2022年10月に、アメリカの自然派食品スーパー大手「Whole Foods Market(ホールフーズマーケット)」が2023年の食品トレンド予測を発表しました。今回のコラムでは、前回に引き続き、実際にWhole Foods Marketで販売されている各トレンドの市販品を紹介します。
(調査日:2022年12月)
デーツとは、なつめやしの実のことで、中近東諸国では日常的に食べられています。中近東やアメリカで多く生産され、最近は天然の甘味料としても注目を集めている食材です。
カナダのGood Food For Good 社は、砂糖の代わりにデーツを使用したオーガニックケチャップとBBQソースを展開しています。従来のケチャップには大さじ1杯あたり4gの精製糖が添加されているのに対し、同社のケチャップには大さじ 1 杯あたりデーツ由来の糖分が1gのみ含まれている点が特徴です。オーガニックケチャップはクラシックとスパイシーの2種類、BBQソースはクラシックと甘辛(Sweet & Spicy)の2種類が販売されています。
アメリカのJust Date Syrup 社は、デーツのシロップやグラニュー糖など、デーツの天然の甘みを活用した商品を専門に手掛けています。デーツシロップに使われている原材料は、オーガニックのマジョールデーツ(medjool dates)のみです。シロップは、コーヒーに入れたり、パンケーキやトースト、ヨーグルトにかけたり、サラダドレッシングの材料にしたりとさまざまな使い方ができます。
一方、デーツのグラニュー糖は、本来であれば廃棄されているデーツを活用したアップサイクル食品です。デーツを乾燥させて、粒子状に細かくしたものなので、薄茶色をしています。小さじ1杯(4g)あたり、1gの食物繊維が含まれているのが特徴で、コーヒーや紅茶用の砂糖としてだけでなく、お菓子作りから普段の料理まであらゆる用途で使用可能です。
アメリカでは、パッケージに”Pasture-Raised”という単語が書かれている卵が増えています。これは「放牧で育てられた」という意味です。
Viatal Farms社は、Pasture-Raisedを実践する企業のひとつです。同社は現在300を超える小規模の家族経営農場と契約しており、すべての農場がアメリカ国内の温かい気候の地域にあり、かつ雌鶏を放し飼いの状態で育てています。21日ごとに牧草地をローテーションする仕組みを取り入れ、雌鶏が常に新鮮な牧草の上で生活できるようになっています。
また、アメリカでは紙パック入りの液状卵(Liquid Eggs)の商品化も進んでおり、Vital Farms社では、放し飼いで育った雌鳥の卵を使った液状卵を販売しています。
大気中の二酸化炭素を吸収する性質を持つ昆布は、地球温暖化に対するサステナブルな食材として注目が高まっている食材のひとつです。
12 Tides社は、北米の小規模業者が養殖した昆布を使ってオーガニックのチップスを生産・販売しています。昆布のうまみとサクッとした食感が特徴で、キャッサバ粉とタピオカ粉を使用したグルテンフリーチップスです。フレーバーは、シーソルト、チリ、エブリシング*の3種類で展開されています。同社は売上の一部を、南カリフォルニア沖の藻場を回復させるプロジェクトに寄付しています。
*エブリシング:塩、ポピーシード、ごま、ガーリック、オニオンなどを混ぜ合わせたもので、アメリカのベーグルでは定番のフレーバー。
Ocean’s Halo社は昆布を使った食品を数多く手掛けるアメリカ企業のひとつです。昆布を使った植物性のチキンスープやビーフスープ、フォー用のスープ、ラーメン用スープなど料理のベースとなるスープを幅広く展開しています。加えて、昆布を使ったビーガン用フィッシュソース、インスタントヌードルなども販売しています。同社の商品は、WalmartやKrogerなどアメリカの大手チェーンスーパーでも展開中です。
昆布ヌードルを手がけているのがSea Tangle Noodle Company社です。昆布ヌードルは、水洗いしてサラダにする、野菜と一緒に炒める、スープに入れるなどさまざまな料理に使うことができます。1食分(113g)で6kcal、グルテンフリー食品です。同社の昆布ヌードルの色が白っぽい理由は、昆布の外側の褐色部分を取り除き、内部の白色部分を使用しているためで、取り除いた褐色部分はパウダーにして原材料として使われています。
デーツは日本ではあまり馴染みのない食材ではあるものの、アメリカでトレンドになると日本でも人気が高まる可能性があるでしょう。一方、昆布は日本では欠かせない食材ですが、他国では同じ昆布でも使い方が異なったり、フレーバーが異なったりするため、日本での新商品開発のヒントとなることがあります。
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