筋肉や骨、皮膚、血液、髪、爪など、人間の身体を構成する多くの部分がたんぱく質によってできています。たんぱく質が不足すると、肌や髪の毛のハリ、ツヤがなくなり、免疫力が弱まって体調を崩しやすくなったり、筋肉量が落ちて基礎代謝量が減ったりする可能性が高まります。健康維持のためにも、たんぱく質の摂取は欠かせません。近年アメリカでは、手軽にたんぱく質を摂取できる、プロテインを配合した食品が増えてきました。スーパーマーケットではどのような商品が販売されているのでしょうか。(調査日:2019年8月)
これまでアメリカでは、プロテインと言えば、ジムで鍛えた際にプロテインパウダーを水や牛乳に溶かして飲む、いわゆる「筋力アップのために摂取する」というイメージでしたが、最近では、「健康な生活を実現するために摂取する」というイメージへと変わってきているようです。筋肉を鍛えたい人だけでなく、幅広い消費者層向けにプロテイン配合の食品が販売されるようになってきました。最近のアメリカの市場では、パンケーキミックスや、クッキー、エナジーバー、ペットボトル飲料など、朝食や間食時に手軽に、美味しく、必要なたんぱく質を摂取できるプロテイン配合食品が販売されており、普段の食生活にプラスしてたんぱく質を摂取するというように感じられます。
例えば、KRUSTEAZ社が販売するBUTTERMILK PROTEIN PANCAKE MIX(バターミルク・プロテイン・パンケーキミックス)は、全粒粉、分離小麦たんぱく、砂糖、ベーキングソーダ、分離乳清たんぱくなどを原材料とし、1食あたり15グラムのたんぱく質が摂取可能となっています。本商品に水を加えて、バターを塗ったフライパンで焼くだけでパンケーキが出来上がるため、朝食時に手軽にたんぱく質を摂ることができます。
たんぱく質を大きく分けると動物性たんぱく質と植物性たんぱく質に分けることができます。動物性たんぱく質には、人間が体内で生成することができない9種類の必須アミノ酸を摂取できるという利点がありますが、今、アメリカの消費者の間では植物性たんぱく質が注目されています。INTERNATIONAL FOOD INFORMATION COUNCIL FOUNDATIONが今年実施した意識調査では、24%の回答者が昨年と比較して植物性たんぱく質の摂取が増えたと回答しています。一方、動物性たんぱく質の摂取が増えたと回答したのは12%でした。(※1)一般的なスーパーマーケットでも、パッケージにPLANT BASED PROTEIN(植物性たんぱく質)と記載された商品が増えています。健康志向の高まりにより、ビーガンやベジタリアンの消費者だけでなく、動物性たんぱく質のカロリーや脂質を考慮する一般消費者からも植物性たんぱく質が支持されるようになってきています。
植物性たんぱく質の中でも、アメリカで最も使用されているのが大豆たんぱく質です。大豆たんぱく質は、9種類の必須アミノ酸を含む、植物性たんぱく質の中でも数少ない完全たんぱく質のうちの1つです。大豆の他には、えんどう豆、玄米、キヌア、ヘンプ、かぼちゃの種などの豆類、穀物類、種子類が植物性たんぱく質の原料として使用されています。しかし、1種類の植物性たんぱく質では十分な量の必須アミノ酸を含んでいない場合があるため、植物性プロテインパウダーやエナジーバーには、複数の植物性たんぱく質が用いられることが多くなっています。(※2)
スーパーマーケットのエナジーバーのコーナーには、プロテイン配合のバーが多く並んでいます。原材料に動物性の乳清たんぱくを使用したもの、大豆たんぱくを使用したもの、複数の植物性たんぱく質を使用したものというように、各社、たんぱく質の原料が異なる複数の商品を販売しているため、消費者はそれぞれのニーズに合った商品を選ぶことができます。子供向けのプロテイン配合エナジーバーも増えています。
植物性たんぱく質の中で最も注目されているのが「ピープロテイン」、えんどう豆(yellow split pea)たんぱく質です。アメリカでは、大豆の遺伝子組み換えに対する懸念もあり、えんどう豆由来のたんぱく質の人気が高まっています。また、大豆は、アメリカではアレルギー表示義務に指定される8種類の特定原材料の1つであり、大豆アレルギーの消費者は大豆たんぱくを使用した食品を摂取することができません。(※3)最近では、パッケージにSOY FREE(大豆不使用)と記載されたプロテイン配合食品も多く見られます。
REBBL社が販売するCOLD BREW COFFEE PROTEINという、プロテイン配合の水出しコーヒー飲料には、原材料にオーガニックのえんどう豆たんばくとサンフラワー(ひまわりの種)たんぱくが使用され、1本(354ml)あたり12グラムのたんぱく質を摂取することができます。コーヒーやスムージーに、自分でプロテインパウダーを混ぜてプロテインドリンクを作ることもできますが、このようにプロテイン配合の飲料を利用することで、忙しい時でも手軽にたんぱく質を摂取することが可能です。
消費者の間で健康志向が高まり、このように、健康な生活を実現するための新しい商品が次々と生まれています。
※参考資料
(1)https://foodinsight.org/interest-in-sustainability-plant-based-diets-among-trends-in-ific-foundation-2019-food-and-health-survey/
(2)https://thinkproducts.com/en-us/news/plant-whey-protein-whats-the-difference/
(3)https://www.nuzest-usa.com/pea-vs-soy-protein-protein-right
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