オーラルケアについて近年改めて注目が集まっています。コロナ禍によるマスク着用習慣が定着したことで口臭ケアが再注目され、歯ブラシや洗口剤などの消費が伸びました。また、歯周病が脳卒中、心筋梗塞、糖尿病などの病気と関連することが報告されており、単なる虫歯だけではなく口腔内をトータルでケアすることはQOLの向上に欠かせません。国民皆歯科検診という構想も政府からは出ており、この流れは加速すると見られています。そんな中で、オーラルケアを謳う機能性表示食品もいくつも出ています。どのようなものが市販されているのかを見ていきましょう。
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オーラルケア関連製品の市場規模ですが、富士経済株式会社の調査1)によると2020年が4,096億円と見込まれており、2023年には4,186億円に達すると予測されています。オーラルケア市場は、自治体によるオーラルフレイル (口腔機能の衰え) の対策の推進やコロナ禍のマスク着用習慣の定着による口臭ケア意識の向上などがあいまって、今後も拡大すると見込まれています。
オーラルケアに取り組むきっかけとして、歯科疾患が挙げられます。二大歯科疾患として、むし歯と歯周病が挙げられます。歯周病は、歯肉に炎症が起こるとともに歯を支える骨がグラグラになる症状です。歯科疾患実態調査2)によると軽度の歯周病に該当する人 (4mm以上の歯周ポケットを有する人) の割合は増加しています。歯周病は単に歯を失うだけではなく、心筋梗塞、骨粗鬆症、糖尿病などとの関連性が報告されており、日々のケアがより一層重要です。政府は骨太方針2022で国民皆歯科健診の検討を明記しており、国家的によりオーラルケアへの関心が高まることが予想されます。
上記のオーラルケアに対する高まりから、機能性表示に対応したオーラルケア商品も徐々に増えています。オーラルケア食品は、オーラルケア製品関連市場の3~4割を占めると見られており、関心が高い分野になります。ここでは、実際に機能性表示食品として届出されたオーラルケア原料、また今後届出が期待される原料をご紹介します。
ピガロカテキンガレートは、ポリフェノールの一種で緑茶に多く含まれています。エピガロカテキンガレートを18mg/日を2日間摂取することで、歯垢の生成が抑えられることが報告されています3)。
ロイテリ菌はヒト由来の乳酸菌で、ロイテリンという抗菌物質を産生します。ロイテリ菌は2億個/日を14日間摂取することで、歯茎の腫れが有意に改善することが報告されています4)。
ゲッケイジュはハーブの一種です。乾燥した葉は、香辛料のローリエとして使用されています。ゲッケイジュ葉エキス 108mg (デアセチルラウレノビオリドとして1.08 mg) /日を4週間摂取することで、T.forsythensis の対総菌数比率の有意に改善し、歯肉指数が有意に改善することが報告されています5)。
ヒドロキシアパタイトは機能性表示の届出はまだされておりませんが、今後の届出が期待されている原料です。Ca10(PO4)6(OH)2 の構造式で表されるリン酸カルシウムで、ヒトの歯のエナメル質の97%、骨の65%を占める成分となっています。ホワイトニングや虫歯予防として歯磨き粉などで使用されるとともに、近年では食品原料としても注目されています。弊社では食品グレードとして初のヒドロキシアパタイトである、クリアアパタイト®を取り扱っております。
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以上のようにオーラルケア製品関連市場に対する関心が高まっており、オーラルケアの食品成分を使用した商品もいくつも出されています。今後もオーラルケア市場に注目です。
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参考文献
1) オーラルケア関連市場マーケティング総覧 2021
2) 平成28年歯科疾患実態調査
3) Zenta Yasukawa1, et al. 薬理と治療 Volume 47, Issue 3, 409 – 414 (2019)
4) Krasse P, et al. Swedish Dental Journal, 01 Jan 2006, 30(2):55-60
5) Tomoko Kuniyoshi1, et al. 薬理と治療 Volume 49, Issue 11, 1913 – 1924 (2021)
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