第6の栄養素とも呼ばれる食物繊維ですが、今回の日本人の食事摂取基準の改訂では食物繊維の摂取理想値が25gで目標値が成人男性(18~74歳)で20~22gとなりました1)。この基準値の上昇は日本人全体が充分食物繊維を摂取できていない現状を反映しています。健康維持に重要な食物繊維の基準が上がることで店頭に並ぶ商品にどのような影響があるでしょうか?
目次
初めに食物繊維の定義に触れていきましょう。食物繊維の定義は易消化性炭水化物を糖質、難消化性炭水化物を食物繊維と呼ぶこととされています。通常の食品だけを摂取している状態では、摂取される食物繊維のほとんどが難消化性炭水化物にほぼ一致します。現状、食物繊維不足による生活習慣病の報告が多く今回の改訂に至りました。
このような背景から日本人の食事摂取基準(2025年版)では、目玉の改訂として食物繊維の項目が特に注目されています。今までの摂取基準では成人男性(18~64歳)の食物繊維目標値は21g以上です。しかし、今回の改訂で18~29歳の成人男性で20g以上、30~64歳で22g以上、65~74歳で21g以上となりました。また理想値が少なくとも1日当たり25gになったことから目標値を達成してもプラスで5g摂ることが望ましいと言えます¹⁾。
先の文で生活習慣病予防には食物繊維を意識的に摂った方が良いと述べました。ではどのような食品に食物繊維が多く含まれるのか。食物繊維と一括りに言っても、水溶性と不溶性の2種類に分けられます。この2つをバランスよく摂ることが大事です。水溶性食物繊維では血糖値の急上昇を抑制、コレステロール等の有害物質を吸着し、体外に排出します。不溶性食物繊維では便の排泄促進、大腸がん予防に繋がる効果が期待されます2)。食物繊維源の食材として有名なのはこんにゃく、寒天、また乾燥キクラゲやオートミールなどがあげられます。定義でも触れたように多くの食品の食物繊維は不溶性食物繊維の割合が高いです。そこで両方の効果を発揮するためにも水溶性食物繊維で代表的な3つの素材を紹介します。
アミラーゼで加水分解した中の難消化性成分を調製した水溶性食物繊維が難消化性デキストリンで、主に整腸作用や血糖値の上昇を抑制、内臓脂肪を低減させる効果があります。機能性表示届出の実績としてはなんと約500件も出されています3)。安全性については消費者庁長官の許可する特定保健用食品(トクホ)の関与成分となっており、高い安全性が担保されています。使い勝手が良く多数のアプリケーションで食物繊維源として採用されています。後で紹介するプラントベースのビスケットにも入っています!
イヌリンはごぼうやにんにくなどの身近な野菜に含まれる水溶性食物繊維です。世界で最もメジャーな水溶性食物繊維であり、その効果も高いです。100%腸内細菌の餌となり腸内細菌の活性化に役立ち、肌質改善や整腸作用が期待されます。また、食物繊維含量が高く必然的に糖質含量が低くなります。機能性届け出表示数は約150件で今後に期待が高まります3)。飲料によく採用されていたり、コンビニのもち麦おにぎりに含まれていたりと女性人気の高そうな商品におすすめです!
ペクチンは水溶性食物繊維であり、フルーツを原料とする増粘多糖類です。柑橘類の皮を原料とするためSDGs素材としても価値が高まってきています。機能性としては血糖値抑制上昇が報告4)されており摂取量の多さは課題であるものの今後の展望に期待です。機能性表示届出としては当社のペクチンケアーでしか採用されていませんが、血糖値上昇抑制効果が報告されています。アプリケーションではゼリーやグミなどと相性が良く、フレーバーリリースが良いのが特徴です。
手軽さを売りにしているコンビニに多数の食物繊維商品が並んでいます。では実際にどんな商品に食物繊維が多く入っているのか、みなさんの身近にあるコンビニ各社での目を引く食物繊維訴求商品を見ていきましょう。
他のコンビニと比べて珍しい飲料での食物繊維訴求商品であるゼロサイダートリプルファイバーは、ポリデキストロースが含まれています。水溶性食物繊維の一つでグルコース、ソルビトール、クエン酸を原料としています。
紹介する中で唯一の食材だけで食物繊維訴求をしている商品です。オクラ、海藻類、玉ねぎが入っているのにも関わらず1包装当たり4.5gの食物繊維摂取です。食物繊維を食材だけでたくさん摂ろうとするのは難しいことが伺えます。
スナック系に食物繊維訴求商品が多く、ナチュラルローソンシリーズであるプラントベースのビスケットには難消化性デキストリンが入っていて1包装で18.5gも食物繊維が含まれています。今回調査した中で最多で、一袋で一日の大半の食物繊維が摂れます。
食事摂取基準が改訂されると食物繊維ブームの波が広がるでしょう。各食物繊維源には多種多様なメリットがあり、アプリケーションへの適合性も様々です。今後もコンビニなどで身近にある食物繊維訴求商品がどのような形態、アプリケーションで販売されるのか動向に注目です!
参考文献
1)第5回「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会 資料001219684.pdf https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001219684.pdf
2)「水溶性食物繊維」「不溶性食物繊維」の多い食品一覧|MFSメディカルフードサービス https://www.medifoods.jp/blog/post-467.html
3) 機能性表示食品の届出情報検索 | 消費者庁https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/search/
4)ペクチンで初の機能性表示届出受理!! ヘルスクレームは血糖値上昇抑制 https://shokulab.unitecfoods.co.jp/article/detail214/
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