豆乳など植物由来原料から作られる「植物性ヨーグルト」は、乳アレルギーを持つ人だけでなく、健康や環境負荷に関心を持つ多くの消費者から注目を集め、市場が拡大しています。この記事では、海外で販売されている植物性の発酵乳商品(ヨーグルトおよびヨーグルトドリンク)を紹介します。
(調査日:2023年6月)
市場調査会社Research and Marketsによると、世界の植物性ヨーグルト市場は2021年に約16億米ドルと推定され、2028年までの予測期間において年平均成長率(CAGR)22.81%で成長し、約68億米ドルの市場規模に達する見込みです1)。近年は植物性ヨーグルトに特化したスタートアップ企業への投資が活発化しており、健康や環境に配慮した新製品が次々と登場しています。特に市場の主要地域である北米や欧州では、一般的なスーパーでも豆乳、オーツ麦、アーモンド、カシューナッツ、ココナッツなどさまざまな種類の植物性ヨーグルトが販売されています。
The Collectiveは、ニュージーランドを中心にイギリスなどでも展開しているヨーグルトブランドです。同ブランドでは従来の乳由来のヨーグルトに加え、植物性ヨーグルトも販売しています。オーツ麦、ココナッツ、米をブレンドして独自の植物性ミルクを作り、ココナッツクリームと生きた菌を合わせることでクリーミーな植物性ヨーグルトを製造しています。ゲル化剤にはでん粉、ペクチン、寒天が使用されています。プレーンタイプの植物性ヨーグルトに加え、フルーツソース入りの商品も販売されています。
アメリカのKite Hill社は、アーモンドミルクを使用した植物性ヨーグルトを販売しています。プレーン味(無糖)の原材料は、アーモンドミルク、でん粉、シトラスファイバー、ローカストビーンガム、キサンタンガム、および4種類の菌です。同商品のたんぱく質含有量は1食分(170g)あたり4gですが、Kite Hillはソイ(大豆)プロテインを加えてたんぱく質を強化した商品も展開しています。その商品には1食分(170g)あたり17gのたんぱく質が含まれており、ギリシャスタイルのアーモンドミルクヨーグルトであるため濃厚で滑らかなテクスチャーが特徴です。
アメリカのForager Project社は、カシューナッツミルクを使ったオーガニック植物性乳製品を手がける企業です。同社は食べるタイプのカシューミルクヨーグルトだけでなく、ヨーグルトドリンクも販売しています。ドリンクタイプのフレーバーはプレーン、バニラ、マンゴー、ストロベリー、ブルーベリーがあり、バニラ味の原材料には、カシューミルク、サトウキビ、タピオカでん粉、ペクチン、天然香料、ココナッツクリーム、レモン濃縮果汁、バニラビーンズが使用されています。ドリンクタイプには9種類のプロバイオティクスが配合されており、食べるタイプの商品よりもその種類が多いのが特徴です。
大手食品企業ダノン社がヨーロッパで展開するヨーグルトドリンクブランドActimelからも、100%植物由来の発酵ドリンクが販売されています。原材料には、アーモンドとオーツ麦をベースに、果物のピューレ、黒糖、とうもろこしでん粉、ピープロテイン、乳酸菌などが使われ、ラベルには免疫系の正常な機能をサポートするビタミン B6 とビタミン D が含まれると表示されています。容量は1本あたり100gで、フレーバはマンゴー&パッションフルーツ、ブルーベリーの2種類です。
【関連情報】
植物性の発酵乳商品の需要は、アレルギー対応商品を求める消費者や健康志向の人々の増加により、ますます拡大しています。現在の日本では、植物性ヨーグルトといえば大豆由来の商品が中心ですが、オーツ麦やカシューなど他の植物性ミルクを使用した商品が増えて市場が多様化していく可能性もあります。
【関連情報】
今注目を集めている食品トレンド情報や
食品開発に関する資料を
無料でご提供しています。
是非この機会にご覧ください。
ペクチン、ゼラチン、キサンタンガム、
カラギナンなど
ハイドロコロイドに
ついて徹底解説。
ハイドロコロイドの概要から、
各種の特徴を全75ページにわたって
徹底に解説しています。
是非ご覧ください。
食品の企画・開発に関わる人のための専門メディア「食品開発ラボ」は、ユニテックフーズ株式会社が運営しています。
当社では創業以来独自の素材・製品で新しい食品の価値を創造することをコンセプトに、ペクチンをはじめとするハイドロコロイドの研究や素材を組み合わせたこれまでにない特性を持つ製品の開発、加えてお客様のご要望に応じた当社製品を実際の食品に用いた利用・応用技術の開発を行っています。
商品企画・開発において何かお困りごとがあれば、きっと当社がお役に立てると思います。
是非お気軽にお問い合わせください。