ペクチンとは、リンゴの搾滓やレモン、グレープフルーツ、ライム、オレンジなどの柑橘類の皮を原料とする増粘多糖類です。飲料やジャムなどに利用されており、食品の食感を改良したり、果汁飲料に粘度を付与したりとさまざまな物性改良機能を有しています。一方で、ペクチンはフルーツ由来の食物繊維であり、様々な健康機能も有しています。近年ではペクチンの健康機能に関心が高まっており、様々研究がされています。今回は単なる増粘剤、ゲル化剤に留まらないペクチンの健康機能効果をご紹介します。
ペクチンとは、リンゴの搾滓やレモン、グレープフルーツ、などの柑橘類の皮を原料とする増粘多糖類で、ジャムやゼリーのゲル化、乳飲料の安定化などの物性改良目的で使用されることが多いです。食品表示上では添加物に分類されますが、栄養成分上は食物繊維に分類されます。基本構造や添加物としての詳細はペクチンとは~概要と種類を徹底解説」をご覧ください。食物繊維としての機能性については様々研究がなされており、整腸作用や血中パラメーターの改善などがあります。実際にそれらの内容をもとに、ペクチンの機能性をご紹介します。
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ペクチンは水溶性の食物繊維になります。食物繊維は、人の消化酵素 によって消化 することが難しい食品成分の総称になります。消化酵素の作用を受けずに大腸に達することによって、様々効果を発揮します。食物繊維の区分の中には、発酵性食物繊維があります。
発酵性食物繊維は、腸内細菌によって分解されると短鎖脂肪酸が生成され、腸内を弱酸性にするなどで腸内環境を整えます。ペクチンは発酵性食物繊維にも該当します。
ペクチンの摂取はコレステロール値の低下につながることが報告されています。J J Cerda et al., (1988) では、高コレステロール血症の男女27名 (27-69歳) がグレープフルーツペクチン15g/日を16週間摂取することで、血漿コレステロール値が統計的有意に低下することが報告されています1)。
ペクチンの摂取は便秘を改善することも報告されています。工藤 (2018) では弛緩性便秘と判断された14名 (83歳±6) がペクチンを5.4-10.8g/日を4週間摂取することで排便回数と便の質が有意に向上することが報告されています2)。
ペクチンの摂取は血糖値の上昇を抑制することも報告されています。Anne J.Wanders et al., (2014) ではりんご由来HMペクチン10gを摂取することで、食後の血糖値の上昇が有意に低下することが報告されています3)。
これらのようにペクチンの機能性の研究は様々されており、単なる増粘・ゲル化剤に留まらない魅力を有しています。今後さらに研究が進み、特定保健用食品や機能性表示食品として、ペクチンが展開されることも期待されます。増粘剤×機能性のW作用に注目です。
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参考文献
e-ヘルスネット 食物繊維の必要性と健康
1) J J Cerda et al., The effects of grapefruit pectin on patients at risk for coronary heart
disease without altering diet or lifestyle. Clin Cardiol. 1988 Sep;11(9):589-94. doi: 10.1002/clc.4960110902.
2) 工藤 正美 他., ペクチン含有濃厚流動食「ハイネイーゲル®」が高齢患者の弛緩性便秘に及ぼす影響 日本静脈経腸栄養学会雑誌/33 巻 (2018) 5 号/ p. 1159-1163
3) Anne J.Wanders et al., Pectin is not pectin: A randomized trial on the effect of different physicochemical properties of dietary fiber on appetite and energy intake Physiology & Behavior Volume 128, 10 April 2014, Pages 212-219
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