2021年10月に、アメリカの自然派食品スーパー大手「Whole Foods Market(ホールフーズマーケット)」が2022年の食品トレンド予測を発表しました。今回のコラムでは、前回に引き続き、実際にWhole Foods Marketで販売されている各トレンドの市販品を紹介します。
(調査日:2021年12月)
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Whole Foods Marketによる2022年食品トレンド予測〜市販品を紹介(1)
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Whole Foods Marketによる2022年食品トレンド予測〜市販品を紹介(3)
アメリカ・ニューヨーク州を拠点とするRuby社はオーガニックのハイビスカス・ウォーターを展開しています。同社の商品は「無糖タイプ」と「微糖タイプ」の2種類で、無糖タイプは水とハイビスカスのみでつくられ、微糖タイプには6gのきび砂糖が加えられています。原材料のハイビスカスは、アフリカ西部の国ブルキナファソにある、エシカルな(環境や社会に配慮した)農家で栽培されたものです。アメリカでは肥満が社会問題となっており、砂糖を含む飲料の消費量が多いことが肥満の原因の1つとされているため、Ruby社は甘い飲料の代替品として、美味しくて、より体に良い飲料を消費者に提供することをコンセプトとしてハイビスカス・ウォーターを販売しています。同社は2020年に設立された新しい食品企業です。
Golden State Cider社は、「ドライサイダー」と呼ばれるりんごを使ったアルコール飲料を製造・販売しています。ドライサイダーは、水や砂糖を加えずに、りんご果汁を発酵させて作られ、日本では「シードル」とも呼ばれます。同社が使用するりんごはアメリカ西海岸(カリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州)の契約農家で栽培されたもののみで、商品ラインナップには、ハイビスカスの花を加えたドライサーダーもあります。りんごを使ったアルコール飲料は一般的にゴールドに近い色合いですが、同商品はハイビスカスが使われているため、透き通った赤色をしているのが特徴的です。またアルコール度数は5.8%で、フレッシュなベリー系の香りがします。
アメリカ・カリフォルニア州を拠点とするGreenbar Distillery社は、テキーラ、ウォッカ、ウイスキー、ジンといった蒸留酒を中心に製造・販売しています。あわせて、お茶やハーブ、スパイスを使った炭酸のノンアルコールカクテルも手掛けています。商品展開は、オレンジ、アールグレイ、ラベンダー風味の3種類で、1缶(355ml)あたり13kcal、砂糖の含有量は1g、そして同商品に配合されるハーブやスパイスは、ジャスミン、ゴボウ、リンドウ、カモミール、八角、シナモン、ネロリ等など多岐にわたります。またGreenbar Distillery社は、蒸留酒ボトル1本の販売につき中央アメリカの熱帯雨林に1本の植林を行ったり、商品ボトルラベルには100%リサイクル紙使用したりと環境に優しい取組みを実施することも企業コンセプトとしています。
アウトドアウェアを製造・販売するパタゴニア社は、食品事業パタゴニアプロビジョンズにおいて、環境負荷が少なくサステナブルな食品を手掛けています。パタゴニアプロビジョンズは、2016年に世界初となる多年生穀物「カーンザ」を使用したクラフトビールLong Root Pale Aleの販売を開始しました。カーンザは多年生であるため、1年で枯れてしまう小麦のように毎年畑を耕したり、植え替えたりする必要がなく、農作業から排出される二酸化炭素を削減することができます。また、カーンザは長い根を持つため、大気中の二酸化炭素や窒素を他の穀物よりも多く封じ込めることが可能です。現在パタゴニア社は、カーンザを使用したビールを3種類販売しています。
Fix & Fogg社はナッツバターを手掛けるニュージーランドの食品企業で、アメリカをはじめオーストラリアやシンガポールなどグローバルでも商品を販売しています。商品展開は、ピーナッツバター、アーモンドバター、カシューバターなど、シンプルなナッツバターに加え、複数のナッツや種子をブレンドしたものがあります。「Everything Butter」という商品には、8種類のナッツと種子(ピーナッツ、ひまわりの種、かぼちゃの種、亜麻仁、アーモンド、ヘンプシード、チアシード、胡麻)がブレンドされています。その他の原材料は胡麻油と塩のみで、1食(30g)あたり170kcalとなっています。なお同社は、社会や環境に配慮した事業活動において一定の基準を満たした企業に与えられる国際的な認証制度である「B Corp認証」を取得しています。
アメリカ・カルフォニア州を拠点とするThree Trees社は、アーモンドミルクやオーツミルクなどの植物性ミルクを展開しています。「Organic Oat & Seed Oatmilk」という商品は、3種類のスーパーシード(ひまわりの種、かぼちゃの種、亜麻仁)をブレンドしたオーツミルクです。一般的に植物性ミルクには植物油が使われることもありますが、同社によると、原材料に植物の種子を使用することにより、植物油がなくてもオーツミルクに、クリーミーさ、美味しさ、そして栄養素が加わるとのことです。また同社は、原材料を調達する農家の選定から製品パッケージまで、環境と社会を意識したサステナブルな製品づくりを行うことをコンセプトとしています。
今回の市販品紹介では複数の飲料を取り上げましたが、アメリカでは飲料においても「ヘルシー」「シンプルな原材料」「環境や社会に優しい」をコンセプトにした商品づくりが増えていることがわかります。トレンドの市販品紹介は、次回が最終回となります。
【参考資料】
Whole Foods Market Forecasts Top 10 Food Trends for 2022 (2021.10.18リリース)
https://media.wholefoodsmarket.com/whole-foods-market-reveals-top-10-food-trends-for-2022
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