商品開発で増粘多糖類を使っている際、「なんか粘度が出にくいな」「溶解性が悪いな」「いつもより粘度が高い気がする」など感じたことはないでしょうか?増粘多糖類の力価に影響を及ぼす要因はいくつかあります。今回は中でも食塩の影響について解説します。
増粘多糖類は分子内に電荷を持つものと持たないものがあります。以下に代表的なものを例示しました。
特に負電荷を持つ増粘多糖類を使用する場合は、食塩の存在に留意する必要があります。食塩のナトリウムイオンが増粘多糖類の負電荷を見かけ上中和することで電荷の反発が弱まり分子同士が接近しやすくなります。その結果、食塩を添加しない場合に比べて増粘します。別の例としては電荷をもつ官能基に結合しているH+の解離が食塩によって増大し、結果的に電荷の反発が増すことで増粘多糖類の分子同士が離れることもあります。その結果、溶媒中での増粘多糖類分子のふるまいが変化し、期待する効果を得られないことがあります。
キサンタンガムは、食塩の存在で粘度が増加することが知られています。こちらに食塩濃度を変化させたときのキサンタンガムの粘度の挙動を示しました。食塩濃度の上昇に伴って、粘度が1.3~1.6倍程度上昇していることが分かります。
食塩とキサンタンガムを溶解する順番も重要で、食塩溶液にキサンタンガムを加えた場合、負電荷の反発が抑えられてしまいます。その結果、溶解までに時間がかかったり、溶解が不十分になったりします。キサンタンガムを十分に溶解するためにはキサンタンガム溶液に食塩を後から加える方法が適しています。
このほか、例えばペクチンは負電荷をもつ官能基に結合しているH+の解離が食塩によって増大し、結果的に電荷の反発が増すことで、粘度が低下する場合があります。また、多糖類ではないですがタンパク質のゼラチンは食塩の存在により分子が凝集して力価が低下する場合があります。
粘度に限らず、増粘多糖類の力価変化には様々な要因があります。増粘多糖類を使用していて生じた疑問などはお気軽に弊社までご相談ください。
・参考文献
國崎直道「食品多糖類」、2015.
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