前回のコラム では、アメリカの自然派食品スーパー大手「Whole Foods Market(ホールフーズマーケット)」が発表した2023年の食品トレンド予測をお届けしました。今回から3回にわたり、実際にWhole Foods Marketで販売されている各トレンドの市販品を紹介します。
(調査日:2022年11月)
ヤポンは、アメリカ南東部に自生するヒイラギ科の植物でカフェインを含む植物として知られています。
Lost Pines Yaupon社は、茶葉タイプと濃縮タイプのヤポン茶を販売しています。茶葉タイプは、浅煎りと深煎りの2種類で展開され、同社によると浅煎りは緑茶、深煎りは紅茶に近い味わいとなっています。ヤポンにはタンニンがほとんど含まれていないため、長く抽出してもお茶の渋みが出にくいのが特徴です。
また、濃縮タイプはフレーバー付きで、水や炭酸水、お酒と割ることで手軽にヤポン茶を楽しむことができます。フレーバーはバジルレモン、ミントレモン、ピーチ、ストロベリーなどで、きび砂糖で甘みづけされています。
Local Leaf社が手掛けているのがYaupon Matchaで、これはヤポンの葉を日本の抹茶のように細かくパウダー状にしたものです。温かい飲み物、冷たい飲み物どちらにも溶かすことができ、抹茶と同様にスムージーやアイスクリーム、お菓子づくりなどにも活用することができます。Local Leaf社によると、同商品は重量比較でイェルバ・マテの約8倍のテオブロミン、カカオの1.8倍のポリフェノール、ブルーベリーの3倍の抗酸化物質を含有しています。
近年アメリカでは、本来であれば廃棄されていた食材や食料を活用し、付加価値を付けて新たな商品とするアップサイクル食品が増えつつあります。
アップサイクル食品業界のリーディングカンパニーであるRenewal Mill社は、食品の製造過程で出る副産物を活用したプレミアムなグルテンフリー粉や製菓用ミックス粉を販売しています。たとえばOat Milk Flour(オーツミルク粉)は、オーツミルクを製造する過程で発生するパルプ(絞りかす)を活用した商品であり、パンケーキやマフィンの材料として、あるいは、とろみづけとして使用することができます。グルテンフリーで、1/2カップ(66g)あたり31gのたんぱく質、13gの食物繊維を含みます。
また同社のOat Chocolate Chip Cookie Mixは、植物性かつグルテンフリーのクッキーミックス粉で、米粉(White Rice Flour)を主原料とし、アップサイクルしたオーツミルク粉(Oat Milk Flour)やえんどう豆でんぷん(Pea Starch)を含みます。植物油と水を加えて、オーブンで焼くだけで簡単にチョコチップクッキーができあがります。
アメリカでは、ヤシの芽やスパゲッティスクウォッシュ、青バナナ、キャッサバなどを使った植物性パスタが販売されています。
Whole Foods Marketブランドからは、リングイネパスタの代用品としてグルテンフリーのHearts of Palm Linguine(ヤシの芽リングイネ)が販売されています。パッケージから出して水洗いし、トマトソースやペストソースと絡めて温めるだけで食べることができ、またスープの具材としても使えます。1食分(85g)あたり15kcalの低カロリー商品で、総炭水化物量は4gです。
フルーツジャーキーやグミを手掛けるSolely社は、Organic Spaghetti Squash Pastaを販売しています。この商品はスパゲッティ・スクウォッシュ(そうめんかぼちゃ、金糸瓜)を麺状にほぐして乾燥させたものです。グルテンフリーかつ、従来のパスタと比べてカロリーと炭水化物量が少ない点がポイントで、1食分(乾燥13g)あたり30kcal、6gの炭水化物量となっています。5分ほど茹でて、炒めた野菜やえびなどと合わせる、あるいは好みのパスタソースと絡めるだけで、パスタの代用として食べることができます。
アップサイクル食品のカテゴリーは、将来的に食品ロスを削減し、地球環境にやさしい食品づくりとして、アメリカの消費者から人気が高まっています。Whole Foods Marketをはじめ、プライベートブランドのアップサイクル食品も店頭に並びはじめており、今後どのように市場が拡大していくか注目です。
次回は、市販品紹介の第2弾をお届けします。
【参考資料】
https://media.wholefoodsmarket.com/whole-foods-market-forecasts-top-10-food-trends-for-2023/
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