開発ができるようになりました。

まとめ

長い歴史をもち、流通量も多いゼラチン。スーパーでも買えるほど身近なゲル化剤として親しまれていますが、製造方法や原料、ブルームや粘度など使用するときには様々な因子を考える必要があります。まずは作りたい商品のpHや食感のイメージからゼラチンの選定を始めてみてください。

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