最近耳にすることが増えた「植物肉」や「昆虫食」。このような代替食品や新規素材に注目が集まるようになった理由の1つに「タンパク質危機」と呼ばれる食料問題が潜んでいます。このタンパク質危機、10年以内に日本にも波及する可能性がありますが、国民の認識や意識は決して高くありません。今回はこのタンパク質危機に関連する意識調査結果をご紹介します。
※本記事は引用または転載を含みます(出典:株式会社グリラス)
国連によると、2030年の世界の人口は85億人、2050年には97億人に達すると見込まれており、この人口増加によって世界の食料の需給バランスは崩れるという予測があります。(出典:国連連合広報センター)タンパク質も例外ではなく、牛や豚、鶏といった既存畜産に依存したタンパク質供給では、急激な増加を続けている世界人口を支えられなくなると言われており、2025年~2030年には需要と供給が逆転する「タンパク質危機」が発生するとされています。この危機を回避するため、FAO(国際連合食料農業機関)はタンパク質が豊富かつ、飼育に必要な水や飼料、飼育時の温室効果ガス排出量の少ない昆虫食を推奨しています。(出典:FAO「食品および飼料における昆虫類の役割に注目した報告書」)このタンパク質危機に対し、人々はどの程度「危機」意識を持っているのでしょうか?
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2022年1月14日~16日にかけて、国内の15歳~60代の男女1000人に対し、タンパク質危機(およびそれに関連する内容)に関する意識調査を行いました。
・調査方法:インターネットリサーチ
・調査名:株式会社グリラス「食と環境・昆虫食に関する定点意識調査2022年1月」
タンパク質危機ひいては環境問題を回避する手段の1つとして、FAOは昆虫食を推奨しています。昆虫食が社会課題に対しなぜ有効なのか解説するために、代表的な昆虫食としてコオロギを取り上げます。コオロギせんべいが巷で話題になっていたのが記憶に新しいところです。
メリット① 豊富なタンパク量
フタホシコオロギを粉末化したグリラス社の「グリラスパウダー」は100gあたり76.3g※1のタンパク質を含みます。これは鶏むね肉(皮なし)のタンパク量24.4g※2の約3倍です。また、コオロギは鉄分やカルシウム、オメガ3といった体に必要な栄養素を数多く含んでいます。
※1 日本食品分析センターでの分析結果より(出典:株式会社グリラス)
※2 日本食品標準成分表八訂より
メリット② 環境負荷の低さと生産のしやすさ
コオロギは牛や豚などの家畜に比べて必要なエサ、水の量が少ないため環境負荷が低かったり、コストがかからなかったりというメリットがあります。また成長が早く、1~2か月週間程度で生産から出荷まで終えることができます。さらに「サーキュラーフード」と言って、食品加工ざんさや農業ざんさなどの人間が出した食品ロスをエサにコオロギを飼育するという、循環型食品としての側面も持ち合わせます。
このメリットはどの程度認知されているのでしょうか昆虫食のメリットに関する調査では、「何も知らない」という回答が全体の約33%で最多です。一方タンパク質やミネラルなど栄養価に関する回答が30%弱と上位ではあるものの、環境負荷の低減というメリットについては約13%と認知度が低いことが分かります。
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今回の調査からわかった課題は、①世間のタンパク質危機の認知度は低いものの、認知すれば一定数が行動する可能性がある、②昆虫食は社会課題を解決するポテンシャルがあるものの、マイナスイメージが先行している、ということです。本調査を行った株式会社グリラスは、昆虫食の認知拡大による上記課題の解決のために、様々なコオロギ加工食品を展開しています。同社が手掛けるフードブランドC. TRIAは、コオロギクッキー(写真)やコオロギカレー、コオロギパンなど身近でおいしいコオロギ加工食品を展開しています。また、幅広い食品に応用できるパウダータイプやエキスタイプを取り揃えています。
近い未来に訪れるであろう食料問題・環境問題のために、一度コオロギ食を試してみてはいかがでしょうか。
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