おにぎりは昔話の「おむすびころりん」や「さるかに合戦」にも出てくる料理であり、まさに国民食です。コンビニやスーパーでは多くのおにぎりが販売され、最近では専門店も増えています。また運動会や遠足で両親に握ってもらったおにぎりや自分で握ったおにぎりが、印象深いという方もいるのではないでしょうか。そんなおにぎりが近年盛り上がっています。各社が高価格帯のおにぎりに注力したり、SDGs的観点から見直されたり、2024年2月2日には世界初となる「おにぎりサミット」が東京で開催されます。いったい今何がおにぎりに起きているでしょうか?見ていきましょう。
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国民食のおにぎりですが、その歴史は弥生時代中期までに遡ります。1987年に石川県の杉谷チャノバタケ遺跡で、炭化した米の塊 (チマキ状炭化米塊)が発見され「日本最古のおにぎり」として注目されました1)。その後平安時代には、現在大河ドラマでも話題になっている「源氏物語」に頓食 (とんじき) という名前で登場したり、鎌倉時代の承久の乱では梅干しおにぎりが武士に配布されたりといわれ、江戸時代には携行食として庶民にも広がったとされています。明治時代に登場した日本初の駅弁や日本初の学校給食においてもおにぎりが取り入れられています。このように、おにぎりは昔からなにかとなじみ深い料理であります。
おにぎりは様々な商品が販売されていますが、その代表格はコンビニおにぎりです。ぐるなびの調査によると、よく食べるおにぎりとして自分で作った (44.2%)、家族が作った (24.3%) を上回ってコンビニで購入したおにぎり (59.6%)が挙げられています2)。コンビニおにぎりの登場は1970年代に初めて登場し、フィルムの改良、具材のラインナップの追加、お米の改良などを重ね、不動の定番商品の地位を築きました。現在では、推計で50億個/年以上のおにぎりがコンビニで販売されています。近年では特に高級おにぎり (200円~300円/個)が注目を集めており、Family Mart の「ごちむすび」やLAWSONの「金しゃり」おにぎりなどのシリーズが展開されています。これらの高級おにぎりは通常のおにぎりよりも、お米の銘柄、お米の炊き方、海苔の質、具材の質にこだわったものになります。このコンビニの高級おにぎりのニーズの要因としては、コロナ禍により健康や食材にこだわったものを取りたいという意識の向上や、全体的な物価高の中においてプチ贅沢をする機会としてコンビニおにぎりが刺さったことが考えられます。
おにぎりの関心高まりの象徴的な出来事として、ぐるなび総研の2023年の今年の一皿に「ご馳走おにぎり」が選ばれたことが挙げられます。。「ご馳走おにぎり」の選定理由として、
・ふんだんに乗せた具材のしるしが食欲をそそり、見た目の華やかさからSNSを中心に話題となった。
・豊富な具材から選べる楽しみと飲食店で握りたてを味わうスタイルが消費者に受けご馳走へと進化した。
・おにぎりの消費支出額が増加傾向にあり専門店の新規開業が相次いで、中・外食の精米消費を後押しした。
・また海外でも“ONIGIRI”の名で販売され、日本の伝統的な食文化が浸透しつつある。
と紹介されています3)。
近年はおにぎり専門店の出店数も増えています。これらの要因としては、見た目の華やかさや贅沢感などとともに、小麦粉の価格上昇やお米のヘルシーさといった実利的な要素も指摘されています。さらには、香港、パリ、ベルリンといった海外の都市でもおにぎり専門店が展開されており、その広まりはグローバルなものになっています。
こうした中で、2024年2月2日におにぎりサミットが開催されます。おにぎりサミットは一般社団法人おにぎり協会、おにぎり連携自治体連合、株式会社JTB ふるさと開発事業部による「おにぎりを通じたまちづくり推進協議会」によって運営され、「おにぎりを通じて日本の食文化を世界へ」というキャッチフレーズのもと、調印式・発表式が行われます4)。新潟県南魚沼市をはじめとしたおにぎりの具材や関連する料理等に縁がある7つの自治体が参加し、地域の魅力向上にもつなげていきます。おにぎり通じた、新たなつながりが生まれようとしています。
今回はおにぎりの動向について紹介しました。あまりにも当たり前に存在するおにぎりですが、実はその詰まった魅力や価値が様々な場所で発信され、新たな取り組みが生み出されています。国民食であるおにぎりの今後の展開に、ますます注目です。
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参考文献
1) 能登の里山里海 杉谷チャノバタケ遺跡
http://noto-satoyamasatoumi.jp/detail.php?tp_no=371
2) 食に関するあらゆる情報を調査「ぐるなびリサーチ部 調査レポート」Vol.59 https://corporate.gnavi.co.jp/assets/966b2f67af3e43d3b254686ffe2f391b/
a39ca91944874a31ab3144edc6fbb6f9/20230619.pdf
3) 今年の一皿 https://gri.gnavi.co.jp/dishoftheyear/
4) ONIGIRI SUMMIT https://summit2024.onigiri.or.jp/
営業本部営業戦略G所属 2018年入社。
ゼラチンの基礎研究業務や機能性原料の営業業務への従事歴を持ち、現在はそれらで培った情報分析能力を生かし、機能性原料販売の企画・立案業務に取り組む。
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