食糧危機で注目! 昆虫食の現状と今後の展望

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近年、昆虫食という言葉を耳にしたり目にしたりする機会が増えています。環境負荷軽減や食料危機の対策として注目されており、国内の大手食品会社の中には、昆虫食を活用した商品を販売する企業も出ています。しかしながら、昆虫食について何となく聞いたことことがあるだけでよくわからない方も一定数いるのではないかと思います。今回は昆虫食について理解を深めるため、注目されたきっかけ、市場規模、今後の展望などについてご紹介します。

昆虫食の注目のきっかけとその利点

昆虫食とは昆虫を食材とした、料理や食事のことを指します。人間は昔から昆虫を食べていましたが、2013年にFAO(国連食糧農業機関) が発表した報告書1) でより一層の注目を集めました。この報告書では、昆虫食の環境面や経済面での利点が述べられています。昆虫は、体重増加1kgあたりに必要なエサや水の量が家畜に比べて少なくて済み、飼育で排出する温室効果ガス排出量も少なく済みます。人口増加や食料危機が叫ばれる地球において、昆虫食は様々な問題の解消策として期待されています。

昆虫食の市場規模

TPC Press realse 2023年1月23日発信 <国内における昆虫食市場の推移>

上記のように昆虫食はSDCsの観点から様々注目されていますが、日本国内市場の発展はまだこれからというのが現状です。TPCマーケティングリサーチ株式会社の調べ で2)は 2020年の昆虫食市場が6.7億円、2021年が10.8億円、2022年が14.8億円 (見込み) となっています。世界の昆虫食市場は、日本能率協会総合研究所の2020年の推計 3)によると、世界市場は2019年度が70億円、2025年には1000億円に到達すると見込んでいます。

機能性としての昆虫食

環境負荷軽減の側面に昆虫食ではスポットが当たることが多いですが、その機能性の側面にも近年研究がされています。Scobar-Ortizらは、コオロギを添加した高フルクトース・飽和脂肪食をラットに摂取させることで、体重増加を抑制し、血中トリグリセリド値が低下することを報告しています4) 。Ochiaiらは、トノサマバッタの粉末をラットに摂取させることで、腸の状態や脂質代謝が改善することを報告しています5) 。Seo らは高脂肪食を取っている肥満マウスにミールワームの粉末を摂取させることで、体重抑制や肝脂肪症の改善が見られたことを報告しています6)。昆虫食の普及には、健康ニーズへの訴求が重要という指摘もあり7) 、今後の昆虫食の機能性研究には注目です。将来的には、機能性表示制度に対応した昆虫食が販売されるかもしれません。

まとめ

今回は、昆虫食について紹介しました。環境負荷軽減と機能性の両側面からますます注目されると考えられ、食品業界での動向に注目です。

参考文献
1) Edible insects Future prospects for food and feed security https://www.fao.org/3/i3253e/i3253e.pdf (2023年10月18日閲覧)
2) TPC Press realse 2023年1月23日発信 <国内における昆虫食市場の推移>https://release.nikkei.co.jp/attach/647948/01_202301231115.pdf (2023年10月17日閲覧)
3) 株式会社日本能率協会総合研究所 世界の昆虫食市場 2025 年に 1,000 億円規模に
http://search01.jmar.co.jp/static/mdbds/user/pdf/release_20201221.pdf (2023年10月18日閲覧)
4) scobar-Ortiz et al., J Food Biochem. 2022 Sep;46(9):e14269. doi: 10.1111/jfbc.14269. Epub 2022 Jun 20.
5) Ochiai et al., Food Chem. 2022 Dec 1:396:133701. doi: 10.1016/j.foodchem.2022.133701. Epub 2022 Jul 15.
6) Minchul Seo et al., Int J Mol Sci. 2017 Feb 28;18(3):518. doi: 10.3390/ijms18030518.
7) TPCマーケティングリサーチ株式会社 リサーチャーに聞く!#37 『2023年 昆虫食市場の最新動向と将来展望』調査のポイント https://www.tpc-cop.co.jp/topics/3338/ (2023年10月18日閲覧)

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