アメリカ市販品調査レポート 2021春
WFMの食品トレンド予測を
基にした
米国市販品
独自調査レポート
2020年10月に、アメリカの自然派食品スーパー大手「Whole Foods Market(ホールフーズマーケット)」が2021年の食品トレンド予測を発表しました。今回のコラムでは、前回に引き続き、実際にWhole Foods Marketで販売されている各トレンドの市販品を紹介します。
(調査日:2021年1月)
第一回はこちら
目次
コーヒーがあらゆる食品に使われるようになってきました。コーヒー風味の栄養補助バーやグラノーラ、スムージー、お酒が登場し、コーヒーヨーグルトも販売されています。
Springfield Creamery社のNancy’s Oatmilk Non-Dairy Yogurt Cold Brew Vanillaは、オートミルクから作られる植物性ヨーグルト <コーヒー味>です。同商品には、水で抽出するコールドブリュー・コーヒーの濃縮液が使われており、筆者が食べてみたところ、コーヒーの風味がしっかり感じられる一方で、オートミルクヨーグルトの味ともうまく調和しているように感じられました。
Nancy’sのオートミルクヨーグルトシリーズには、そら豆タンパク質が原材料に使われています。1食(170g)あたり6gのタンパク質を含んでおり、これは、Whole Milk(脂肪分を除かない全乳)のヨーグルトと同等のタンパク質量です。また、同シリーズには乳酸菌も植物性のものが使われています。種菌にはブルガリア菌とサーモフィルス菌が使われ、アシドフィルス菌、ビフィズス菌BB-12、LGG乳酸菌を含んだプロバイオティクスヨーグルトになります。
近年アメリカでは、オートミルクをはじめ、豆乳やカシューミルクなどから作られる植物性ヨーグルトの人気が高まり、さまざまな商品が店頭に並んでいます。
Hushup X Hustle社のBlendr Bombs は、スムージーを完全代替食にしてくれるスムージーブースターです。1個あたりが一口大の大きさで、チアシード、ヘンプシード、フラックスシード、クルミ、ピーカンナッツ、デーツ、ミツバチ花粉、蜂蜜、シナモン、バニラビーンズなどが使用され、オメガ3が豊富に含まれています。スムージーを作る際に、このBlender Bombsを1つ入れて混ぜるだけで普段のスムージーの栄養価が一層高まります。またスナックとしてそのまま食べたり、砕いてオートミールやヨーグルトにかけて食べたりすることもできます。なお、Blender Bombsは、グルテンフリー、乳製品不使用、大豆不使用です。
Whole Foods Marketのトレンドでは、このBlender BombsのCoffee, Almond Butter & Cacao味が紹介されています。
アメリカ市販品調査レポート 2021春
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フードイノベーションにより、小さな子供を持つ親はこれまでにないほど幅広く豊富な食材の中からベビーフードを選択できるようになりました。ルバーブやローズマリー、紫ニンジン、オメガ3を豊富に含むフラックスシードなどを使った、持ち運び可能なパウチ入りの商品があり、小さな子供も満足できるようになっています。
Whole Foods Marketのプライベートブランドである「365 by Whole Foods Market」シリーズからもベビーフードが販売されており、ユニークな材料を使った商品が見受けられます。例えば、リンゴとバターナッツスクウォッシュのピューレにオート麦とターメリックを加えた商品や、リンゴとかぼちゃ、ブルーベリーにヒヨコ豆をミックスしたパウチ入り商品が店頭に並んでいます。同シリーズのベビーフードは、オーガニックかつ非遺伝子組み替えとなっています。
Pumpkin Tree Organics社のOrganic Mango Purée with Oat Fiber & Seeds + a squeeze of Orangeは、ピューレ状のマンゴーに、食物繊維が豊富なオート麦ファイバー、フラックスシードおよびチア(中南米原産のシソ科の植物)が加えられています。同商品は、”An Excellent Source of Fiber”と謳われており、1食分(99g)で3gの食物繊維(1日推奨量の21%)を含んでいます。幼児向けの商品ではありますが、6ヶ月以降の乳児でも食べることが可能です。
以前、「ベビーフード」に関するコラムでも紹介した通り、近年のアメリカのベビーフードは、健康志向の高まりを受けた大人の食トレンドを反映した商品が増えてきています。
食物廃棄を減らすために、本来なら捨てられるはずの野菜や果物を利用した「アップサイクル食品」と呼ばれる商品が増えてきています。「アップサイクル」とは従来の「リサイクル」と異なり、元のモノよりもより魅力的で付加価値が高いモノを生み出すことを目的としています。
Spudsy社のSweet Potato Puffsは、スイートポテト(アメリカのさつまいも)のパフスナックです。同社によると、年間1億5千万ポンド(約6万8千トン)のスイートポテトが、形や大きさ、色が不揃いであるために廃棄されています。同社はこのような不揃いなサツマイモをアップサイクルし(付加価値の高い物に作り替える)、製品を作ることで、食品廃棄の削減に貢献することを目指しています。使用されているスイートポテトは全て非遺伝子組み替え(Non-GMO)の農場かつ、灌漑を使用しない(自然の降水のみを利用する)農場で栽培されています。
同商品のフレーバーは、チェダーチーズや、シナモンシュガー、サワークリーム&オニオン、バーベキュー味などがあり、全商品ビーガン対応です。
Barnana社の Organic Banana Bitesは、バナナを原材料としたスナックです。46℃以下で乾燥させることにより、バナナの自然な甘みが引き出され、弾力のある歯ごたえが特徴的なスナックになっています。バナナは傷がついていたり、熟しすぎたり、形が悪いと、味が美味しくても売り物になりません。通常は、こういった「不完全な」バナナは、市場に出回る前に廃棄されてしまいますが、同社はこのようなバナナを使ってスナックを生産しています。
同シリーズにはオーガニックのバナナのみで作られたオリジナルタイプ以外に、ピーナッツバターや、チョコレートでコーティングした商品、ココナッツを混ぜた商品などがあります。
また同社は、アメリカの非営利団体B Labが運営するB Corporation(以下、B Corp)認証を取得しています。社会と環境へのパフォーマンスや透明性の観点からB Labの厳しい評価基準を満たした企業のみが、B Corp認証を取得することが可能です。
以上のように、近年アメリカでは健康志向だけでなく、より地球環境に優しい食品作りに取り組む企業が増えてきました。アップサイクル食品はまだまだ認知度が低いですが、消費者の環境意識が高まりとともに今後数年で存在感を増していくのではないでしょうか。
トレンド商品の紹介は、次回が最終回となります。
【参考資料】
Whole Foods Market Forecasts Top 10 Food Trends for 2021(2020.10.19リリース)
https://media.wholefoodsmarket.com/whole-foods-market-forecasts-top-10-food-trends-for-2021
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