SDGsを考える―非動物性コラーゲン(Vegan collagen)の開発

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 現在流通しているコラーゲンペプチドは動物性の食品素材であり、豚や牛、魚の皮を原料として製造されます。ベジタリアンやヴィーガンの方は決してコラーゲンペプチドを口にされることはないと思います。
 昨今では、SDGsの観点(水資源の有効利用や温室効果ガス削減を目的として)から食肉消費を減らすことが有効である、ベジタリアンの方以外も肉の消費を減らすべきであると説かれ、いわゆるプラントベースドミートなどの開発が着目されています。このコラーゲンペプチドについても動物性、すなわち「削減すべきもの」なのでしょうか?

コラーゲンは削減すべきもの?~食肉消費の観点から~

 食肉製造は字のごとく肉を製造することですが、その過程で副産物として皮や骨などが生じます。ゼラチンやコラーゲンペプチドはこれらの副産物を活用して製造されています。すなわち、日々の食生活においてコラーゲンペプチドの摂取を避けたとしても、食肉消費を減らすことができるわけではなく、ひいては温室効果ガスが削減できるわけでもありません。また、副産物を活用するからこそ日々摂取することができる価格帯になり、私たちが肌や髪、筋肉へのポジティブな効果を享受することができることになるわけです。

コラーゲンは削減すべきもの?~フードロスの観点から~

 SDGsとして提示されている目標のうち、「目標12『つくる責任、つかう責任』 」としてフードロスに関連するものが掲げられています(4。この目標は、製造→小売→消費者という食品の流通の過程において、賞味期限が残っているなどまだ食べられるのにも関わらず、経済的な理由で廃棄されてしまう食品を削減しようというものです。
 食肉において、製造段階においては現在もほとんど廃棄されている部分はなく、副産物は皮革や油脂、肥料などとして余すところなく活用されています。その一端を担うのが、近年さまざまな健康機能が研究されているコラーゲンペプチドということになります。

非動物性コラーゲン―Vegan collagen

 コラーゲンをご存知の方であれば、ヴィーガンコラーゲンという単語に違和感を覚えることでしょう。現在、遺伝子組み換え微生物を用いてコラーゲンペプチドを生成することが研究されています。1リットルあたり0.5g~くらいの濃度でヒトのコラーゲンペプチド(1, (2やゼラチン(3と同様の構造の分子を生成したという研究が報告されています。これらの研究はタンパク質の生合成や翻訳後修飾のしくみを解明するため、および、医療用に用いられる高純度の物質を効率的に製造することを目的として進められているものです。SDGsが世に広まっている昨今、このような非動物性のコラーゲンペプチドが市場に登場することになるかも知れません。

まとめ

 コラーゲンペプチドはたしかに動物性素材ですが、フードロスの観点からはむしろ消費すべきものであることがわかりました。食肉消費を完全にゼロにすることは難しく、その過程で発生するコラーゲンを人に有用な形(機能性原料やたんぱく源として)で摂取することこそが、むしろSDGsなのではないでしょうか。
 コラーゲンペプチドは近年機能性研究がさかんに行われており、肌や髪関節筋肉(※青字はリンクになっています)などへの効果が確認されている他、高齢者の摂取も推奨されている機能性成分です。また、味や特性に優れることから、飲料や粉末だけでなくさまざまな食品にご使用いただけます。
 SDGsを念頭に置いた上で、食品という形で上手にコラーゲンペプチドと付き合っていくことが重要です。活用方法が多岐にわたる機能性食品素材―コラーゲンペプチド、この機会にぜひご検討してみてはいかがでしょうか。

【参考文献】
1)P David Toman et al.,Production of Recombinant Human Type I Procollagen Trimers Using a Four-gene Expression System in the Yeast Saccharomyces cerevisiae,PROTEIN SYNTHESIS POST-TRANSLATION MODIFICATION AND DEGRADATION,2000.

2)Bodo B et al.,Production of triple-helical recombinant human collagen in P. pastoris,Annual meeting industrial microbiology and biotechnology, Anaheim, CA, USA,2004.

3)Appl Environ Microbiol,66.1.304-309.,2000.

4)国連開発計画 駐日代表事務所 目標12: つくる責任つかう責任
https://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/sustainable-development-goals/goal-12-responsible-consumption-and-production.html

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