海外市場から学ぶ!
植物性飲料・デザートのトレンド
今アメリカでは、植物性タンパク質は投資家が注目する商品となっており、新しい商品が次々に登場しています。筆者も、この1年間でスーパーマーケットや飲食店において植物性タンパク質の加工食品の取り扱いが随分と増加したように感じています。これまでのコラムでも、植物性タンパク質の加工食品について取り上げてきましたが、今回は、最新トレンドおよび実際にアメリカで販売されている商品を紹介します。
(調査日:2021年4月)
Plant Based Foods AssociationおよびGood Food Instituteによると、肉や牛乳、チーズ、ヨーグルト、卵など動物性食品の代替となる植物性食品の売上(小売)は、アメリカ国内で2020年に70億米ドルに達しました(前年比27%増加)。このうち最も売上が大きかったカテゴリーが植物性ミルクで、25億米ドル(前年比20.4%増加)でした。また、植物性肉カテゴリーは14億米ドル(前年比45.3%増加)で、現在、小売業における植物性肉の売上は肉類の総売上の2.7%を占めるまでに成長しています。(※1)
最近は、健康上の理由や、畜産が環境に与える影響を理由に、普段動物性の肉を食べている人も、時には植物性の肉を選択することが増えています。アメリカの食品業界では、サステナビリティーを追求する企業への投資が増え、動物肉に比べて温室効果ガスの排出量などが少ない代替肉を手がける企業に注目が集まっています。Good Food Institutionによると、代替タンパク質(植物性、細胞培養、および発酵のタンパク質)を手がける企業に対する2020年の投資額は31億米ドルに達し、前年から3倍近くの増加となりました。このうち、植物性タンパク質を手がける企業への投資は21億米ドルでした。植物性ハンバーガーパテで有名なImpossible Foods社やBeyond Meat社のように植物性タンパク質の流行を手掛けた企業の業績は好調で、新たなスタートアップ企業も数多く生まれています。(※2)
海外市場から学ぶ!
植物性飲料アーモンドミルクやオートミルクといった植物性ミルクは、アメリカでは、もはや珍しくありません。中でも、ソイミルク(豆乳)はタンパク質含有量が多いことで以前から有名ですが、最近ではエンドウ豆から作られるピーミルクも、タンパク質含有量が多く、また遺伝子組み換えやアレルギーの心配もないことから人気商品になっています。
とりわけアメリカで有名なのがRipple Foods社のピーミルクであり、無糖タイプ、加糖タイプに加え、バニラ味、チョコレート味の商品展開になっております。無糖タイプは1食分(240ml)あたり80キロカロリーで、牛乳と同等の8gのタンパク質が含まれています。原材料には、エンドウ豆タンパク質のほか、サンフラワーオイル、藻オイル、ビダミンB12などが含まれています。
今、アメリカのSNSで話題になっているのが、フードテック企業のSimulate社が展開する植物性チキンナゲットNUGGSです。同社は、動物性チキンナゲットの食感と味を実現させるために、消費者からフィードバックを得て、ソフトウェア開発のように絶えずバージョンアップ(改善)した商品を発表しています。ホームページ上では、”NUGSS 2.0” や“THE TESLA OF CHICKEN”と表記されています。最新バージョンのナゲットは、大豆と小麦タンパク質を使用していますが、前バージョンの製品には、こんにゃく、乾燥した海藻、エンドウ豆タンパク質、グルテンが用いられていました。5ピース(85g)あたり210キロカロリーで、タンパク質量は13g、脂質は10g、コレステロールゼロとなっています。
CEOのBenjamin Pasternak氏は、2018年に19歳で同社を設立し、2019年7月に最初のNUGGSの販売を開始しました。2019年に、冷凍ポテト製品の世界最大メーカーであるMacCain Foods社から700万米ドルの投資を受けており、この提携により販路が拡大しました。
今、徐々に増えつつあるのが植物性シーフードです。Gathered Food社が展開するGood Catchブランドは、地球環境を守ることをコンセプトとし、パウチ入りの植物性ツナをはじめ、冷凍の植物性フィッシュバーガーパテ、クラブケーキ、およびフィッシュケーキを展開しています。いずれの商品にも、「独自の6種類の豆をブレンドしたもの」(エンドウ豆、大豆、ひよこ豆、そら豆、レンズ豆、白インゲン豆)が原材料に使用されており、フィッシュバーガーパテの場合、1食分(113g)で21gのタンパク質が含まれています。
また、植物性のエビを開発する企業もあります。New Wave Foods社は、緑豆を中心とした植物性タンパク質および海藻を原材料として植物性のエビを製造しており、2021年半ばから飲食店向けに販売することを発表しています。同社は、アメリカの食肉加工最大手のTyson Foods社から出資を受けています。このようにアメリカでは植物性シーフード企業にも注目が集まっています。
筆者が住む地域のスーパーマーケットでは、冷凍食品コーナーでの植物性商品の取り扱いは、1年前は一番端の縦1列のみでしたが、現在では3列まで増えています。新型コロナウイルスの影響により家庭で食事をとる消費者が増えたこともあり、今後は、植物性タンパク質を使ったメインディッシュ系の冷凍食品も増えていくのではないかと筆者は考えています。
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