2022年3月8日から3月12日にアメリカ・カリフォルニア州アナハイムにてNatural Products Expo Westが開催されました。ナチュラル、オーガニック、健康食品および生活用品に関するアメリカ最大規模の展示会であり、最新トレンドが集結する場でもあります。この記事では、主催者が発表した今展示会のトレンド6選と、アメリカのナチュラル、オーガニック業界の最新商品をご紹介します。
(調査日:2022年6月)
消費者のあいだで健康やウェルネスに関する関心が高まり、機能性食品および飲料の需要が増えています。特に注目を集めている成分がアシュワガンダです。アメリカの市場調査会社SPINSによると、アシュワガンダは店舗およびオンラインで162%の成長となっています。そのほかには集中力を高める目的のヌートロピック(nootropics)、そしてコロナ禍の収束に伴いエクササイズを再開する人が増えたことによるRTDプロテイン、および水分補給を助けるサプリメントの需要が拡大しています。
Good Beverage社はアダプトゲン*入り機能性炭酸飲料(商品名:Heywell)を手掛けるスタートアップ企業です。アシュワガンダや、アムラベリー、チョウセンゴミシ、レモンバーム、L-テアニンなどを配合し、免疫力向上やストレス緩和を訴求する商品です。フレーバーは、ライム、グレープフルーツ、ストロベリーレモン、ブラックベリージンジャーの4種類で展開されています。
*アダプトゲン:身体的および精神的なストレスへの抵抗能力を高める働きを持つ天然のハーブや植物、根などの天然の原料を意味する。
オーガニックカテゴリーは、あらゆる要素によって成長し続けています。例えば、アシュワガンダはオーガニックカテゴリーでも人気があり、ポジティブな気分や睡眠をサポートする商品も需要が高まっています。これまでジャンクフードとみなされていた炭酸飲料にもオーガニックが浸透し、なかでも増えている商品が腸内の健康を謳う炭酸飲料です。そしてリジェネラティブ農業(環境再生型農業)*を取り入れる企業もあります。
Alec’s Icecream社は、こだわりの材料で昔ながらのアイスクリームを販売するメーカーです。使われている牛乳は、乳糖不耐症の人が感じる胃腸の不快感が出にくいA2タイプであり、オーガニックかつリジェネラティブな方法でつくられたものである点も特徴です。フレーバーは、タヒチアンバニラ、塩キャラメルラテ、抹茶チョコレートチップ、はちみつブルーベリーラベンダーなどがあります。同社の商品は「リジェネラティブ・オーガニック認証」を取得済みです。
*リジェネラティブ農業(環境再生型農業):不耕起栽培、有機肥料や堆肥の活用、被覆作物の活用、輪作や間作などによって土壌を修復・改善しながら自然環境の回復に繋げることを目指す農業。
世界最大規模のサステナビリティに関するデータベースを提供する企業HowGood社によると、世界の温室効果ガスの3分の1以上が食産業から排出されています。また70%の消費者が、よりサステナブルで、温暖化防止に役立つ商品にお金を支払うというデータもあります。
The Urgent Company社は、環境にやさしい非動物性アイスクリームとケーキミックス(ブランド名:Brave Robot)を展開するスタートアップ企業です。最新の精密発酵(precision fermentation)技術で作られる代替タンパク質を原材料に使うことで、従来の牛乳入りアイスクリームと同じ風味を実現しています。Brave Robotアイスクリームは、従来品と比較すると温室効果ガスの排出は72%減、石油・石炭・天然ガスなどの枯渇性資源の使用は61%減、水の使用は23%減になると同社は公表しています。
近年は、女性や、マイノリティ、LGBT、退役軍人によるビジネスが活発になってきており、今回の展示会でもこういった企業からの出展が数多く見られました。
Twrl Milk Tea社は2人のアジア系アメリカ人女性が創業した企業で、えんどう豆ミルクを使用した植物性ミルクティーを展開しています。窒素ガス(nitro)を注入することで、なめらかでクリーミーな味わいに仕上げている点も特徴です。フレーバーは、紅茶、ほうじ茶、ジャスミン茶の3種類で、1缶(222ml)あたり45〜50kcal、甘味付けにはアガベシロップが使われています。
植物由来は、過去5年間で最も大きなトレンドの1つであり、現在も市場が拡大しています。しかし、もはや植物由来というキーワードだけでは十分ではなく、企業は食感や味を良くしたり、栄養価を高めたりと改善に取り組んでいます。
Crafty Counter社は100%植物由来のゆで卵を手掛けています。原材料には、水、カシューナッツ、アーモンド、ココナッツミルクなどが使用され、ターメリックを用いて黄身の色を再現しています。1個あたり45kcal、1.5gのタンパク質を含み、非遺伝子組み換え、グルテンフリー、コレステロールフリーの商品です。2022年中に発売が開始される予定です。
サステナブルな肉と乳製品の売上は前年対比2.1%減となりましたが、そのなかでもグラスフェッドやフェアトレード、アニマルウェルフェアといった領域で成長が見られます。また小規模なローカル農家も新しい切り口で進化を遂げています。
Hart Dairy社はサステナビリティかつアニマルウェルフェアに取り組む乳業メーカーです。同社の牛乳は牧草を餌として365日放し飼いで育てられた乳牛から搾乳しており、Certified Humane認証(人道的に育てたマーク)を取得しています。またHart Dairy社はリジェネラティブ農業を推進することで、2023年にカーボンポジティブ*の実現を目指しています。
*カーボンポジティブ:一連の活動のなかで、再生可能エネルギーへの切り替え、森林保護や植林などによって、温室効果ガスの排出量よりも吸収量を大きくすること。
アメリカのナチュラル、オーガニック業界では次々に環境や社会に配慮した商品が発売されています。サステナブルというキーワードは現時点ではトレンドという位置付けですが、今後アメリカのこの業界ではサステナブルであることが商品開発のスタンダードになっていくのかもしれません。
【参考資料】
https://www.newhope.com/products-and-trends/navigating-expo-recap-must-know-trends-expo-west
https://www.newhope.com/products-and-trends/nexty-awards-finalists-natural-products-expo-west-2022
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