近年、完全栄養食が注目されています。これは、人間が生きるうえで必要栄養素を適切なバランスで含んでいる食品のことです。日本ではパン、パスタ、焼きそば、カレーライス、スムージーなど多様な商品が販売されています。この記事では、海外で販売されている完全栄養食の市販品を紹介します。
完全栄養食の市場は、世界的に成長を続けています。2022年には約41億米ドルであった市場が、年平均成長率(CAGR)6.5%で成長し、2032年には約72億米ドルに達する見込みです。市場の成長は、健康意識の高まりや、個々の健康状態や栄養ニーズに合わせてカスタマイズできる利便性の高い製品を求める傾向によって支えられています。この市場は北米が最大で、次に欧州が続き、アジア太平洋地域は今後最も成長する市場となる見込みです1。
主な製品タイプは、粉末、RTDシェイク、栄養バーです。海外では粉末タイプが市場の半数を占め、今後はRTDシェイクの成長が予想されています2。また、海外で販売されている完全栄養食は、健康維持に必要な栄養素を手軽に摂取できるという利便性だけでなく、オーガニックや植物性の原材料、リサイクル容器を使用するなど、サステナブルな面を訴求する傾向にあるのも特徴です3。
ここでは、欧米で展開する4つの企業を取り上げ、市販品を紹介します。
〈Soylent〉
2013年にアメリカのシリコンバレーで誕生した完全栄養食の先駆けとも言われている企業です。ソイ(大豆)たんぱく質をベースに、粉末、RTDシェイク、バータイプの製品を展開しています。中でもComplete Mealシリーズは、RTD シェイクの場合、1本(414ml)あたり400kcalで、20gのたんぱく質、28種類のビタミンとミネラルを含みます。フレーバーは、オリジナル、バニラ、チョコレート、ストロベリー、バナナ、ミント、カフェモカです。
〈Jimmy Joy〉
2014年創業のオランダ発の完全栄養食ブランドで、粉末、RTDシェイク、バー、インスタント食品を販売しています。バータイプの商品は、1本(100g)あたり400kcalで、炭水化物、20gのたんぱく質、脂肪、食物繊維、プロバイオティス、そして26種類のビタミンとミネラルを含みます。オーツ麦、米、大豆、タピオカ、菜種油、亜麻仁、チコリなどの天然および植物ベースの原料で作られています。フレーバーは、チョコレート、バニラ、チェリー、キャラメルシーソルト、アップルシュトゥルーデルなど7種類です。
Jimmy Joyは、インスタント食品の完全栄養食も手掛けており、以下7種類のラインアップを展開しています。
・Creamy Cajun Pasta(クリーミー・ケイジャン・パスタ)
・Lentil Bolognese(レンティル・ボロネーゼ)
・Mac ‘N Cheeze(マカロニ&チーズ)
・Vegetable Korma Rice(ベジタブル・コルマ・ライス)
・Mushroom & Buckwheat Risotto(マッシュルーム&バックウィート・リゾット)
・Satay Noodles(サテ・ヌードル)
・Tikka Masala Lentils(ティッカ・マサラ・レンティル)
いずれも、中身を容器に入れて熱湯を注ぎ、5分間待つと完成します。1食分あたり400kcal、20gのたんぱく質、26種類のビタミンとミネラルなどが含まれます。1袋に10食分が入っています。
〈Y Food〉
ドイツに本拠を置く完全栄養食ブランドで、粉末、RTDシェイク、バーを展開しています。粉末タイプの製品は、たんぱく質、脂質、炭水化物、食物繊維、26種類のビタミンとミネラルを含みます。水と混ぜるだけで簡単に栄養価の高いシェイクが作れるため、持ち運びにも便利で外出先でも手軽に栄養補給が可能です。同ブランドは、ミルクプロテインをベースにした動物性製品と、大豆やえんどう豆をベースにした植物性製品の両方を展開しています。
Y Foodは、製品の生産プロセスにおいて地域の原料やグリーンエネルギーを使用することで二酸化炭素の排出を抑えたり、ドリンクボトルにはリサイクルプラスチックを使用したりと環境への影響を最小限に抑える努力をしています。
〈BOL Foods〉
イギリスを拠点とするプラントベース食品のブランドで、製品ラインアップのひとつにオーツミルクを主原料にした完全栄養食のRTDシェイクがあります。1本(410g)あたり20g以上のたんぱく質、26種類のビタミンとミネラルを含みます。チョコレート味の場合、原材料は、オーツミルク、バナナピューレ、デーツ、大豆たんぱく質、ココナッツクリーム、ココアパウダー、ヘーゼルナッツバター、ビタミン&ミネラル複合体、コーンスターチ、塩です。
完全栄養食市場は、健康意識の高まりと利便性の追求により急速に成長を続けています。海外では、日本のような食事系の商品はまだ少ないようですが、今後どのような新商品が登場するか引き続き注目です。
【参考資料】
1.https://www.marketresearchfuture.com/reports/complete-nutrition-products-market-12304
(2024/05/24参照)
2.https://www.maximizemarketresearch.com/market-report/complete-nutrition-products-market/127492/
(2024/05/24参照)
3.https://imidas.jp/newjijiword/?article_id=l-91-089-24-04-g772
(2024/05/24参照)
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