食品用ゲルを作るゲル化剤には、増粘多糖類であるペクチンやカラギナン、たんぱく質であるゼラチンなど様々な種類があります。これらはすべてゲルの食感や物性、性質が異なっているため、開発したい商品に合わせて最適なゲル化剤を選択する必要があります。今回はそのようなゲル化剤選択の際にお役に立てるよう、ゲルの物性にフォーカスして、ゲルの硬さや弾力などを2回に分けて動画で解説します。
こちらに複数のゲル化剤を、食品によく用いられる配合で作成したときの食感ごとにマッピングしました。マップ横軸の「弾力」とは、ゲルを押したときにもとの形に戻ろうとするはね返りの強さ、「硬さ」は単純にゲルを触ったときの硬さを示しています。
ゲルの物性を知るためには、触ったり食べてみたりするのがもっとも分かりやすいのですが、ゲルを作るのには手間がかかってしまいます。そこでこちらのコラムにて、マップに示すゲルの物性を一つずつ動画で紹介していきます。ゲルを用いた開発の際のご参考にしてください。
※こちらのマップはあくまで目安になります。参考程度にお考え下さい。
ゼラチンは豚や魚の皮、牛の骨などから抽出されるたんぱく質の一種です。ほどよい弾力と柔らかさを持ち、体温くらいの温度でゲルが溶けるため、くちどけの良いプリンやゼリーなどに使用されています。ぷるんとした物性と離水の少なさが特徴です。
寒天は海藻から抽出される食品多糖類です。ゲルは硬く、スプーンを入れるとサクッと切れ目が広がるような物性を持ちます。舌や歯で崩すとモロモロとゲルが小さく崩れていき、その際に水を吐き出します。そのため、噛むととてもジューシーな食感が特徴です。
ジェランガムは微生物由来の増粘多糖類です。ネイティブ型ジェランガム(HAジェランガム)と脱アシル型ジェランガム(LAジェランガム)があり、前者はもちっとしたゲルを、後者は寒天のようなサクッとしたゲルを形成します。今回は脱アシル型ジェランガムの物性をご紹介します。耐熱性や耐酸性、フレーバーリリース(香り立ち)に優れます。
ペクチンは果物や野菜の皮から抽出される増粘多糖類です。エステル化度の違いによりLMペクチンとHMペクチンに分けられます。今回はゼリーに適したLMペクチンについてご紹介します。ゲルは柔らかくぷるんとした物性を持ちます。つぶしても寒天のようにモロモロとは崩れず、ゾル状になります。静置することで崩したゲルが再びまとまるチクソトロピー性を有します。
イオタカラギナンは柔らかいゲルを作ります。ゲルの物性はLMペクチンに近く、こちらもチクソトロピー性を持ちます。カルシウムイオンを加えることでゲル強度があがります。
カッパカラギナンは、カチオンとの併用により寒天やジェランガムに近い物性のゲルを作ります。また、ローカストビーンガムとの併用により弾力のある物性を作ることも可能です。ゼリーによく用いられるゲル化剤です。動画ではカリウムイオンを併用したゲルについて解説しています。ローカストビーンガムと併用したゲルは第2回のコラムにてご紹介します。
今回ご紹介したゲルの物性はあくまで目安になります。ここに塩類が入ったりpHが変わったりすることで、ゲルの物性は変化することがあります。「このような条件でこんな物性のゲルを作りたい」というご要望がありましたら、ぜひお気軽に弊社までご相談ください。業種問わずご対応させていただきます。次回は複数の増粘多糖類で作る相乗性ゲルについて解説します。
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