果実を唐辛子とライムで漬けたメキシコの調味料「チャモイ」が、アメリカで広がっています。検索される量はホットハニーの約3倍。現地で何と一緒に検索されているかを600件あまり調べると、使われているのは料理ではなく、菓子と果物とドリンクでした。日本での状況もあわせて紹介します。
チャモイは、あんずやプラムなどの果実を唐辛子・ライム・塩と合わせたメキシコの調味料です。とろりとしたソースからパウダーまで形はさまざまで、口に入れると甘い・酸っぱい・しょっぱい・辛いが一度にやってきます。日本の「梅干し」がルーツという説もある 何だがクセになる味。
メキシコ現地での使い方は独特です。カットしたすいかやマンゴーにかける。キャンディにまぶす。ビールのカクテル「ミチェラーダ」では、グラスの縁に塗って塩の代わりにします。「甘いものに辛味と酸味を足す」文化の中心にある存在です。
アメリカでは、メキシコにルーツを持つ人々の日常の味だったものが、SNSを通じて広い層に知られるようになりました。検索してみると検索候補には今も「チャモイとは何か」「どう発音するのか」という質問が並びます。知らない人はまだ多いのに、検索の規模は既に大きいという面白い状況になっています。
アメリカで「chamoy」は月におよそ13万5,000件検索されています(2026年7月までの12か月平均)。以前紹介したホットハニー(約5万件)の3倍近い数字です。
外食市場でも「chamoy」が出てきました。2026年6月末には、全米で3,000店超を展開するチキンウイングチェーンが、チャモイ味のウイングを夏の期間限定フレーバーとして発売しています。乾いた下味の上からチャモイソースをかける仕立てで、甘み・酸味・辛味を一度に載せる設計です。
言葉の側にも動きがあります。甘い×辛いを指す「Swicy(スワイシー)」に続き、大手食品メーカーが2025年11月に公表した2026年のトレンド予測は、そこに酸味を加えた組み合わせを次の波と位置づけました。甘辛の、その次は甘酸っぱ辛い。その代表格として挙げられているのがチャモイです。
実際にアメリカの人たちはチャモイを何に使っているのか。「chamoy」と一緒に検索されている言葉を600件あまり集めて数えました(2026年8月時点)。
| 一緒に検索されている言葉 | 件数 |
|---|---|
| キャンディ | 41 |
| マンゴー | 40 |
| ピルクス | 33 |
| ソース | 31 |
| フルーツ | 21 |
| グミ/ アイスクリーム | 各10 |
| ビール / ミチェラーダ | 計15 |
目を引くのは、料理の名前がほとんど出てこないことです。ホットハニーの相手がチキンやピザだったのに対し、チャモイが結びついているのはキャンディ、マンゴー、グミ、アイスクリーム。食事ではなく、おやつと甘味の領域で一緒に検索されています。
また、ビール関連も一定数あります。グラスの縁に塗る使い方が定着しているためで、菓子だけでなく飲料での消費も既にあることが分かります。
チャモイの検索が大きく跳ねた瞬間がありました。ピクルスを丸ごとチャモイに漬け込む食べ方がSNSで話題になり、「chamoy pickle」の検索は2024年1月に月16万5,000件まで急騰します。それが現在は1万8,000件前後、前年比0.58倍まで沈みました。
一方で「chamoy sauce」は前年比1.09倍、キャンディ関連の検索群は同1.25倍と伸びています。話題性が先行した食べ方が引いて、調味料としての使い方が残った形です。「chamoy」全体の検索も前年比では0.91倍と山を越えていますが、直近の2026年7月は20万件超と、夏に高い水準へ戻しています。
では日本はどうか。「チャモイ」で調べる人は月に210件、この4年間ほぼ横ばいです。前回紹介したホットハニーが320件程度検索されていることを考えるとまだまだ知られていません。市場でも、近い系統ではチリとライムの塩系シーズニングが輸入食品店で買える程度です。
メキシコでは「何にでもチャモイをかける」と言われるほど万能に使われているチャモイ。トロッとした「液体ソース」のほか、グミなどにまぶす「パウダー(粉末)」、ねっとりした「ペースト」など多様な形態で流通しています。アメリカでの使われ方を見ると、フルーツ、グミ、アイスクリーム、ドリンク領域での消費が多いようです。
日本ではまだまだ認知されていませんが、「甘くて、酸っぱくて、しょっぱくて、辛い」独特な味わいは日本人にもどこか懐かしい風味なのかもしれません。

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