売れる食品を作るというのは、食品会社において永遠の課題です。一方で、消費者ニーズはますます多様化し、消費サイクルは短くなり、インターネット上では商品に対する各々の感想が溢れかえっていて、以前よりも多くの人に刺さる商品開発が難しくなっているように思われます。今回のコラムでは、食品のトレンド本から食品開発のヒントを探っていきたいと思います。本には情報の厚みや深さがあり、売れる食品、売れてきた食品の背景がネットニュースよりもよく伝わってきます。今回は食品開発担当者必読の3冊を紹介します。
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近年の食品でのヒット商品として挙げられるのが、グミです。2000年前後では約200~300億円であった市場規模が、2023年には3~4倍に成長したと言われています。スーパーやコンビニの棚にも実に様々なグミ商品が置かれ、皆さんも以前よりグミを食べる機会が増えいないでしょうか?このグミブームの背景に迫ったのが『グミがわかればヒットの法則がわかる』 (白鳥 和生 著) です。著者は同書で、グミには5つの顔があると下記のように定義します。
①「幸せ感」につながる小腹満たし・気分転換ニーズを満たす
②「コスパやタイパ」につながる代替ニーズを満たす
③「楽しさ」につながるバラエティーの豊かさ
④「期待感」が高まる相次ぐ新商品の登場
⑤「つながっていることを実感」できるコミュニケーションツール
グミがもはや単なる小腹を満たすお菓子の存在ではなく、楽しさやつながりをもたらすコミュニケーションツールとして扱われていると同書では述べています。あわせて、同書ではグミメーカー各社のコメントやグミ市場の売上などのデータも豊富に掲載されており、メーカーの狙いや市場動向についても詳細に語られています。SNS時代、アフターコロナ時代における、コミュニケーションツールとしてのグミという存在には、今後の食品のヒントが詰まっています。
グミがわかればヒットの法則がわかる 白鳥 和生 著
プレジデント社 184p 1,870円(税込)2024年4月発売
日本の食品開発の歴史は、コンビニの存在抜きに語ることが出来ません。パラシュート型包材おにぎり、レンジ麺、中華まんなど数々のヒット商品を連発しています。そのようなコンビニ各社の商品開発の背景に迫ったのが、『コンビニおいしい進化史』 (吉岡 秀子 著) です。同書では、コンビニ大手三社のセブンイレブン、ローソン、ファミリーマートのヒット商品の開発の裏側に明らかにしています。『シャキシャキレタスサンド』、『からあげクン』、『ファミチキ』といった誰もが知る商品の、誕生経緯、開発の苦労などを知ることが出来ます。同書では40年以上にわたるコンビニの商品開発の軌跡がまとめられています。おいしさ、手軽さに軸に、時代に合わせて健康、高級性、環境負荷軽減といった価値観も取り入れながらも、消費者ニーズに応える変わらないコンビニの姿勢が伝わってきます。
コンビニおいしい進化史 吉岡秀子 著
平凡社 216P 880 円(税込) 2019年12月発売
今後の商品開発において、食に押し寄せる技術の発展も見逃せません。フードとテクノロジーを掛け合わせた造語が「フードテック」は、食の最先端の技術、食分野のイノベーションを指しています。具体的なテクノロジーとして、食のVR/AR、フードロボ、代替たんぱく源、脱プラパッケージなどになります。フードテックは、食糧不足や飢餓の問題の解決、環境負荷の軽減といった社会課題だけではなく、健康や個別最適化食の提供といった個人の豊かさに貢献するものとして期待されています。『フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義』では、フートテックの背景、現状、取り組み内容、実装される社会の方向性、日本の課題など様々な内容に言及しております。特に同書では、日本がフードテックの最先端から取り残されていることに対する危機意識に、繰り返し触れています。最先端から取り残されている一方で、日本は食や料理に対する関心が高いことや、高齢化などの社会課題に最前線で直面することから、日本だからこそ担えるフードテックがあることを述べ、それに向けて取り組む重要性を訴えます。フードテックを通じた世界の地殻変動がある中、商品開発においてもこうした流れは無視できない状況です。
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義 田中宏隆、岡田亜希子、瀬川明秀 著/外村 仁 監修
日経BP 400P 1,980円 2020年7月発売
今回は、商品開発に役立つ3つの食品トレンド本を紹介しました。日々発展を続ける食品産業において、その全容を把握することは至難の業です、今回紹介した本が食品トレンドを把握することに役に立ち、商品開発のヒントとなれば幸いです。
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