台湾の「食」はなぜ日本人を引き付けるのか

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台湾といえば、台湾カステラが昨年にブームを引き起こしたのが記憶に新しいところ。けれどもそれ以前から、台湾の食べ物は日本の人々に愛されてきました。台湾に観光旅行で行く人の中でも、その目的に「台湾料理を食べる」を挙げる割合が大きいと言います。その秘密は何なのでしょうか。
今回は台湾料理の「歴史あるお店」と「斬新なお店」が揃って人気、と話題になっている「二子新地」で、両方のお店を巡ってみました。

意外な街に、親しみのある味があった

「仟」「伍」のように「へん」がついている書体。

東京・渋谷から田園都市線で15分ほど。セレブな街の印象が強い二子玉川からひと駅、多摩川の橋を渡ったところにその駅はありました。「二子新地」。ひと昔前は関西で言う「新地」の歓楽街だったという歴史があり、今も下町のような懐かしい雰囲気の商店街が駅から繋がっています。
訪れたのは、ちょうど日が暮れかけた時刻。駅から30秒のところに、赤い看板で存在感を発揮しているのが伝統店、「佰老亭」(ヒャクロウテイ 044-822-1234)。百にニンベンが付いているところが歴史を感じさせます。

豚の耳。ビールにも紹興酒にもよく合います。

聞くと現在の店主、ヤマタさん(旧姓・劉さん)のご両親が台湾から渡ってきて始めた店とのこと。店の歴史は35年になると言います。お父さんは亡くなり、お母さんは時々しか店に姿を見せません。ヤマタさんが、調理場を一手に切り盛りしています。
麺・飯・湯に一品料理と分かれたメニューから、まずはビールに合いそうな「豚の耳」を注文しました。沖縄当たりで豚の顔がそのまま店頭にぶら下がっていてぎょっとした体験をした方もいるかもしれませんが、たしかに沖縄の「ミミガーにも似た食べ方ですね。茹でた豚の耳に醤油ベースの辛いタレを付けて食べます。コリコリした食感は軟骨にも似ていますが、コラーゲンたっぷりの味わい。ビールも進みます。

香菜。甘辛いタレを掛けて

お酒を紹興酒に変えて、注文したのは腸詰と香菜(シャンツァイ)。香菜は、別名ご存じパクチーで、好き嫌いが分かれるようですが、まあ、せっかく台湾料理を食べるならばぜひ、お共に加えたいところ。

口にもおなかにもやさしいスープに入った水餃子。これも台湾の「おふくろの味」。

台湾の料理について書こうと思っているという話をしながら次に焼餃子を頼むと、「実は台湾には焼餃子はないんだよねー」とヤマタさん。「小籠包を飽きると焼いたりするけどねー」そうなんですか。台湾では一般的には水餃子なのだそうです。なので水餃子に変更。

店の歴史を感じさせる「中華民國」の国父・孫文と初代総統・蒋介石の肖像

ところで、台湾料理って何なんですかね、と聞いてみると「うーん、いわゆる中華料理と日本料理のハイブリッドみたいなところあるよねー」と。確かに地理的に近かっただけでなく、戦前に日本統治時代もあったことで、食文化も融合したのかもしれません。
「僕は家で食べてた家庭料理を店で出してるだけだから」
なるほど!実はお母さんがもともと台湾の方でお父さんが日本から渡り、そして子供を連れて日本に帰って来たというヤマタさんのファミリー・ヒストリー。その中で出た「家庭料理」という言葉にピンとくるものがありました。
「中華料理」を食べるぞー、と言うと、四川にしろ広東にしろ北京にしろ、ちょっと構えてよそ行きの料理を食べている感じがするのですね。家でみんながフカヒレや北京ダックを食べているわけではないですから。逆に「中国家常料理(家庭料理)」という言葉もあるくらいで。台湾料理として出てくるものが普通に家で食べている料理であることに一種の「懐かしさ」と「親近感」があるのかもしれません。

孫文と蒋介石。二人の「英雄」に見守られながら話しているうちに、すっかり紹興酒でいい気持ちになってしまいました。

これが台湾のニューウェーブ?

formosaは、台湾の美称ですね。

次の日訪ねたのが、同じ二子新地でもすこし奥にある『麺線屋 formosa』(めんせんや フォルモサ 050-5847-7248)。こちらはBARのようなおしゃれなお店ですが、やはり台湾でポピュラーな料理を出すお店として人気を呼んでいます。

カツオ風味にはまる、麺線。

まずはランチで、文字通り看板メニューの「麺線」をいただくことにしました。
麺線とは、そうめんのような細い麺を、とろみのあるスープで煮込んだ、煮崩れしにくい麺です。レシピは店によって違いますが、一般的にカツオのだしが使われることで、日本人にとても馴染みやすい味になっています。好みによってニンニクや自家製ラー油、そして台湾黒酢などを加えて食べます。台湾ではレンゲを使ってスープと麺を一緒に食べる料理だそうです。

端から全部、と頼んでみたくなります。

ランチでは、やはり麺線と並ぶ台湾のソウルフード「魯肉飯(ルーローハン)」との「ハーフ&ハーフセット」が人気です。

さてこの店では「小吃(シャオチー)」と呼ばれる台湾で人気のおつまみの類も豊富です。NO.1人気のからあげでもトマトでも、台湾で食べるそのままの味付け。ここは台湾ビールと合わせたいですね。

おつまみにも、ランチのトッピングにも。

ユニークと言えば、台湾を訪れた人が必ずと言っていいほど好きになるのが「お茶葉玉子(おちゃっぱたまご)」。この店でも人気NO.3ですね。中国語では「茶葉蛋(チャーイーダン)」と書きますが、文字通り、お茶の葉に八角、五香粉などの香料を加えた湯で作ったゆで卵です。この写真では表に出ていませんが、「表面に恐竜の卵のような模様が出るのも『カワイイ』というお客さんが多いです」と副店長のリエさん。リエさん自身、日本人ですが台湾の人と料理にハマって、気が付いたらこのお店で働いていたそうです。

店長の陳さん(右)と副店長のリエさん。「台湾ビールも台湾ウイスキーもおためしください」

オーナーで店長の陳俞嫃さんにも聞いてみました。「台湾料理が日本人に人気の秘密は何だと思いますか?」
「そうですね。まず中華料理のように油っこくないから、ヘルシーなことじゃないでしょうか」
そうか!それはありますね。
「それから、やはり味がなじみやすいのだと思います。口に優しいんですね。逆に台湾の人も、日本の味に違和感を覚えない人が多いですよ」
そう言われてみると、毎日食べても飽きなそうな「麺線屋 formosa」の料理。一見ニューウェーブに見えますが、実は新しさを追求するより、台湾料理の本道を堂々と歩んでいるように思えました。

まとめ

今回訪れた二店以外にも台湾料理の専門店は増えています。地元のチェーン店「三商巧福」も日本上陸して、人気が定着しているようです。カラダにやさしいけれど奥の深そうな台湾料理について、もう少し調べてみたいと思います。

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