海苔価格高騰の実態とそれに対応した商品開発

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 近年、日本食に欠かせない海苔が価格高騰に直面しています。特にコンビニのおにぎりではなくてはならない存在ですが、お米に加えて海苔も高騰しています。最大の生産地である有明海での凶作が続く一方で、海苔需要の増加などの要因が絡んでいます。今後も高騰が予想され、海苔を削減や不使用とする商品開発の必要性が出てきいます。今回は、海苔価格高騰の実態とそれに対応した商品開発について紹介します。

海苔価格高騰の背景と実態

 海苔の最大の生産地である有明海での凶作により、2022年度、2023年度と2年連続で生産量が50億枚を下回る事態となりました1)。2021年度からは10億枚以上生産量が減少し、2014年度からは30億枚以上減少する事態となっています。赤潮による海苔の色落ちや、降水量減少による栄養塩の低下が原因となっています2)。2024年度も海水温の上昇や栄養塩の低下で不作が続いており、生産量が3年連続50億枚を下回る予測がされています2)。こうした状況で、凶作前の在庫の底が付いたことや品質の良い海苔の奪いあいが、価格高騰が要因となり2)、2021年に比べて単価は2倍ほどになっています。さらに、世界的な需要の増加の高まりもあります。日本食の関心が高まる中での海外のおにぎりが注目されたり、韓国のキンパが広まったりするなど海苔を使用した料理のニーズが高まっています。韓国の海苔の生産量は100億枚以3)と日本を上回りますが、日本に輸入される韓国の海苔の価格も高騰しています2)。国内生産量の低下、海外需要増が相まって海苔価格は高騰が生じ、しばらくは続く様相です。

海苔を使用しないメニューへシフト?米同士の決着が商品開発のカギを握る!

 このような高騰が続くと、海苔を使用しないメニューが増えていくことも考えられます。コンビニのおにぎりの顔でもある海苔でありますが、価格高騰や品質不良によって出番が減る恐れがあります。海苔の出番減少に対して、増えると予想されるのが炒飯おにぎり、混ぜ飯おにぎりになります。どちらも具材がおむすび全体に入っているので、見た目や食べ応えの点でよいですが、海苔で包んだおにぎりの商品開発とは異なる難しさがあります。炒飯おにぎりおいて、パラパラとした食感がそのおいしさが決めてとなります。一方でおにぎりであるため、形を保つための結着性が命です。相反する物性をどのように両立させるかが課題となります。油が米をコーティングすることで、でんぷんの結着性を阻害してしまいます。これを乗り越える開発が求められます。また、混ぜ飯おにぎりおいてもお米の結着性とほぐれの両立が求められます。具材が中心に固まっている海苔で包んだおにぎりと異なり、まんべんなく具材が入っている混ぜ飯おにぎりは、お米と具材がしっかり馴染み、どの箇所を食べても均質な食感が求められます。これを炒飯おにぎりとは異なり油の力は借りずに、でんぷんと水分バランスを見極めながら最適な柔らかなおにぎりの開発が求められます。

まとめ

 海苔価格高騰の状況とそれによって求められる商品開発についてご紹介しました。商品開発において、今後ますますお米の決着性の重要性が高まると考えられます。
 当社では増粘多糖類を活用したお米用の製剤を取り扱っています。ほぐれ、決着性、食感などの様々な課題解決をご提案が可能です。ご相談内容やサンプル依頼などありましたら是非お問い合わせください。

参考文献

日本食糧新聞 2年連続不作に危機感 増産へ新漁場開発を https://news.nissyoku.co.jp/news/mitsui20240712073648196
食品新聞 有明海苔、今年も不作 3年連続50億枚以下か 入札平均単価30円 https://shokuhin.net/114962/2025/02/05/kakou/kawaki/
中央日報 韓国のりの成績表「世界シェア70%、114カ国に輸出」…日本と中国を圧倒
https://s.japanese.joins.com/Jarticle/300362

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