ジャムや飲料に使用されている増粘多糖類のペクチンを機能性関与成分とする商品が、機能性表示食品として届出が受理されました。ペクチンはこれまでも食物繊維として様々な健康機能が注目されており、コレステロール値低下効果、便秘改善効果、血糖値上昇の抑制効果などが研究されてきました。その一方で、機能性表示食品として届出が受理された商品は存在せず、第一号が期待されてきました。今回当社が、ペクチンとして初めて機能性表が受理されました。その内容を見ていきましょう。
始めにペクチンについて振り返ってみましょう。ペクチンは、リンゴの搾滓やレモン、グレープフルーツ、ライム、オレンジなどの柑橘類の皮を原料とする増粘多糖類です。飲料やジャムなどに利用されており、食品の食感を改良したり、果汁飲料に粘度を付与したりとさまざまな物性改良機能を有しています。フルーツ由来の食物繊維の側面も有し、様々な健康機能も知られています。
今回の機能性表示の届出番号はI266になります。機能性関与成分は「りんご由来HMペクチン」になり、表示しようとする機能性は「本品にはりんご由来HM ペクチンが含まれます。りんご由来HM ペクチンには、食事と一緒に摂取することで食後の血糖値の上昇をおだやかにする機能が報告されています。」になります。この届出システマティックレビューの中で、科学的根拠になった論文を見ていきましょう。採用論文となったAnne J.Wanders et al., (2014) では、オランダのワーゲニンゲン大学で健康な男性29名 (18-30歳) を対象に試験を行いました。スムージー状の軽食にりんご由来HMペクチン10gを添加したところ、食後の血糖値の上昇度合いが有意に低下が報告されており、これが根拠論文となっています。
血糖値の上昇抑制の機能性素材としては、難消化性デキストリン、サラシア由サラシノール、グァーガム分解物、イヌリンなどが知られています。今回、ペクチンが新たに機能性表示の届出が受理されたとことで、新しい風が期待されます。ペクチンは、ジャムや飲料などで長年使用されている実績があるとともに、近年ではSDGs素材としても捉えられており、今回の届出受理はその価値を一層高めるものになります。その一方で、摂取量の多さには課題があり、今後は低用量摂取時の研究にも注目です。
ペクチンの初の機能性表示届出受理について説明しました。単なる増粘剤・ゲル化剤に留まらない役割に、なお一層期待されます。
参考文献
Anne J.Wanders et al., Pectin is not pectin: A randomized trial on the effect of different physicochemical properties of dietary fiber on appetite and energy intake Physiology & Behavior Volume 128, 10 April 2014, Pages 212-219
今注目を集めている食品トレンド情報や
食品開発に関する資料を
無料でご提供しています。
是非この機会にご覧ください。
ペクチン、ゼラチン、キサンタンガム、
カラギナンなど
ハイドロコロイドに
ついて徹底解説。
ハイドロコロイドの概要から、
各種の特徴を全75ページにわたって
徹底に解説しています。
是非ご覧ください。
食品の企画・開発に関わる人のための専門メディア「食品開発ラボ」は、ユニテックフーズ株式会社が運営しています。
当社では創業以来独自の素材・製品で新しい食品の価値を創造することをコンセプトに、ペクチンをはじめとするハイドロコロイドの研究や素材を組み合わせたこれまでにない特性を持つ製品の開発、加えてお客様のご要望に応じた当社製品を実際の食品に用いた利用・応用技術の開発を行っています。
商品企画・開発において何かお困りごとがあれば、きっと当社がお役に立てると思います。
是非お気軽にお問い合わせください。