全8種類の調査レポート
アメリカ市場調査レポート~2020年調査~
日常生活に欠かせない便利なプラスチックですが、リサイクルされないプラスチックは地球上のどこかでゴミとして蓄積されてしまっています。アメリカ環境保護庁によると、アメリカにおける2017年のプラスチック全体のリサイクル率は8.4%でした。(※1)アメリカ全体で見ると脱プラスチック対策はまだまだ発展途上の段階ですが、積極的に脱プラスチック化の取り組みを実施している州や自治体、企業も多くあります。今回はアメリカの州や自治体による脱プラスチック対策と、食関連企業の取り組みについてお届けします。
(調査日:2020年8月)
カリフォルニア州サンフランシスコ市は、2007年にプラスチック製使い捨てレジ袋の提供をアメリカで初めて禁止しました。現在、州単位ではカリフォルニア州やニューヨーク州を含む8州が、使い捨てレジ袋を廃止している、あるいは廃止を予定しています。
また、ワシントン州シアトル市は、2008年に飲食店でのプラスチック製ストローやスプーン、フォークなどの提供を禁止しました。州単位ではカリフォルニア州が初めて2019年に施行しています。
そして2019年8月からは、サンフランシスコ国際空港で、1リットル以下のペットボトル入りの水が販売不可となっています。これはアメリカの空港初の試みです。ガラスなどのペットポトル以外の容器で水を販売することは可能で、また搭乗者はマイボトルを持ち込んで空港内の無料給水所で水を補給することもできます。同空港はすでに、使い捨ての持ち帰り用容器、調味料パック、ストロー、食器の提供を禁止しており、2021年までに世界初のゼロ・ウェイスト(ゴミを出さない)空港になることを目標に掲げています。(※2)
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アメリカ市場調査レポート~2020年調査~
全米で500店舗以上を展開するスーパーマーケットチェーンのトレーダー・ジョーズは、アメリカの中でも積極的に脱プラスチック化に取り組んでいる企業のひとつです。これまでに、プラスチック製使い捨てレジ袋の提供を全店舗で禁止、野菜や肉を入れるための小さなプラスチック製の袋を生分解性で堆肥化が可能なものに変更、野菜用の発砲スチロール製のトレイをバイオ素材でできた堆肥化が可能なトレイに変更するなどして、脱プラスチック化を推進してきました。さらに2019年以降は、プラスチック製の梱包材で包装された野菜や果物を削減、肉用の発砲スチロール製トレイをリサイクル性の高いPET1トレイに変更、切り花の包装袋をプラスチック製から再生可能な素材に切り替えるなどして、合計約100万パウンド(約454トン)のプラスチックを排除していくことを発表しています。(※3)
アメリカの大手コーヒーチェーンのスターバックスも、プラスチックストローの廃止をはじめ、脱プラスチック化に積極的に取り組んでいます。同社は、今年3月にニューヨークやサンフランシスコ、シアトル、ロンドン、バンクーバーの一部店舗で、ホットドリンク用の紙のカップをより環境に優しいものに変更して試験運用を行っています。これは、漏れ防止のためのカップ内部のコーティングをプラスチックから堆肥化が可能なBioPBSという素材に切り替えたものです。従来のカップは、紙の部分とプラスチックの部分を分離することが難しくリサイクルすることが困難でした。堆肥化が可能な素材に変更してもカップからコーティング部分を分離させる必要があるため、今回はそうした処理が可能な施設がある都市で試験運用が実施されました。実用化に向けてはまだ時間がかかるものの、スターバックスは、マクドナルドおよびリサイクル投資企業クローズド・ループ・パートナーズと提携して環境に優しいカップの開発を進めています。(※4)
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アメリカ市場調査レポート~2020年調査~
最近ではスーパーマーケットで、ステンレス製のストローや、プラスチック・ラップの代用品としてビーズワックス(蜜蝋)・ラップの取り扱いが増えたり、リサイクル可能な紙パック入りの水が販売されるようになったりと、以前に比べて脱プラスチック化の商品が増えてきました。こういったエコな商品は、消費者の心を掴むようなデザイン性が高いものも多く、「脱プラスチック」はアメリカの食産業でも今後のトレンドのひとつになっていくのではないかと思います。
【参考文献】
(※1)https://www.epa.gov/facts-and-figures-about-materials-waste-and-recycling/plastics-material-specific-data
(※2)https://apnews.com/224e08cb2a724e67a1f314498faade89
(※3)https://www.traderjoes.com/announcement/packaging-improvements
(※4)https://www.foodandwine.com/news/starbucks-compos-recycle-cup-test-nextgen
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