近年、食品市場で注目されているのが「ギルティフード(背徳グルメ)」です。高カロリー、高糖質、高脂質を前面に押し出す、健康志向と対極にある「ギルティフード(背徳グルメ)」は、サントリー食品インターナショナル株式会社が2026年3月24日に「ギルティ炭酸 NOPE」を発売するなど、ますます勢いづいています。
なぜ私たちは、「ギルティ(罪悪感)」を食に求めるのか。今回の記事では、現代人取り巻く環境から、その背景に迫ります。
ギルティ炭酸 NOPE ギルティフードとは、高カロリー、高糖質、高脂質、高塩分といった健康に悪い負の要素を含むものの、むしろそのギルティ (罪悪感) や背徳感を積極的に楽しんで味わう食品を指します。その消費の様子から、ギルティ消費とも称されます。
肉、チーズ、バター、クリーム、にんにくなどをたっぷり含むものが一般的にギルティフードと認識されています。今年の3月には、サントリー食品インターナショナル株式会社が「ギルティ炭酸 NOPE」を発売しました。600mlペットボトル1本で336kcalという高カロリーかつ、99種類のフルーツとスパイスを含む炭酸飲料は世間に衝撃をもたらし、発売50日で5,500万本の出荷を達成しています。ほかにもプリマハム株式会社の「ギルティ」シリーズで、「ギルティソーセージ」や「ギルティベーコン」などが展開され、市場で注目されています。
出典 : 株式会社マクロミル 【図表6】ギルティ消費の際に求めること・期待(複数回答) このようにギルティフードが市場を席巻する中で、ギルティフードの何が私たち現代人に刺さっているのでしょうか? 2026年4月に発表した株式会社マクロミルの調査では、ギルティ消費の際に求めること・期待という質問に対して、1位「ストレスを発散したい (59.9%)」、2位「頑張っている自分をほめてあげたい (37.4%)」、3位「強制的に脳を「多幸感」で満たしたい (34.6%)」、4位「嫌なことを忘れたい (34.3%)」と、ストレス発散、ご褒美理由が上位を占めます。加えて、ギルティ消費を行う際の自分への“言い訳”という質問に対して、1位「たまには息抜きも必要だ(53.3%)」、2位「今日(今週)はこれだけ頑張ったから(36.2%)」、3位「今日は特別な日だから(27.4%)」となり、リフレッシュや自分へのご褒美がギルティ消費と強く結びついていることが伺えます。日々のストレスを、罪悪感 (ギルティ) を抱くような食品で癒すという、毒を以て毒を制すという現象が生じており、現代人の取り巻くストレスが一筋縄で解消できないことを示しています。
マクロミル株式会社の同調査では、52.8%の人がギルティ消費を意識的に経験したことがあると回答し、2026年5月に発表した株式会社ぐるなびの調査では、背徳グルメを食べることが「よくある」+「たまにある」と回答したのが53.1%に達しています。2022年に実施したぐるなびの同様の調査からは、「よくある」+「たまにある」の回答者が10%以上増加しており、現代人をとりまくストレスがますます深刻化していることが伺えます。
SNSで話題のドカ食い漫画 「ドカ食いダイスキ!もちづきさん」 ギルティフード市場の台頭やギルティ消費の習慣化の波は、SNSやメディアからも裏付けられています。テレビ朝日公式YouTubeチャンネルでは、背徳感を満たすハイパーグルメ番組『背徳フライデー』を毎週金曜日に配信しています。若手人気芸人である体重190kg・大鶴肥満 (ママタルト) と体重130kg・ぐんぴぃ (春とヒコーキ) が背徳グルメを爆食する姿は好評を博し、再生回数が100万回を超える動画が複数本出ています。
また、ヤングアニマルで連載されている21歳の営業事務OLの主人公が肉や油やにんにくなどがたっぷりな数千kcalもの料理を一度にドガ食いする漫画である『ドカ食いダイスキ! もちづきさん』は、「次にくるマンガ大賞 2025」Webマンガ部門第6位受賞するとともに、セブンイレブンやカレーハウスCoCo壱番屋などの食品会社とコラボするなど、作品外でも幅広く脚光を浴びています。
前述のぐるなびの調査では、背徳グルメを誰と楽しみますかという質問に対して、1位「ひとりで (58.1%)」が2位「配偶者、パートナー (26.0%)」に大差をつけています。SNSで見て楽しむギルティフードコンテンツの増加は、ひとりで楽しむギルティ消費のサイクルをより強化していくでしょう。
ギルティ消費は拡大傾向にあり、サントリーのような大企業がビジネスチャンスをここに感じていることから、ますます過熱していくことでしょう。日々のストレスを、食で解消する。人間の根源的な欲求に基づき食品を提供することは、ビジネスの最適解の一つとも言えるかもしれません。その一方で、かつて一世を風靡したストロング系チューハイが健康リスクなどの懸念から撤退の方向性に働いたように、ギルティフードに対してそのような逆風が出てくることは考えられ、今後の動向に注目です。
今回の記事では、ギルティフード市場の台頭の背景を紹介しました。食への欲望とストレスへの癒しを反映したギルティフードが今後どのように展開されるか注目です。
参考文献
【調査レポート】意識的ギルティ消費は40〜60代女性もハマる現代人の新・ストレス発散法。経験者の20%が週1回以上/マクロミル
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000670.000000624.html
【ぐるなびリサーチ部】“背徳グルメ”に関する調査
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001625.000001511.html

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