【取材記事】スーパーフードと腸活の良好な関係

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日本でもすっかりおなじみとなったスーパーフード。一般的な食品に比べて栄養価が高く、健康に良い特定の成分を含む食品です。抗酸化作用やアンチエイジングなど、スーパーフードの持つ“パワー”が、健康への意識が高い人たちから注目されています。中でも、若い女性を中心に関心が集まるのが、腸活への作用です。チアシードやキヌア、スーパー大麦などには、豊富に食物繊維が含まれ、特に、スーパー大麦などは、朝食シリアルとして手軽に取れることから人気が高まっています。

そこで、食物繊維の秘めたパワーをひも解きながら、「食物繊維と腸活の関係」について、新宿大腸クリニックの後藤利夫院長にうかがいました。

腸内環境の決め手は乳酸菌とビフィズス菌

【取材記事】スーパーフードと腸活の良好な関係

そもそも、腸内環境を整える「腸活」とは何でしょう。後藤院長は、「腸内の善玉菌比率を高めること」と解説します。

「腸内には無数の菌が存在していますが、理想的には善玉菌が2割、悪玉菌が1割、残る7割が日和見菌といわれ、腸内環境の善し悪しは、どんな菌がすんでいるかで決まります。
体に有益な働きをするのが善玉菌です。いわゆるプロバイオティクスで、その代表が乳酸菌とビフィズス菌です。乳酸菌は主に小腸にすみ、同じく小腸に集中する免疫細胞がうまく機能するように腸内環境を整え、細菌やウイルス、がんなどに対する抵抗力を高めます。ビフィズス菌は大腸にすみ、排便に関わります。大腸の中を酸性にしてぜん動運動を高めたり、下痢を起こすような病原菌を追い出して体を守ります。

一方、体に悪さをするのが悪玉菌です。日和見菌は善玉菌が増えれば善玉化しますが、悪玉菌が増えると悪玉化する性質があります。悪玉菌が増えた状態では、便秘や下痢が起こりやすくなり、またタンパク質を腐敗させ、発がん物質や毒性物質を作ります。近年、免疫が過剰に反応して花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギーを起こす人が増えていますが、これにも悪玉菌が関与。花粉などに対して免疫は過剰に反応するが、細菌やウイルスへの抵抗力が弱まっているのが現代人です。アンバランスになった免疫バランスを整えるのは善玉菌であり、健康のためには、腸内で善玉菌比率を高めて、悪玉菌の増加を抑え、腸内環境をいい状態に保つことが重要なのです」

お通じの改善だけじゃない。スーパーフードの食物繊維は腸活に不可欠

では、食物繊維は腸内でどのような役割を果たすのでしょう。
食物繊維とは、人の消化酵素で消化されない「難消化性成分」のこと。水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維の2種類があります。
「水溶性食物繊維には、善玉菌のエサとなって善玉菌を増やす“プレバイオティクス効果”があります。不溶性食物繊維は、水分を吸収することで便のカサを増やし、お通じを改善します。便によって、体外に毒性物質も排出されるため、便を作るのも大切な働き。したがって、健康の維持には食物繊維は水溶性、不溶性ともに不可欠といえます」

食物繊維の働きは、いわば腸内環境の維持、改善の後方支援といえるかもしれませんね。

現代では、食物繊維の摂取量が減っているため、積極的に取ることが推奨されています。厚生労働省策定の食事摂取基準2015年版によると、食物繊維の摂取量は18~69歳では1日あたり男性20g以上、女性18g以上が望ましいとされています。

スーパーフードでは、もち麦に水溶性食物繊維のβグルカン、チアシードにはこんにゃくと同じグルコマンナン、キクイモにビフィズス菌を増やすイヌリンが多く含まれています。また、もち麦には水溶性食物繊維だけではなく、不溶性食物繊維も豊富です。キヌアも水溶性食物繊維と不溶性食物繊維が多く含まれています。

しかし、やみくもに食物繊維を取ればいいというわけでもありません。「便秘に悩む人は、食物繊維の取り方には注意が必要」と後藤院長はいいます。

「ひどい便秘は、腸管の筋肉がやせ細り、ぜん動運動が低下していることも一因。まずは水溶性食物繊維をとって、便をやわらかくして、便通をスムーズにしていきます。その上で、不溶性食物繊維を少しずつ増やし、便のカサを増やすことでぜん動運動を高め、腸管の筋肉を鍛えていきます。いきなり不溶性食物繊維を多量に摂取して、便のカサを増やしてしまうと、便がつまり、お腹が張って苦しくなる“糞便性イレウス”を起こすことがあるので注意が必要です」

水溶性食物繊維、不溶性食物繊維の機能を併せ持つレジスタントスターチの可能性

最近では、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維の両方の機能を併せ持つレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)に注目が集まっています。便通改善、善玉菌の増殖、活性化といった効果があります。一般的な食品には穀類、いも類、豆類から摂取できます。冷やご飯にも含まれています。

「腸活には、プロバイオティクスの乳酸菌、ビフィズス菌とプレバイオティクスの食物繊維を同時に摂取するのが、より効果的です。食物繊維やオリゴ糖などのプレバイオティクスの仲間として、レジスタントスターチという選択肢が増えることはよいことだと思います」
意識していても、なかなか目標とする量を取れないのが食物繊維。仲間が増えることで、より摂取しやすくなれば、腸活にもプラスになります。

<プロフィール>
新宿大腸クリニック院長
後藤利夫さん

東京大学医学部卒業。実父の大腸がんを機に、「大腸がん撲滅」を目標に独自の無痛大腸内視鏡「水浸法」を開発。便秘、乳酸菌に関する著書も多く、近著には『乳酸菌がすべてを解決する』(アスコム)などがある。

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