メチルセルロース・HPMCとは~基礎から徹底解説

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「加熱すると固まる」従来の増粘多糖類と真逆の特性をもつメチルセルロース(MC)やヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)。なぜ熱ゲル化するのか、食品に加えることでどのようなメリットがあるのか。そもそもどのような素材なのかを解説します。

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メチルセルロース(MC)やヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)とは ~原料、製造方法、構造、性状、食品への表示例について~

メチルセルロース・HPMCとは~徹底解説!熱ゲル化の仕組み・構造

メチルセルロースとはセルロースの骨格にメトキシ基がついた構造をもつ高分子多糖類です。日本では1960年に食品添加物として認可されています。セルロースとは植物の細胞壁の重要な構成成分です。そのためメチルセルロースは植物繊維を原料としてセルロースを抽出したのちアルカリ処理、塩化メチルとの反応により製造されます。ヒドロキシプロピルメチルセルロースはメチルセルロースのメトキシ基をさらにヒドロキシプロピル基に置換したものです。

性状

無味無臭の白色粉末。冷水に溶解し、高温でゲル化、増粘する特徴があります。なお、メチルセルロースは熱水には溶解しません。

食品への表示例

●メチルセルロース
「糊料(メチルセルロース)」、「ゲル化剤(メチルセルロース)」、「増粘剤(メチルセルロース)」、「安定剤(メチルセルロース)」のように、目的に応じた用途名を記載します。なお、「増粘多糖類」の一括表示はできません。

●ヒドロキシプロピルメチルセルロース
メチルセルロース同様に糊料またはゲル化剤、増粘剤、安定剤として用いた場合には用途名の併記が必要です。「増粘多糖類」の一括表示はできません。なお、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは簡略名「HPMC」を用いて表示する事もできます。(例.「糊料 (HPMC)」)

※糊料、ゲル化剤、増粘剤、安定剤以外の用途に使用する場合には、添加物名の表示だけで構いません。
※その他表示に関わる規制は、食品衛生法をご参照ください。

使用基準

●メチルセルロース
最大使用量は食品の2.0 %です。(カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムやデンプングリコール酸ナトリウムの1種以上と併用する場合は、その使用量の和が食品の2.0 %以下でなければなりません。)

●ヒドロキシプロピルメチルセルロース
使用基準は定められていませんが、目的とする効果を得る上で必要とされる量を超えない範囲でご使用下さい。

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最大の特徴 熱ゲル化

温度による物性変化

他の増粘多糖類と異なり、加熱によりするという特徴があります。メチルセルロースやヒドロキシプロピルメチルセルロースにはさまざまなグレードがあり、グレードによってゲル化温度や粘度が異なります。基本特性として溶液を加熱していくとゲル化・増粘し、冷却すると元の粘性溶液に戻ります。溶液の物性と熱ゲル化のようすを動画にまとめています。

熱ゲル化のメカニズム(仮説)

メチルセルロースの加熱によるゲル化メカニズムはまだ明らかになっていませんが、加熱によりメトキシ基同士が疎水結合することでゲル化しているといわれています。そのためメチルセルロースに対してメトキシ基の割合が少ないヒドロキシプロピルメチルセルロースでは加熱時のゲル化力は弱い傾向にあります。

特殊な溶解方法~使い方のコツ~

熱水には溶けず冷水で溶けるため他の増粘多糖類とは異なるコツが必要です。
溶解方法(1)熱水分散法:熱水にメチルセルロースやヒドロキシプロピルメチルセルロースを添加し、攪拌します。熱水には溶けず分散するため白濁します。そこに氷水を投入し、混合することで一気に温度を下げて溶解します。溶解すると透明の液になります。

溶解方法(2)粉体混合法:砂糖(液糖、油液など水分の低いものも可)といった分散剤になるものと混合してから冷水に添加し溶解します。冷水に投入する際、ダマにならないよう撹拌することが重要です。

選定方法~ゲル強度と粘度、溶解温度~

前述の通りメチルセルロースやヒドロキシプロピルメチルセルロースはメトキシ基やヒドロキシプロピル基の割合、分子量により、溶解温度やゲル化温度、ゲルの強弱、粘度の高低といった点で、様々なグレードに分かれます。
それぞれの用途、製造条件、官能(食感)に応じた選定においてはこちらをご確認ください。

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まとめ

メチルセルロースやヒドロキシプロピルメチルセルロースは他の増粘多糖類とは異なるユニークな性質を持つため、この機能をうまく生かすことでこれまでにないような商品開発ができます。商品開発のヒントとして「メチルセルロース・HPMCの機能詳細と応用事例」でさまざまな事例を紹介しております。

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