MCTオイルを使った海外の加工食品を紹介

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近年、日本のスーパーで「MCTオイル」の取扱いが増えています。コーヒーにグラスフェッドバターとMCTオイルを混ぜて飲むバターコーヒーをご存知の方も多いかもしれません。海外では、オイルそのものだけでなくMCTオイルやパウダーを使った加工食品が多く販売されています。この記事ではMCTオイルとは何かを説明するとともに、海外の市販品をご紹介します。

MCTオイルとは

MCTオイルとは、ココナッツやパームフルーツなどヤシ科の植物に含まれる「中鎖脂肪酸(Medium Chain Triglyceride)」だけを抽出した食用油のことを言います。最近、この中鎖脂肪酸が注目を集めています。キャノーラ油、オリーブオイル、バター、ラードなど一般的な油に含まれる脂肪酸はほとんどが「長鎖脂肪酸」です。中鎖脂肪酸は、長鎖脂肪酸と比較すると分子が短いのが特徴で、体内に取り入れたあと、肝臓に素早く運ばれ効率良くエネルギーに分解されます。一般的な油と比較するとその速さは約4倍であり、体内で脂肪として蓄積されにくいと言われています。(※1)

MCTオイルは、最近よく見聞きする「ケトジェニックダイエット」でも使われます。このダイエット法は、糖質を制限して、良質なタンパク質と脂肪をたっぷり摂ることで、脂肪燃焼を促しケトン体をエネルギー源として利用するものです。MCTオイルは、ほかのオイルと比較して消化吸収が速く、エネルギーになりやすいため、ケトン体を体内で効率よく生成するとされています。(※2)
*ケトン体:体内の脂肪が分解されてできる産物で、エネルギー源として使われる。

また「ケトジェニックダイエット」の人気にともないMCTオイルの知名度も上がってきました。このダイエット法は、糖質の摂取量を制限して、変わりにタンパク質・脂質を摂取することで脂質代謝を促進させる食事法です。脂質源としてMCTオイルのような中鎖脂肪酸の需要が高まっています。

MCTオイルを使った海外の加工食品を紹介

Buff Bake社のMCTパウダーを配合したエナジーバー
(写真提供:Buff Bake社)https://buffbake.com/

MCTオイルやパウダーを使用した加工食品については、特にケトジェニックダイエット向け商品が多数販売されているアメリカで多く見られます。

アメリカのBuff Bake社は、非遺伝子組換えの原材料を使用した低炭水化物、低糖、グルテンフリーのスナックを展開しています。エナジーバーにMCTパウダーを使用している点が特徴です。フレーバーは、バニラアーモンド、ピーナッツバターカカオ、チョコレートチップクッキー、シナモンクランチの4種類です。1本(50g)あたり糖類1g、たんぱく質12gで、えんどう豆由来プロテインが原材料に使われています。

Killer Creamery社のアイスクリーム
【左】パイントサイズ・キャラメル味 【右】アイスクリームサンド・チョコレート味
(写真提供:Killer Creamery社)https://killercreamery.com/

アメリカのKiller Creamery社は、ケトジェニックダイエット向けの低糖質アイスクリームを取り扱っています。商品の特徴は、ココナッツ由来のMCTオイルを含んでいる点で、特に、中鎖脂肪酸の中でも、最も消化吸収が早く、すぐにエネルギーになりやすいC8(カプリル酸)を98%以上配合したMCTオイルを使用しています。また砂糖の代わりに、カロリーゼロの羅漢果と、血糖値が急上昇しにくい特徴を持つエリスリトールとアルロースを使用している点も特徴です。フレーバーは、パイントサイズのものが、バニラ、ピーナッツバター、ブラウニー、ミントなど、アイスクリームサンドではバニラとチョコレートを展開しています。

海外では、上記のほかにも、ナッツバター、マヨネーズ、グラノーラ、コラーゲンパウダー、プロテインパウダーなどさまざまな食品およびサプリメントでMCTオイルやパウダーが使われています。例えば、オーストラリアMayver’s社のMCTオイル入りピーナッツバター、アメリカLeft Coast Performance社のMCTオイル入りマカダミアナッツバターです。また、ケトジェニックダイエット向けサプリメントを取り扱うアメリカのPreferred Keto社は、MCTパウダー入りのコラーゲンを販売しています。1杯あたり5gのMCTパウダーが含まれ、バニラ、チョコレート、塩キャラメルといったフレーバーで展開されています。

まとめ

近年、中鎖脂肪酸の健康機能に着目し、日本でもMCTオイルを使った商品が登場しています。海外の事例で見られるように、スナックやアイスクリーム、マヨネーズなど日常的な食品に含まれていると、手軽にMCTオイルを摂取でき利便性が高いのではないでしょうか。

【参考資料】
(※1)
Furman,R.H.,Medium Chain Triglycerides,University Pa press(1968)

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