2025年3月27日、株式会社ローソンは2025年度上期の商品戦略を発表しました1)。
発表では、物価高やますます忙しくなる世の中で、コスパ (=コストパフォーマンス) とタイパ (=タイムパフォーマンス) に対するニーズ対応した、「付加価値のある商品の開発が求められている」と述べています。これに基づき、ローソンでは3月から商品の仕様を変更したり、4月から新商品を発売したりしています。いったいどのような取り組みとなっているのでしょうか。今回はその動向を、読み解いていきます。
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昨年、ローソンが発表した2024年度上期商品戦略では、「コスパ」、「タイパ」、「ウェルパ」がキーワードとなっていました。そこから、「コスパ」、「タイパ」が2025年度上期商品戦略でも続投となりました。
コスパニーズは昨年にも増して強まっています。2020年を100とした食料全体の消費者物価指数は、2025年3月で120.0に上昇しています2)。米、海苔、卵、野菜など、様々な食品の価格高騰は連日ニュースで報じられており、飲食店での価格改定も続出しております。
タイパニーズも根強いです。セイコー時間白書2023 では「タイパを重視する時間」があると答えたのが87%に達し、「タイパを重視する具体的な時間は?」という質問に対して、料理と答えた人は37.0%となり、睡眠 (39.3) に続き2番目に多い回答となりました3)。2025年になってもタイパニーズも衰える動きはなく、むしろ冷凍食品に参入する会社が増加している状況を踏まえると、コスパニーズ同様に高まっているとも言える状況です。
4月から発売する2025年度上期新商品では、ローソンはコスパやタイパに応えながらも、満足感や美味しさを味わえるものを続々と投入しています。いったいどのような狙いや工夫が凝らされた商品なのかを、個別の商品をいくつかピックアップして見ていきます。
まぐろのたたきと沢庵を包み込んだおにぎりとなります。おにぎりながら、まぐろのたたき丼を味わえる商品となっています。片手で「丼もの」が食べられるという、タイパを考慮した商品となっています。
バジルチキン、野菜、トマトソースが入ったパスタサラダになります。容器を振ってトマトソースを絡められます。片手で持てる容器サイズで、手軽に食べられるます。そのためこの商品もタイパを考慮した商品となっています。加えて、野菜も摂取できるパスタサラダのため、健康志向の方も手に取りやすい商品です。ラーメンサラダやフォーサラダのタイプも、販売されています。
具材をなくし、スープや麺の美味しさにこだわった商品になります。細麺に濃厚な豚骨スープが絡む、本格派ラーメンになります。具なしラーメンが飲食店でも注目される中、具材をなくしてスープと麺に注力した、コスパを考慮した商品になります。
「おかズドン」という名称の通り、ボリュームたっぷりの唐揚げ弁当になります。唐揚げ、お米とともに、パスタが入っています。ローソンではお米を使用している一部商品に、パスタや焼きそばを入れてボリューム感を出すように、2025年上期では取り組んでいます。米価格が高騰する中、ローソンとしてのボリューム対策の一手となります。
4商品を見てきましたが、片手で食べられる「タイパ」、具材をなくして麺とスープにこだわる「コスパ」などの工夫がありました。単に、タイパ、コスパにこだわるだけでなく、ヘルシー志向の方が手に取りやすいパスタサラダ、がっつり食べたい人向けの唐揚げ弁当など、様々なターゲットに刺さるラインナップを揃えていることもわかりました。まだまだ続きそうな「コスパ」&「タイパ」時代。各社の商品開発に注目です。
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参考文献
1)2025年度上期商品戦略を発表 高まる「タイパ」・「コスパ」ニーズへの対応も継続
「タイパ」・「コスパ」・「ウェルパ」のニーズに対応した商品を順次発売
https://www.lawson.co.jp/company/news/detail/1503574_2504.html
2)2020年基準 消 費 者 物価指数 全 国 2025年(令和7年)3月分及び2024年度(令和6年度)平均
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
3) セイコー時間白書2023
https://www.seiko.co.jp/csr/stda/archive/2023/detail.html
営業本部営業戦略G所属 2018年入社。
ゼラチンの基礎研究業務や機能性原料の営業業務への従事歴を持ち、現在はそれらで培った情報分析能力を生かし、機能性原料販売の企画・立案業務に取り組む。
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