前回のコラムでは、今年5月に開催されたアメリカのNatural Products Expo West Virtual 2021で発表された、ナチュラルおよびオーガニック業界における「製品イノベーショントレンド9つ」に関連して、同展示会に出品された市販品をご紹介しました。今回コラムはその続きとなります。
(調査日:2021年8月)
目次
デジタルデバイスのブルーライトに晒され、私たちの目は疲れています。メーカーは、この問題に取り組むべくカロテノイドの一種であるルテインなどの原料を使った商品を展開しています。
Wiley’s Finest社のBold Visonという商品は、目の健康向上を訴求したサプリメントです。同商品は、1回2錠あたり、20mgのルテイン、4mgのゼアキサンチン、2mgのアスタキサンチン、20mgのアントシアニンを含んでいます。
長年の間、消費者は植物優先の食事に価値を見出してきましたが、今日では、よりさまざまな方法(かつ、より美味しく)で実現できるようになりました。
2016年にアメリカのフロリダ州で設立されたMelatta社は、v-gurtという商品名で植物性ヨーグルトを販売しています。原材料には、オーガニックのキヌア、オーツ、玄米由来の植物性ミルクが使われ、甘みづけには精製された砂糖の代わりに羅漢果やステビアが使用されています。同社によると、1食あたりのタンパク質量は乳製品のヨーグルトと比べて遜色の無いレベル(1g少ない程度)になっているようです。また、同社は健康的な商品を展開するだけでなく、企業の社会的責任として南米コロンビアの零細農家を支援する活動に注力していることも特徴の1つです。
消化器系の健康に関心を寄せる消費者が増え、食物繊維、プロバイオティクス、プレバイオティクス、および、そのほかの細菌叢をサポートするものなど消化器系に良い働きを伴う製品が数多く登場しています。
今年の夏、アメリカではPepsiCo社のKeVitaブランドから、消化器系の健康促進を訴求するプレバイオティクスに着目したショットドリンクが登場しました。KeVitaブランドはコンブチャや、スパークリング・プロバイオティクス・ドリンクなどの発酵飲料を販売していることでアメリカでは有名です。新商品のプレバイオティクス・ショットドリンクは、ウォーターケフィアを主な原材料とする発酵飲料で、水溶性食物繊維イヌリンを豊富に含むキクイモ(菊芋)が使われ、1本(2オンス、約60ml)あたり3gのプレオバイオティクスとしての食物繊維を含んでいます。フレーバーは、「ビーツ・レモン」、「ブルーベリー・ミント」、「ターメリック(ウコン)・ジンジャー」の3種類展開となっています。
今日、多くの消費者がなんらかの食事制限を行なっています。これは減量をするというよりも、過敏な食物を明らかにして取り除き、炎症の要因を減らすことで健康問題を解決するためです。メーカーは、こういった消費者層のために、乳製品、グルテン、穀物を使用しない、ケトジェニック、低糖、低GI、FODMAP(フォドマップ)食品を開発しています。
アメリカのマサチューセッツ州を拠点とするKeto and Co社は、クッキーミックスやパンケーキミックス、ブラウニーミックスなどの製菓用ミックス粉を手がけています。同社の商品コンセプトは、三大栄養素(炭水化物(糖質)・タンパク質・脂質)の中でも糖質の摂取量を減らすケトジェニックダイエットに対応する低糖質商品であること、そして簡単に調理ができることです。同社はクッキー1枚分のミックス粉(約14g)に含まれる糖質量を1.5gとしており、従来の小麦粉と比較すると糖質量が非常に少なくなっていることがわかります。*クッキーミックスの主な原材料には、ココナッツフラワー(粉)、エリスリトール(甘味料)、水溶性トウモロコシ繊維、オオバコ外皮、羅漢果エキスなどを含でおり、ミックス粉に卵と溶かしバターを加えてオーブンで焼くだけで簡単にソフトなクッキーが出来上がります。
*小麦粉(薄力粉)の糖質量は100gあたり73.3g(日本食品成分表2020年版)
消費者は自分自身や家族が口にするものや体につけるものに対して十分に気をつけたいと考えています。メーカーは、原材料や商品パッケージをシンプルにすることで消費者の信頼を再構築することが可能です。
アメリカのPoshi社は野菜をマリネしたスナックを展開しています。同社はシンプルでヘルシーな材料を使用し、加工度の高い食品は製造しないことをコンセプトとしており、砂糖、保存料、添加物、遺伝子組み換え、グルテン、乳製品は使用しない商品づくりを行っています。同社の商品は野菜を蒸してマリネしたもので、アーティチョーク、アスパラガス、カリフラワー、フレンチビーンズの4種類の商品展開となっています。アスパラガスの場合は、1パッケージ(38g)あたり15kcalで、主な原材料は、アスパラガス、サトウキビ酢、オリーブオイル、ライム果汁、ニンニク、バジルやオレガノなどのハーブです。同社の商品は、スナックとしてだけでなく、パスタやサラダのトッピングに活用することもできます。商品パッケージは淡い色を基調として野菜の絵が描かれており、筆者はとてもクリーンな印象を受けました。
近年、アメリカでは植物性食品やケトジェニック食品など、ヘルシーな商品が一般消費者に広く受け入れられてきましたが、昨年からの新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、しばらくの間この傾向は一層強まり、これまでにはない新たなヘルシー食品が登場するのではないかと筆者は考えています。来年のNatural Products Expo Westではどのような新商品が出展されるか注目です。
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