知っていますか?チョコ、準チョコ、純チョコの違い -カカオ高騰で注目される「準チョコレート」-

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近年、世界のカカオ豆市場は高騰しています。2023年1月から2025年1月にかけて、価格は4倍にも跳ねあがり、現在も高止まりをしています。国内外のチョコレートメーカーは原料調達や価格設定、商品開発の面で大きな影響を受けています。こうした中、「準チョコレート」への注目が高まっています。今回は、カカオ高騰の背景や、注目が高まる準チョコレートのチョコレートの違いなどについて紹介します。

カカオ高騰の要因

カカオの価格推移 (US$/1000kg) 出典 : ICCO (国際ココア機関)

 ICCO(国際ココア機関)が公表するカカオ価格は、2023年1月は2.54$/kgであったのに対し、2025年1月には10.71$/kgまで跳ね上がりました。2025年5月時点では8.99$/kgまで高止まりしている状況です1
 この高騰には、複数の要因が関与しています。第一に、西アフリカの主要産地 (ガーナ、コートジボワール) での異常気象が挙げられます。洪水で農園が被害を受ける一方で、干ばつが発生した地域もありました。また、投機的な動きの影響や、零細農家の中にはカカオ栽培をやめるしまうことの影響などもあります2

カカオ高騰に対する対策と各種チョコレートの規格

 カカオが高騰する中、食品メーカーはチョコレート製品に対して、値上げ、チョコレート含量の削減など対応を行っています。消費者の動向としても、チョコレートの購入層がグミに流れているという報告が上ってます。このような中、準チョコレ―トに注目が集まっています。「準」チョコレートとは、チョコレートとどのような違いがあるのでしょうか?また、チョコレートの種類として「純」チョコレートも存在します。それぞれがどのようなものなのかを見ていきます。

チョコレート

まずはチョコレートの規格を確認します。チョコレート類の表示に関する公正競争規約3によるとチョコレートは、

・チョコレート生地が全重量の60%以上
・カカオ分(カカオマス+ココアバター)が全重量の35%以上
・ココアバターが全重量の18%以上
・水分3%以下

というものになっています。

準チョコレート

一方、で準チョコレートは以下のような規格です。

・準チョコレート生地が全重量の60%以上
・カカオ分 (カカオマス+ココアバター) が全重量の15%以上
・ココアバターが全重量の3%以上
・総脂肪分 (ココアバターと乳脂肪分を含む) が全重量の18%以上
・水分3%以下

というものになっています。準チョコレートの特徴として、カカオ原料の使用量を大幅に抑えながらも、チョコレートに近い味や食感を実現できることが挙げられます。

純チョコレート

純チョコレートは純を謳うにあたり、チョコレートより規格が厳しくなっています。

・チョコレート生地それ自体、またはチョコレート生地のみによって作られたチョコレート
・カカオ分(カカオマス+ココアバター)が全重量の35%以上
・ココアバターが全重量の18%以上
・糖分(ショ糖に限る)55%以下
・レシチン0.5%以下
・レシチンとバニラ系香料以外の食品添加物無添加
・ココアバター・乳脂肪分以外を使用していない
・水分3%以下
・その他公正取引協議会が承認したもの以外のものを加えていない

まとめ

今回はチョコレートの高騰の背景と、チョコ、準チョコ、純チョコの違いを紹介しました。チョコレートが高騰する中で、「準チョコレート」に注目が集まっているのは、カカオ原料の使用量を抑えられることが大きいです。このような、ちょっとしたワードの違いからも、世の中の動向や製品の規格・品質の枠組みを感じられるものとなっています。甘いチョコレートの苦い価格高騰の推移について、今後も注目です、

参考文献
1) 国際カカオ機関 (https://www.icco.org1)
2)“カカオショック” チョコレートの値上げが止まらない? (https://www.nhk.jp/p/ts/X67KZLM3P6/episode/te/MP7P4QPPZM/)
3)チョコレート類の表示に関する公正競争規約
https://toriaez-hp.jp/assets/1-B030000067/uploader/GL7rEvrWoc.pdf

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