2023年7月25日、消費者庁が「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」の一部改正案についてパブリックコメントの募集を開始した。8月7日まで募集していましたが、新たなガイドラインの改正案では届出内容の責任の所在の明確化などとともに、システマティック・レビューのPRISMA声明 (2020年) への準拠が求められています。従来のPRISMA声明 (2009年) から変更により、機能性表示食品の届出にも大きな影響が及ぼすことが予測されています。いったい、PRISMA声明 (2020年) とはどのようなものなのでしょうか。説明していきます。
目次
PRISMA声明とは、システマティック・レビュー(SR)とメタアナリシス(MA)の優先報告項目のステートメント(Preferred Reporting Items for Systematic reviews and Meta-Analysis) を指し、システマティック・レビューの質の向上のために発表された国際指針になります。機能性表示食品制度においては、機能性関与成分の科学的根拠を示すためにシステマティック・レビューを行いますが、その際にはPRISMA声明 (2009年) に準拠することが求められています。そのためPRISMA声明は機能性表示食品制度に欠かせない構成要素となっています。
現在は2009年版のPRISMA声明に準拠していますが、2020年に更新されたPRISMA声明 (2020年) が発表されました。こちらは、研究を同定や評価するなどの方法論が発展し、2009年版の不十分な点を補ったものとなっています。ガイドラインの一部改正案では、2025年4月1日以降の届出はPRISMA声明 (2020年)に準拠することを盛り込んでいます。また既存の届出においても、届出変更する際は随時PRISMA声明 (2020年) に準拠することを盛り込んでいます。
2009年版から、2020年版に準拠するものが変更されことにより、システマティック・レビューの手順が変わってしまうため、具体的に新基準にどのように対応すればよいのかということに、各社関心が高まっています、しかしながら、具体的な個別の事例の手順については公表されておらず、どのように運用すればよいのかはっきりされていない部分が多いです。また、ガイドラインの一部改正案についてのパブリックコメントの結果も公表されていないため、現時点では変更点の全貌が明らかになっていない状況です。
PRISMA声明 (2020年) 準拠への移行は、機能性表示食品制度に大きな影響を与えます。その一方で、まだまだ不透明な部分も多い状況です。システマティック・レビューの指針であるため、機能性関与成分の科学的根拠の妥当性に正に関与します。そのため、この内容更新の動きには今後も注意を払う必要があります。
参考文献
「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」(令和4年4月1日付け消食表第136号:課長通知)の一部改正案について(概要)https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000256887
上岡ほか 「PRISMA 2020 声明: システマティック・レビュー報告のための更新版ガイドライン」の解説と日本語訳 Jpn Pharmacol Ther(薬理と治療)vol. 49 no. 6 2021
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