アルギン酸、アルギン酸類とは~基礎から徹底解説

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アルギン酸は多糖類の一種で、コンブやワカメなどの褐藻類に含まれています。ハイドロコロイドとして、さまざまな食品や医薬品、サプリメント、化粧品、繊維加工などに活用されています。アルギン酸やアルギン酸類の基礎から食品への応用例までご説明します。

アルギン酸とは

アルギン酸とは~構造や製造工程、効果を徹底解説

アルギン酸とは、コンブやワカメなどの褐藻類に含まれる多糖類です。褐藻類の細胞間にゼリーの形状で存在しています。これを工業的に抽出し、精製することで製造されています。

構造

アルギン酸の構造はβ-D-マンヌロン酸とα-L-グルロン酸の2種類のウロン酸が直鎖状に重合した高分子多糖類です。分岐する側鎖を持ちません。

アルギン酸の構造中では、マンヌロン酸とグルロン酸はランダムに構成されています。この2種類のウロン酸の比率や配列は海藻の部位、種類などによって変わってきます。また、アルギン酸の性質やゲル化の仕方や強さに強く関係します。アルギン酸の構造を左に示しました。(Zlatica K. et al., Application of hydrocolloids as baking improvers, 2008. クリックして拡大)

製造工程

原料となる海藻を酸処理して軟化させたのちにアルカリ下で加熱することでアルギン酸塩が抽出されます。これを分離、精製してアルギン酸ナトリウム溶液が得られます。ここに酸を加えて凝固析出したものがアルギン酸です。アルギン酸をアルカリ中和することでアルギン酸塩が得られます。

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アルギン酸の産業別 利用用途

アルギン酸の利用用途はさまざまで、食品だけではなく多くの産業で利用されています。

1. 食品産業
食品産業においては、ゼリー状の食品やアイスクリーム、チーズ、パン、ソースなどに加える増粘剤や安定剤として使用され、食品の品質改良を可能にします。

2. 医療産業
医療産業では傷口を覆い治癒を促す医療素材として利用されます。アルギン酸を含む医療素材は、傷口からの出血を止め、傷口を清潔に保ち、治癒を促進します。

3. 農業産業
アルギン酸は植物の成長促進剤として使用されることもあります。アルギン酸を含む肥料は、植物の根の成長を促進し、土壌の保水力を高める効果があるとされています。

4. 繊維産業
アルギン酸は染料の定着剤として使用されます。アルギン酸を含む染料は、繊維により密着し、色落ちを防ぐなど繊維産業においても活用されています。

5. 環境産業
環境産業においてアルギン酸は水処理剤として使用されており、アルギン酸を含む処理剤は、水中の有害物質を吸着し、浄化することが可能です。

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アルギン酸類の種類と特性

アルギン酸には、アルギン酸の他にもアルギン酸ナトリウム、アルギン酸エステルなどのアルギン酸類がたくさんあります。そこで各種アルギン酸の機能や特性を解説します。

アルギン酸

アルギン酸は不溶性です。またアルギン酸は、アルギン酸ナトリウムなどの塩類より熱に弱いという特徴があります。小麦製品の保水性向上や食感改良に利用されています。

アルギン酸ナトリウム

水溶性で冷水でも溶けます。アルギン酸類で最も流通しているのがアルギン酸ナトリウムです。そのためアルギン酸ナトリウムを「アルギン酸」と略して呼ぶことも多くあります。アルギン酸に炭酸ナトリウムなどを加えて製造します。アルギン酸ナトリウムは冷水や温水によく溶けることから、食品に多く活用されています。グレードにより増粘性は異なりますが、なめらかな流動性をもちます。ゲル化剤としては、カルシウムイオンと速やかに反応しゲル化します。果汁のような低pH溶液や乳製品のようなカルシウムが多い食品では不溶性のアルギン酸やアルギン酸カルシウムへ変わってしまうため十分に溶解させることができません。

アルギン酸エステル

水溶性で冷水でも溶けます。アルギン酸の構成糖であるウロン酸のカルボキシル基にプロピレングリコールをエステル結合させた誘導体です。水に溶けると酸性の水溶液となります。そのためアルギン酸ナトリウムと異なり酸性の食品でも増粘・安定効果を発揮することができます。一方で高pHではエステルが分解してしまうため適しません。また乳化効果もあることから、ドレッシングなどの乳化安定剤としての機能も持ちます。

アルギン酸カリウム

水溶性で冷水でも溶けます。アルギン酸ナトリウムとよく似ている性状を持ち、増粘やゲル化用途で使われています。アルギン酸ナトリウムと異なりナトリウム量が少ないため、減塩食品での活用が期待されています。体内のナトリウムイオンを排出することが動物実験で確認されており、生理活性機能の面でも注目されています。

アルギン酸カルシウム

アルギン酸カルシウムは他のアルギン酸塩と異なり水に溶けません。そのため増粘やゲル化用途作用は期待できないことから食品添加物として利用されることはあまりありませんが、栄養強化を目的としたカルシウムサプリメントなどで利用されています。

アルギン酸アンモニウム

水溶性で冷水でも溶けます。アルギン酸ナトリウムやアルギン酸カリウムと同じように、増粘やゲル化用途で利用できます。ナトリウムやカリウムなど金属イオンが少ないため、灰分やゲル化時の金属塩副産物が少ないことが特徴です。

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アルギン酸類の食品応用例

各種アルギン酸は、どのような食品にどのような使われ方をしているかをみていきましょう。

アルギン酸

麺やパンなどの小麦粉製品に対する品質改良材として活用されています。例えば、保水性を適度に保つことから、麺やパンの食感をやわらかくします。

アルギン酸ナトリウム

増粘剤、ゲル化剤、安定剤として活用されています。アルギン酸ナトリウムとゲル化因子のカルシウムイオンは瞬時に反応するため、人工イクラやフカヒレ状のゼリー製造への活用が有名です。また、オーバーランの向上や口溶けの改善などアイスクリームの安定剤としても利用されています。

アルギン酸エステル

カルシウムの多い食品の増粘剤や安定剤や生地改良剤として活用されています。サラダ用のドレッシングの乳化安定剤、ビールの泡沫安定剤などにも利用されます。特に近年ではパンや麺などの生地改良剤として、ボリュームアップや食感改良用途などで使用されています。

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まとめ

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