前回は「競技かるた」の粂原圭太郎名人の強さの源となっている食生活を中心にお聞きしました。今回はさらに大きな決定力となる「精神力」についてお聞きしていきます。
(前回の記事はこちら)
--そもそも名人が「かるた」をやるようになったのは、どんなきっかけだったのですか?
(粂原名人)
始めたのは小学校5年の時ですね。当時は、テニス、野球もやっていて、野球はエースで4番だったんですよ。でもかるたを始めて1年でかなり上達、面白さにのめり込んで、野球は物理的に時間が取れなくなってやめました。チームメイトには怒られましたけど(笑)
--その後、京都大学に首席入学とか。文武両道だけでなく、まず超秀才でもあった?
(粂原名人)
こう言うと嫌味に聞こえるかもしれませんが、僕自身は全然フツーの人間です。ただやりたいことは我慢できなくて、何でもやってしまうという人生でここまできました。もちろん挫折がなかったわけじゃありませんけど、運よく乗り越えてきたという感じですね。
--現在かるた名人としてだけなく、経営者としても活躍しておられます。学生時代から起業したオンライン塾に加え、受験や読書法に関する著書も多く出されています。勉強とかるたに通じることはありますか?
(粂原名人)
勉強とかるたには通じるところがあります。人生には学ぶべきことは無限にあると思いますが、こと受験勉強に限って言うと、「うまくやる」方法というものは確実にあります。それを知っていると知らないとでは大きな差が出るのです。そのことを伝えていくのが私の仕事だと思っています。
カギは、やはり集中力。そして「ワーキングメモリー」です。
--「ワーキングメモリー」とは?普通の記憶力と違うのですか?
(粂原名人)
はい。ただの暗記ではなく、いわば「短時間に情報を保持し、同時に処理する能力」とでも言うべきものです。試験で問題を解く際、前提条件を把握して解決方針を立てるのには欠かせない能力です。「競技かるた」はこのワーキングメモリーを鍛えるのに最適なのです。歌を覚え、札の位置を覚え、状況に応じて札への反応の仕方を絶えず考えていくためです。
かるたが強い高校が受験でも強い有名進学校であるのは、偶然ではないと思います。また、かるたが盛んな福井県の小中学生が全国学力テストで上位常連なのも、因果関係は証明されてはいませんが、集中力繋がりではないかと思っています。
--とてもポジティブに見える名人ですが、挫折したこともあると?
(粂原名人)
高校生の時、首の骨を折るという大けがをしました。この時はそれほど悲観することはなかったのですが、実は2・3年前には鬱に陥った時があります。その時は仕事をする以外はベッドで寝た切りという状態でした。
それを救ってくれたのは、かるたです。名人戦西日本予選に、もともと出る気もなく練習もしていなかったのですが、たまたま後輩に誘われて出たら、運よく勝ち進み優勝することができました。あと一歩のところで名人戦では敗れましたが、これで自分の中で自信が付きました。振り返ると逆転して勝ったことが多いのも、どこかで「必ず勝てる」と信じているからだと思います。
--なぜそこまで強くなれたのでしょう?
(粂原名人)
もちろん自分なりに努力はしましたが、運がよかったことは間違いありません。名人位西日本予選を初めて突破できた時には「運」を確実に感じました。そもそもかるたは、運の要素もかなりある競技なんです。ただ自分は楽しくなくては続かないと言うのが信念で、運も努力も楽しみながら、もっと楽しく、と突き詰めていくのです。それが結果として、名人という立場に繋がったのだと思います。
--フィジカル(肉体的)なことと、メンタル(精神的)なことと、競技かるたではどちらの要素が大きいのですか?
(粂原名人)
フィジカルだけでも、メンタルだけでもダメですね。体が疲れていたり筋力が足りていなかったりすると、無理に消耗して集中力が途切れてしまう。逆に気持ちに張りがあればこそ、早起きして規則的で健康な生活も送れます。いわば体と心が支え合っているんですね。
--習慣として摂っておられるクレアチンが精神的にも役立っている面があるとか?
(粂原名人)
クレアチンは筋肉を効率的に付けるため飲み始めたのですが、集中力を発揮する助けになっているように思います。大会ではもちろん集中していますが、練習では以前は気が抜けることも正直有りました。それがほとんどなくなり、接戦を制することが多くなりましたね。
「最強の挑戦者」との防衛戦を前に、心身とも充実した時間を過ごしておられる粂原さん。次は、「名人の人生にとってかるたとは?」を伺っていきたいと思います。
・読手(どくしゅ)とは
読み手として、かるたの上の句を朗々と歌い上げる。二枚目からはタイミングを取るため、前に読んだ歌の下の句を読み上げ、1秒ほどの間を空けた後に次の歌を詠む。
・かるたの審判について
通常は審判はおらず、どちらが先に札を取ったかは対戦者同士で確認を行う。名人戦などのハイレベルな公式戦では、試合の最初から審判が付く。一般に高段者のベテランが審判を務める。
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