エナジードリンクと言えば、カフェイン、砂糖、甘味料や着色料を含むというイメージがありがちです。しかし、最近の北米の市場では、よりナチュラルな原材料を訴求した新しいエナジードリンクが増えてきています。今回は、アメリカのエナジードリンク市場の動向、そして実際に販売されている市販品をご紹介します。
(調査日:2022年3月)
世界の中で、エナジードリンクが最も売れている市場は圧倒的に北米です。Mintel社によると、2020年のアメリカにおけるエナジードリンクの売上は前年比9.2%増で約143億ドルとなりました。これは2015年と比較すると37.4%増加です。そして2025年までには、売上が約200億ドルに達すると予測されています。今後は新型コロナウイルス感染症の拡大が落ち着いて、人々が職場に戻ったり、旅行に出かけたり、パーティーをしたりする機会が増え、エナジードリンクの需要が高まると考えられています。最近では、アメリカのスターバックスが2022年3月に缶入りエナジードリンクの販売を開始し、市場に参入したことでも話題になりました。(※1)(※2)
エナジードリンクは、精神的にも身体的にも活力を与えるものとして、長年消費者に愛用されてきたものの、一般的にはヘルシーではない選択肢とみなされてきました。しかし、近年は、美味しくかつ健康に良い食品に関心を持つ消費者が増え、より良い材料を使ったエナジードリンクが販売されるようになってきました。そして、その傾向は、コロナ禍になり一層強まり、消費者がこれまで以上に健康やウェルネスに関心を持つようになっています。(※3)
クリーンなイメージを打ち出す新しいエナジードリンクには、グリーンコーヒーや緑茶、グアユサなど天然カフェインの使用、甘味料不使用、低糖を謳うものが多く見られます。また、免疫力の向上を訴求するなどした機能性エナジードリンクも販売されています。
最初にご紹介するのが、Guru社のオーガニック炭酸エナジードリンクです。同社はカナダのモントリオールで創業され、現在はカナダとアメリカで販売活動を行なっています。天然の植物性原料を使用しているところが大きな特徴で、カフェインの原材料には緑茶、抹茶、およびガラナが使われ、高麗人参や、エキナセア、羅漢果、ステビアなどもブレンドされています。ガラナは南米アマゾン原産の植物で、コーヒー豆ほどの大きさの種子にカフェインが含まれています。オリジナルタイプの場合、1缶(250ml)あたりのカフェイン含有量は100mgです。そのほかのフレーバーには、緑茶、イェルバ・マテ茶、グアユサがあります。
アメリカ・ニューヨーク州を拠点とするRuna社は、南米エクアドル原産のスーパーリーフ、グアユサの葉を使ったエナジードリンクを展開しています。緑茶や紅茶などとは異なるものですが、グアユサの葉は煮出すとお茶のように飲むことができます。Runa社のエナジードリンクは、グアユサを煮出したものをベースに、ブルーベリーやブラッドオレンジ、ライムなどのフレーバーを加えたものです。カフェイン含有量は1缶(255ml)あたり105mgで、カロリーは10kcal、糖分は1gと、低カロリー、低糖を訴求する製品です。同社は、熱帯雨林の保全や、グアユサを栽培するエクアドル農家を支援する活動に取り組んでおり、フェアトレード認証およびB Corp認証*を取得しています。
*B Corp認証:環境や社会に配慮した公益性の高い企業に与えられる認証。
最後にご紹介するのが、アメリカ・カリフォルニア州を拠点とするUp To Good社の、サステナブルな炭酸エナジードリンクです。特徴は、カスカラからカフェインを抽出しているところにあります。カスカラとは、コーヒーチェリーの中にあるコーヒー豆(種子)を取り除く工程で不要となった、外側の果皮と果肉を乾燥させたものです。本来であれば、カスカラは廃棄されるものであるため、この製品はアップサイクル食品*と言うことができます。同社によると、カスカラの風味は、コーヒーよりもハーブティーに近いとのこと。オリジナルタイプの場合、原材料には、カスカラ、炭酸水、ジンジャーエール、ミントなどが使用され、カフェイン含有量は1缶(355ml)あたり80mgとなっています。
*アップサイクル食品:本来であれば廃棄される食材や食料を活用して、付加価値をつけて新たな食品とすること。
今回は、アメリカのエナジードリンク動向についてご紹介しました。アメリカのスーパーやコンビニのエナジードリンクコーナーには、日本以上にさまざまな商品が並んでいます。そのため、使用している原材料や、ラベルのイメージなど新商品開発のヒントを得ることができそうです。
【参考資料】
(※1)
https://www.bevindustry.com/articles/94278-energy-market-thrives-during-pandemic
(※2)
https://stories.starbucks.com/press/2022/new-starbucks-baya-energy-launches-in-grocery-stores-nationwide/
(※3)
https://corp.smartbrief.com/original/2021/08/energy-drinks-attract-people-better-you-ingredients
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