アメリカの自然派食品スーパー大手「Whole Foods Market(ホールフーズマーケット)」は、例年10月ごろに翌年の食トレンドを予測しており、2025年10月8日に2026年の予測を発表しました。今回の発表では、2026年は食物繊維ブームや高級冷凍食品、牛脂の需要増加が見込まれるとしています。この記事では、全8テーマの要点と代表的な商品例をご紹介します。
(調査日:2025年12月)
(原文:https://media.wholefoodsmarket.com/whole-foods-market-forecasts-the-top-food-and-beverage-trends-for-2026/)
目次
牛脂はホイップタイプからハーブ風味まで多様な商品が登場し、栄養価の高さや懐かしい味わいが再評価されています。高い発煙点と豊かな風味から、かつては揚げ物やベーキングに何世紀にもわたって使われてきました。近年は、先祖由来の食材を大切にし、植物油の代替を求める消費者から再び注目され、SNSでも話題に。レストランでもフライドポテトやペストリーの質を高めるために採用が広がっています。本来廃棄される脂を有効活用できる点も注目されています。
〈商品例〉
Jesse & Ben’s Tallow & Sea Salt:牛脂を使った冷凍の皮付きフライドポテト。原材料は、じゃがいも、グラスフェッド牛脂、海塩のみ。オーブンまたはエアフライヤーで調理1)。
タンパク質人気が続く一方、腸の健康や自然な満腹感を求める流れから食物繊維が注目されています。パスタやパン、クラッカー、バーなど、食物繊維を追加した商品が増加。キャッサバやチコリの根はプレバイオティクス飲料の定番素材に、こんにゃくは植物ベースの調理済み食品の食物繊維源となっています。また、プレバイオティクスが豊富で胃腸にやさしい素材として、オーツも存在感を高めています。
〈商品例〉
Halfday Iced Tea Prebiotic Half & Half:腸の調子を整えるレモネード入りアイスティー。1缶(355ml)に、キャッサバ根繊維、フルクタン繊維、オーガニックアガベイヌリン由来のプレバイオティクス繊維を6g配合2)。
(画像提供:Damya) 多世代農家が減り、農業を志す若者も少ないなか、農業界で変革をもたらす人々への注目が高まっています。メディアやイベント、ブランドのサイトやパッケージでも女性農業者の存在感が増しています。助成金プログラムを通じて、助成金の50%を女性・ノンバイナリー・トランスジェンダーの農家にあてている団体もあり、国連食糧農業機関(FAO)は2026年を「国際女性農民年」に定めました。ブランド各社も、高賃金や奨学金、土地の提供、研修、保険制度などを通じて、女性農家の活躍を後押ししています。
〈商品例〉
Damya Extra Virgin Olive Oil:チュニジアの先住ベルベル人女性チームによって収穫されたオリーブを使用したオリーブオイル。自然を尊重した有機栽培・バイオダイナミック農法で土地を育み、その工程が風味をいっそう高めている3)。
(画像提供:Bianco DiNapoli) 「ドーパミン・デコ」と呼ばれる、気分を高める鮮やかな空間づくりがキッチンにも広がっています。缶詰や容器を隠したり、パーティーの際に製品をパッケージから取り出したりする時代は終わり、ワインラベルのようなアート性の高いパッケージが日常のアイテムにも採用されるようになりました。ブランド各社も、明るく大胆な色彩とデザインを取り入れ、キッチン棚やカウンターを美しく演出する“ちょっとした贅沢”として注目されています。
〈商品例〉
Bianco DiNapoli Organic Crushed Tomatoes:カリフォルニアで有機栽培された完熟トマトの缶詰。おしゃれなラベルが特長だが、New York Times誌の「2025年ベストトマト缶詰」に選ばれるなど、味にも定評がある4)。
(画像提供:Laoban) トレンドを探すなら冷凍食品売り場へ。高品質な素材や世界の味を楽しめる冷凍ミールや前菜が増え、外食を控えたい人や、普段料理する人が“ひと休み”したい日の選択肢として人気です。アランチーニやププサなど、シェフ発想のメニューも揃い、自宅のエアフライヤーだけで高級レストランのような味わいが楽しめます。
〈商品例〉
Laoban Crab Rangoon:アメリカ中華料理の定番前菜「クラブ・ラングーン」を冷凍にした商品。外側はサクサクで、中には濃厚なクリームチーズとカニかまぼこを使った、ふんわりとした甘塩っぱいフィリングが入っている。エアフライヤーまたはオーブントースターで調理5)。
(画像提供:Häxan Ferments) 消費者の間で、飲む酢や果物入り、生タイプなど多様な酢の楽しみ方が広がり、酢がもたらす味の深みやプロバイオティクス的な働きが評価されています。古くは薬として使われた“元祖機能性食品”が現代的に復活。消費者は少量生産の高品質な酢や大胆な新フレーバー、料理やカクテルを格上げする革新的な商品を求めています。製品の活用の幅を広げてもらうため、ブランド各社はパッケージを通して新たな使い方を提案しています。
〈商品例〉
Häxan Ferments Serrano Roasted Garlic Hot Sauce:セラーノペッパーとポブラノペッパー(いずれも唐辛子)にローストガーリックを加えて発酵させ、アップルサイダービネガーや蒸留酒を加えて仕上げた辛味のあるソース。グリル野菜やステーキとの相性が良い6)。
(画像提供:Wild West) 甘いものは好きだけれど糖分を意識する人が増え、代替甘味料ではなくサトウキビ糖やフルーツ、蜂蜜、メープルシロップなど自然な甘さを選ぶ傾向が見られます。ジャムやチョコ、グミのブランドは、大量の砂糖ではなく本物のフルーツを使った商品開発にシフトしています。
〈商品例〉
Wild West Organic Bear Claws:熊の爪の形をしたオーガニックチョコレート。持続可能な方法で栽培されたカカオ豆を使用。砂糖や代替甘味料は使用せず、フルーツで甘味をつけている。フレーバーは、ミント、アーモンド&シーソルト、パンプキンスパイス&ピーカンなど7)。
インスタント食品は「手軽さ」中心の存在から、健康的で革新的な選択肢として再評価されています。TikTokが流行を後押しし、携帯できるバリスタ級のラテやアダプトゲン入りラーメンなどが人気に。ブランド各社もこれに応え、数秒で準備できる高級なハンドドリップラテやカップ食、保存性の高い食事を開発しています。レトルト米など従来品でも原料を見直す動きが進み、新興ブランドの参入も進んでいます。「お湯を注ぐだけ」の製品は進化しつつあります。
〈商品例〉
Milkadamia Oat Milk Slices:薄いシートタイプに加工されたオーツミルク。水と一緒にミキサーにかけるだけでオーツミルクが作れる。1パック(20枚入り)で約4,700ml分。従来の植物性ミルクに比べて、包装材を85%、輸送重量を86%削減している8)。
【参考商品ウェブサイト】
1. Jesse & Ben’s Tallow & Sea Salt(2025年12月19日閲覧)
https://www.jesseandbens.com/fries/p/tallow-sea-salt
2. Halfday Iced Tea Prebiotic Half & Half(2025年12月19日閲覧)
https://drinkhalfday.com/products/classic-half-half
3. Damya Extra Virgin Olive Oil(2025年12月19日閲覧)
https://damya.com/
4. Bianco DiNapoli Organic Crushed Tomatoes(2025年12月19日閲覧)
https://www.biancodinapoli.com/products
5. Laoban Crab Rangoon(2025年12月19日閲覧)
Crab Rangoon
6. Häxan Ferments Serrano Roasted Garlic Hot Sauce(2025年12月19日閲覧)
Serrano Roasted Garlic Hot Sauce
7. Wild West Organic Bear Claws(2025年12月19日閲覧)
Bear Claws
8. Milkadamia Oat Milk Slices(2025年12月19日閲覧)
Oat Milk Slices

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