新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受けて、世界各地で生産活動の停止やモノ・人の移動制限がかけられました。2021年に入りワクチンの接種が各国で開始されるなど明るいニュースも増えてきましたが、未だ収束の兆しは見えず問題の中長期化が懸念されています。今回はコロナによって顕在化したグローバル・サプライチェーンの寸断と供給途絶リスクについて紹介します。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、サプライチェーンの分野でも様々な課題が浮き彫りとなりました。とくにサプライチェーンそのものの寸断は深刻で、特定の国やサプライヤーに供給を依存しすぎている場合のリスクがあらためて問題視されるようになりました。すでに危機意識を抱いた企業では調達リスクの分散に動いているようです。
とくに食分野では労働集約的な作業が多く、気候や土地の豊富さなどの制約によって生産地域が集中しやすい傾向にあります。国境を越える移動に制限がかかり、農作業に従事する出稼ぎ労働者の人手不足が欧州では見られました。また、サプライチェーンのグローバル化を進めてきた結果、工場稼働停止や移動制限によって、製品の生産停止や遅れが余儀なくされました。
2021年に入り深刻化したのが「コンテナ」不足問題です。アメリカ西海岸の港湾混雑によってコンテナが世界的に不足しており、その影響はすでに海上運賃にも表れています。日本海事センターによると上海→ロサンゼルスの20ftコンテナ運賃は2021年1月2月ともに前年比200%超と高騰しています。また太平洋商船協会によれば、ロサンゼルス港やロングビーチ港で5日以上滞留している船舶の割合は2020年2~6月が2.1~4.0%程度だったのに対して昨年9月から2021年1月にかけては20%を超えて推移しています。現在も停泊許可待ちの船舶が渋滞していることから問題は長期化しそうです。
港湾混雑の背景として、新型コロナウイルス感染症対策として巣ごもり需要によるネットショッピングの増加や在庫確保に伴う輸送増加があるとされています。感染が急拡大した2020年の春ごろはコンテナを使った輸送量が激減しましたが、夏ごろからは一転して巣ごもり需要により急回復しました。一方で港湾でのクラスター発生や感染症対策による作業員・ドライバー不足は続いており、押し寄せる貨物量に対して港の処理能力が追い付いていない状況です。そのため即効性のある解決策がなく正常化するのは2021年後半とされています。
さらに港湾労働者の感染が続くなか、労働組合からは健康と安全を守るため港の封鎖が言及されるなど混乱は続きそうです。
コロナ禍でグローバル・サプライチェーンが寸断されるなか、製造現場では原材料や資材の遅延によって不測の事態が発生しました。メーカーにとって生産ラインの停止は大きな損失になるだけでなく、信頼の喪失に繋がります。そのことから2020年はサプライヤーの供給能力が試された年になりました。
新型コロナウイルス感染症拡大に限らず、スエズ運河での座礁や港湾のストライキなど日々様々なデリバリーリスクが生じています。
また物流面に限らず、食品原料については天候不順や投機筋による価格つり上げなど不安定な要素がありますので、ますます原料調達のリスク管理が重要となっています。
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