タマリンドガムはマメ科のタマリンドの種子の胚乳から得られる多糖類になります。耐熱性、耐酸性、耐塩性など様々な特性を有しています。本コラムではタマリンドガムの基礎から食品への応用例まで解説していきます。
タマリンドガムはマメ科のタマリンド (Tamarindus indica) の種子の胚乳から得られる多糖類になります。タマリンドはインド、東南アジアなどで栽培されています。種子の胚乳部分を、熱水処理、アルカリ処理、酵素処理などの方法により抽出され、食品へ利用されています。
β-1,4結合したグルコース主鎖に対して側鎖としてキシロースやガラクトースが結合した構造を持ち、キシログルカンに分類されます。分子量は約65万と推定されています。
タマリンドガムは多くの側鎖を有し、水に容易に溶解します。ニュートン流動を示すため、せん断速度に関わらず粘度がほぼ一定です。またデンプンと同様に曳糸性は弱いです。
食塩、pH、熱に対して比較的安定で、影響を受けにくいとされています。タマリンドガム、グァーガム、ローカストビーンガム溶液を加熱処理 (97℃、2時間) した際の粘度低下の度合いを比較した試験では、タマリンドガムはグァーガム、ローカストビーンガムに比べて粘度が低下し難いことが報告されています。
一定量の糖分もしくはアルコールを添加することで、ゲルを形成します。酸性~中性領域でゲル化し、特に酸性側で強度の高いゲルとなります。
ソース…加熱による粘度低下の抑制やフレーバーリリースの向上、果肉等の分散維持に使用されることがあります。
パン…米粉パンの食感改良への検討がされています。
ドレッシング…増粘やだれ防止のために使用されることがあります。
アイス…氷晶の成長抑制や保形性の向上に使用されることがあります。
タマリンドガムは優れた保水性に加えて様々な機能を有しているため、多くの食品で活用されています。ぜひ商品開発にお役立てください。
参考文献
・國崎直道・佐野征男 『食品多糖類』 幸書房 2001年
・平出ほか 応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌/10 巻 (2020) 1 号 p. 53_2-54
・岩田ほか 食品と開発 57 (4), 80-82, 2022-04
・François Muller et al., Biomacromolecules. 2011 Sep 12;12(9):3330-6. doi: 10.1021/bm200881x. Epub 2011 Aug 22.
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