食品開発の切り口~テクスチャーで新規マーケットを創造

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食品開発において、何か新しい切り口はないかと探されている方はいませんか? そこで今回ご紹介したいのが、「テクスチャー」についてです。

消費者ニーズが多様化する中、テクスチャーをポイントにおいて活用することで、とがった製品コンセプトが生まれたり、大きな相乗効果が生み出されたりする可能性もあります。

本記事では、テスクチャーとおいしさとの関係や、乳飲料のテクスチャー分析の事例などから、テクスチャーが持つ新規マーケットへの可能性を考えてみます。

テクスチャーとおいしさの関係

テクスチャーとは、口当たり、歯ごたえ、のど越し、粒状感など、口腔内で感じられる物理的性質の総称です。IFT(インターナショナルフードテクノロジスト)によると、口中の皮膚または筋肉感覚で知覚される、食品の性質、粗さ、滑らかさとされています。

もっとわかりやすく言えば、「かたい」「やわらかい」「脂っこい」「クリーミー」「こしがある」「まろやか」「もっちり」「ジュワっ」などのことです。日本には特にこうしたテクスチャーを表現する言葉が多く存在します。

テクスチャーは、「おいしさ」の構成要素である次の4つの分類のうち、食物自体の特性の中の細分類「物理的要因」に含まれます。

【おいしさの構成要素】
・生理的要因
・心理的要因
・観念的要因
・食物自体の特性
化学的要因:甘味・酸味・塩味・苦味・旨味・辛味・渋味
物理的要因:テクスチャー、温度

この食品のおいしさを決める要素のうち、テクスチャーが占める割合は多いと考えられています。食品74種、100人に対して行われたある実験の結果では、芳香、外観、色、風味、テクスチャー、その他のうち、食品のおいしさを決める要素として、テクスチャーはトップで30%を超える割合となりました。

飲料における
テクスチャーの重要性

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事例:乳飲料のテクスチャー分析

ここで、テクスチャーが有名食品メーカーにおいてどのように活用されているのかを知るべく、乳飲料のテクスチャー分析の事例をご紹介します。

定番の乳飲料の味を味覚センサーで分析する、味分析を行いました。
今回分析に使用したのは、4つの飲むタイプのヨーグルト飲料です。

まず各社で酸味、甘味、苦味、渋味、旨味、コク味、ミルク感の6つの項目を味覚センサーで比較しました。その結果、酸味、甘味、ミルク感に大きな差がみられました。特に酸味と甘味については大きな開きがありました。

しかし、酸味と甘味のバランスは、どのメーカーのものも相関があることもわかりました。定番ブランドの味には、酸甘味のバランスには黄金バランスがあると考えられます。

ヨーグルト製品においては、酸味は菌による発酵の影響によっても変わることから、各社は絶妙な酸味と甘味のコントールをしていると思われます。また各社ともこの黄金バランスを変えないようにしているのか、極端な差別化はされていません。

続いて、2つのテクスチャー分析の結果をみていきましょう。

テクスチャー分析①「粘度」

テクスチャーの中でも、ヨーグルト飲料に特徴的な粘度についてです。測定の結果、このように4社とも大きな粘度の違いがあることがわかりました。いずれも無脂乳固形分が8前後ですが、粘度にはそれぞれに特徴があることがわかります。

テクスチャー分析②「流動曲線からの解析」

続いては、横軸の「飲み込むときに感じる粘度」と、縦軸の「口に含んだときの粘度」の解析結果です。A社は、口に含んだとき、のみ込むとき両方に軽さがあります。一方、C社は両方重い結果となりました。

この分析結果より、単に、口に含んだときの粘度からくる食感だけでなく、飲み込むときに感じる食感も、製品によって特徴があることがわかります。

テクスチャーと新規マーケットの創造

テクスチャーは、現代の多様化する消費者ニーズに対して、その一端を担い、食品開発のヒントになるかもしれません。

例えば、差別点としてテクスチャーを工夫することで、より製品コンセプトをとがらせ、競合商品がひしめく中で存在感のある商品が生まれる可能性があります。

テクスチャーを工夫することで、新たな嗜好を持つ消費者を取り込むことができる可能性もあります。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。テクスチャーはおいしさを決める非常に大きな要因の一つとなっています。また、テクスチャーは食品開発のうえで大きなウエイトをしめ、ヒット商品開発のヒントになる可能性も高いものです。テクスチャーで新たな嗜好を持つ消費者を取り込むことも考えてみてはいかがでしょうか。

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