海外におけるジャムの最新トレンド

近年、日本のジャム市場では、健康志向を意識した低糖度ジャムや、国内産のフルーツを使った高級ジャム、珍しいフルーツを組み合わせたブレンドジャムなどが注目を集めています。海外市場でも同様に、健康に配慮した商品や、プレミアムなジャムが数多く登場しています。この記事では、「健康志向」「クリーンラベル」「高級志向」「チューブタイプ」の4つのキーワードをもとに、海外におけるジャムのトレンドおよび市販品を紹介します。

【関連情報】

健康志向
クリーンラベル
高級志向
チューブタイプ
まとめ

世界の中で、フルーツジャムの消費量が最も多い地域は欧州であり、北米がそれに続きます。これらの地域では、一般的にトーストやパンケーキなどを朝食に食べる習慣があり、またジャムを使ったベーカリー製品も多いことから、ジャムの消費量が多くなっています。とくに今後のジャム市場を牽引すると考えられているのがヘルシーなジャムです¹。

健康志向

World of Chia社のチアシード入りジャム
（写真提供：World of Chia社）https://www.worldofchia.com/

従来品よりも砂糖の使用量を抑えたジャムや、砂糖の代わりに天然甘味料を使用したジャムの人気が高まっています。

アイスランドを拠点に欧米で広く展開するGood Good社は、砂糖の代替品として、天然甘味料と呼ばれるエリスリトールとステビアを使用したジャムを手がけています。従来品よりもカロリーが低いことも特徴の一つで、例えば、ブルーベリージャムの場合、100gあたりのカロリーは30kcalです。

また、栄養価が高いことで知られるスーパーフードを使用することで健康面に付加価値をつけた商品も見られ、アメリカのWorld of Chia社は栄チアシード入りのフルーツジャムを販売しています。チアシードを使用することで、を使わずにジャムにとろみをつけている点も特徴です。砂糖の代わりにアガベシロップを使用したプレミアムタイプのジャムは、イチゴ、ブラックベリー、ラズベリーの3種類のフレーバーで展開され、いずれも低糖の商品となっています。

クリーンラベル

Smacker’sブランドが販売する
ナチュラルシリーズのジャム（筆者写真撮影）

クリーンラベルとは、近年欧米を中心に広がっている食の志向のことで、原材料が少なくシンプルであることや、人工的な添加物を含まないことなどを基本要素とし、ナチュラルやオーガニックもクリーンラベルの範疇と考えられています²。ナチュラル、オーガニックのジャムは今後も需要が増加することが予想されます³。

アメリカの大手食品企業The J.M. Smucker Company社が手がけるジャムブランドSmacker’sは、天然由来の原材料のみを使用したナチュラルシリーズのジャムを販売しています。例えばイチゴジャム場合、原材料は、イチゴ・砂糖・フルーツペクチン・クエン酸の4つです。ナチュラルシリーズでは、ラズベリー、ブラックベリー、オレンジマーマレードなど約10種類の商品が展開されています。

【関連情報】

ペクチンとは～概要と種類を徹底解説

高級志向

高級志向のグルメジャムはギフトアイテムとして人気が高く、昨今需要が増加しています³。
フランスのL’Épicurien社は、多種多様なフレーバーで高級志向のジャムを展開しています。例えば、Coco Mangoという商品は、ココナッツミルクとマンゴーの組み合わせたものであり、Summer Flavorsという商品は、アプリコット、メロン、ピーチをブレンドしたジャムです。そのほかにも、花びら入りのフラワージャムなど数多くのユニークなジャムを取り扱っています。

チューブタイプ

Marumetube社のチューブ入りジャム
（写真提供：Marumetube社）https://www.marmetube.de/

ジャムといえば瓶入りが定番ですが、最近ではスプーンが要らない片手で使えるチューブやボトルタイプの商品が登場しています。

ドイツのMarumetube社は、チューブタイプのジャムを販売するスタートアップ企業です。同社によると、チューブタイプであれば、ジャム瓶にパンくずやバターが残る心配もなく、また小さな子どもでも扱いやすいという利点があります。同社のチューブ容器はリサイクルしたアルミニウムから作られている点が特徴です。フレーバーは、イチゴやアプリコット、チェリー、ラズベリーなど、原材料はフルーツ・砂糖・ゲル化剤（ペクチン）・酸味料（クエン酸）の4種類となっています。

まとめ

パンが主食の欧米では、ジャムは日頃の食事に欠かすことのできないアイテムです。今後も、消費者の志向に合わせて、「健康によい」「ナチュラル」「オーガニック」などを訴求したジャムが市場でのシェアを拡大し続けるでしょう。

一覧に戻る

食品開発に関するお役立ち資料を無料進呈

今注目を集めている食品トレンド情報や
食品開発に関する資料を
無料でご提供しています。
是非この機会にご覧ください。

無料提供資料

今すぐダウンロード

ハイドロコロイドの基礎

～ペクチン・カラギナンなど徹底解説～

ペクチン、ゼラチン、キサンタンガム、
カラギナンなど
ハイドロコロイドに
ついて徹底解説。
ハイドロコロイドの概要から、
各種の特徴を全75ページにわたって
徹底に解説しています。
是非ご覧ください。

資料内容

ハイドロコロイドの概要　
～分類、由来原料、産地
ハイドロコロイド各論
(ペクチン、ゼラチン、キサンタンガム、カラギナン、グァーガムなど)
相乗効果、応用例　
～他の多糖類との併用

ダウンロードはこちら

ペクチンとは？
構造や種類・ゲル化の仕組みなどを徹底解説！

ペクチンの概要と種類、物性改良剤としての機能や使い方のコツについて解説します。

ブームから定番へオートミールの特徴、魅力のご紹介

オートミールは一過性のブームではなく、定番品になりつつありあります。定着してきているオートミールについて、今回はその特徴やどのような方が食べているかなどをご紹介します。

ペット向け! オーラルケア食品トレンドのご紹介

オーラルケアの関心はペットにおいても高まっています。その背景と注目原料についてご紹介します。

海外での中華惣菜のトレンド〈韓国・アメリカ〉

この記事では、韓国とアメリカを中心に、海外での中華惣菜のトレンドや商品仕様について解説します。

冷凍食品市場が熱い! 「美味しさ」、「手軽さ」で拡大する冷食市場

冷凍食品市場が拡大しています。なぜ今、冷凍食品が伸びているのでしょうか。その背景について、解説します。

食品開発ラボ　運営会社のご紹介

食品の企画・開発に関わる人のための専門メディア「食品開発ラボ」は、ユニテックフーズ株式会社が運営しています。
当社では創業以来独自の素材・製品で新しい食品の価値を創造することをコンセプトに、ペクチンをはじめとするハイドロコロイドの研究や素材を組み合わせたこれまでにない特性を持つ製品の開発、加えてお客様のご要望に応じた当社製品を実際の食品に用いた利用・応用技術の開発を行っています。
商品企画・開発において何かお困りごとがあれば、きっと当社がお役に立てると思います。
是非お気軽にお問い合わせください。