発酵食品の歴史と未来

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健康志向の高まりの中で、発酵食品の魅力が改めて注目を集めています。今回は、発酵食品の歴史と魅力、そしてこれからについて考えてみたいと思います。

食を彩る発酵食品

味噌、醤油、納豆、チーズ、そしてワインからパン・・・あらためて考えてみると、私たちの食生活は、実に多くの発酵食品に支えられています。
本格的な長寿社会を迎え、年齢を重ねても元気でいきいきと暮らしたいという健康志向の高まりの中で、発酵食品の魅力が、あらためて注目を集めています。
そもそも人類は、いつ、どこで、どのように発酵食品と出会ったのでしょうか?
発酵食品の歴史とその魅力、そしてこれからについて考えてみたいと思います。

発酵食品という個性的な食文化

発酵とは、微生物によって生じるいわば化学変化です。ひとつ間違えれば腐ってしまうものが、乳酸菌などによって「おいしい食品」に生まれ変わるわけです。発酵食品が人類の歴史に最初に登場したのは、偶然の産物だろうと言われています。食べ物の歴史の中で人類が最初に出会った発酵食品は、おそらくお酒か、ヨーグルトのような発酵乳と思われます。最初に発酵乳を利用したのは、中央アジアの人々でした。乳酸菌は、世界中どこにでもいる常在菌ですが、一方腐敗などを引き起こすカビや腐敗菌も同様にたくさん存在しています。中央アジアは、この腐敗菌などが比較的少なかったことから、乳酸発酵した食品が誕生しやすい環境だったのではないかと考えられています。そうした環境の中で、残った動物の乳を自然の乳酸菌が発酵させヨーグルトのような発酵乳製品をもたらしたのでしょう。また、ワインなどのお酒ですが、例えばブドウの皮には酵母菌があり、その実がつぶれて残った中から自然発酵してお酒が生まれたのではないかとも言われています。
いずれにせよ、それが食べられるものなのか、飲めるのかどうかなど、果敢にチャレンジしてきた昔の人々は、大変な決断を持ってトライしたことでしょう。失敗を繰り返し、体を壊したり、時には、いたんだ食材によって命を落とすこともあったかもしれません。そうした中で、発酵の歴史は積み重ねられ、少しずつ改良されて暮しの中に定着していったのです。

発酵食品には、健康に良い様々の特長があります。発酵は、食材の栄養素を細かく分解し、消化吸収しやすい状態にして、しかも美味しくしてくれます。ヨーグルトや納豆などは、まさにこうした特性を持つ典型的な発酵食品です。納豆の成分で、近年耳にすることも多い「ナットウキナーゼ」は、発酵によって豆が納豆に変わった時に生まれる新たな栄養素ですが、血栓を溶かす作用がある酵素と言われています。また、乳酸菌など腸内環境を整える体に良い有用菌を含んだものもたくさんあります。例えばヨーグルトがお腹の調子を整えてくれるというのは、すでに皆さんもご存知の通りです。

日本食にも、味噌、醤油、納豆など多くの発酵食品があります。これらは豆を使ったものですが、味噌と醤油は、その作り方に共通性の多い、親戚関係のような食品です。いずれも、長く日本人に愛されているだけに、味だけでなく、栄養面や機能でも優れた特性を持つ素晴らしい食品なのです。そして、秋田のしょっつるや能登のいしるなど、日本中に地域独特の製法や味わいを持つ味噌や醤油が数多く作られています。
納豆は、納豆菌という微生物によって豆が発酵して生まれた食品ですが、体に良くて健康的な食品として長く愛されています。これらの発酵食品は、世界的な和食ブームも手伝って、豆腐と共に、日本だけでなく世界中から注目され親しまれる健康的な食品になっています。

日本人は、日本古来の発酵食品だけでなく、チーズやヨーグルトなど外国の食品も、巧みに暮らしの中に取り入れてきました。和食から洋食、中華、そしてイタリアンまで、世界屈指の幅広いバリエーションを持つ食文化を、暮らしの中にごく自然に作り上げてきたのです。現在では、味噌汁よりも、チーズの入ったパスタやピザを好む子供たちも増えてきて、味噌や納豆など日本伝統の発酵食品は、少々肩身の狭い状況かもしれません。大都市圏では、パン食が主流になり、米食が減ってきているということもあり、納豆や味噌汁が朝ご飯の食卓に並ぶこともだんだん少なくなってきているようです。

発酵食品がもたらす未来

和食が、海を渡り世界中に広がる時代を迎え、味噌や醤油も、外国の有名シェフが調味料として積極的に活用することが当たり前になってきました。日本人には思いもよらないような使い方で、新しい味の世界を生み出しています。一方、日本人も、チーズやヨーグルトを、味噌と組み合わせて使ったり、新しいスタイルの味の世界を楽しんだり、普段の食事の中に取り入れたりするようになってきています。納豆菌や乳酸菌の持つ優れた整腸作用や健康に与える素晴らしい力は、機能だけでなく味の魅力と共に、新しい形の食文化を生み出しているのです。人類の長い歴史の中で生き続け発展してきた様々な発酵食品は、科学の力によってその魅力が解明され、様々な食品との出会いによって、さらに新たな食文化をもたらしています。日本ならではの伝統的な和食を家庭で楽しむ機会が減ってきているようにも感じますが、パスタに納豆を使ったり、味噌をサラダや肉料理のソースに使ったりなど新しいやり方で伝統的な発酵食品を活用する人も増えてきています。長い歴史の中で大切に育まれてきた素晴らしい発酵食文化は、これからも愛され親しまれていくことでしょう。

まとめ

味噌、醤油、納豆、チーズ、そしてワインなど私たちの食生活は、実に多くの発酵食品に支えられています。ひとつ間違えれば腐ってしまう可能性のあるものが、有用菌によって「おいしい食品」に生まれ変わるという微生物がもたらしてくれる素晴らしい贈り物、それが発酵食品です。
食を楽しみ健康で充実した生活を過ごしていくうえでも、発酵食品は、素晴らしい食材としてこれからも愛され続けるに違いありません。

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