腸は、私たちの健康と密接に関わっており、「心身の健康は、腸内環境で決まる」と言っても過言ではありません。近年では、“腸美人”という言葉が社会でも浸透しつつあり、食品関連企業でも、腸美人になるための商品開発やレシピの公開等が行われています。社会全体として、腸内環境に注目する人が増え、腸内環境を改善するための商品への需要が高まっているのです。腸内環境改善需要の高まりに沿って、実際にどのような商品が発売されているのかをご紹介します。
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腸美人とは、腸内フローラと呼ばれる、腸内の微生物の集まりの構成比が正常な状態であるきれいな腸の人をさします。この構成比が保たれていると、腸の様々な働きが活発に行われ、私たちの心身にも良い影響がもたらされます。反対に、便秘に悩まされている、太りやすい、ストレスを抱えている、そのようなお悩みは、腸内フローラのバランスの乱れから生じている可能性が高いです。
腸内環境を整えることで心身へ良い影響がもたらされることは世間でも広く受け入れられており、株式会社ビズキによる調査1)では、腸活から期待できる効果として、全国の調査対象女性の約6割が便秘や下痢の改善を、約半数が免疫力の向上や美肌効果等を挙げています。これは、近年の健康志向の高まりから多くの人が腸活への関心を高め、その効果を実感している人が増えていることの現れかもしれません。
では、腸の働きにはどのようなものがあるのでしょうか。腸は、一般的に知られている消化や栄養素の吸収、水分の吸収だけでなく、解毒や浄血、ホルモンの生成等様々な役割を担っています。その役割の幅広さから、腸が私たちの健康にとって非常に重要な器官であることはお分かりいただけると思います。腸内環境が良好な状態であると、これらの働きがスムーズに行われ、私たちの心身にもその影響が表れてくるのです。
ここで、腸が心身に与える影響について言及します。腸は「第二の脳」とも呼ばれ、腸内細菌が脳の機能に影響を与えます。腸内環境が乱れると、ストレスや不安を感じやすくなることが研究で示されています2)、3)。特に、腸内細菌が生成するセロトニン(幸せホルモン)の量は、気分の安定に関係があり、腸内環境による精神的影響はとても大きいと考えられます。また、腸には体内の約70%の免疫細胞が存在し、健康な腸内環境は免疫力を高めるのに役立ちます。他にも、腸内環境が整うことで睡眠の質が向上したり、体内の炎症を抑制したりします。このように、腸と脳には濃密な関係があるために心身への影響も大きく、健康に生きていくためには腸内環境を整えておくことが必要不可欠なのです。
ダノンジャパン株式会社の調査によると、2024年の調査対象者20-60代の男女のうち、「腸活を知っている」と回答した人は83.3%。そのうち73.6%が、「腸活に興味がある」という回答でした 4)。腸内環境を整えることについて多くの消費者が関心を持っていることが読み取れます。
しかし、全体の43.5%が腸活に対し「何が正しい方法なのか分からない」と回答したという結果も出ており、腸内環境を整えたいとは思いつつも整えられずにいる消費者も多く存在しています。このような状況の中で、食品メーカーはどのような商品を開発して消費者の腸活の手助けをしているのでしょうか。身近なコンビニエンスストアやドラッグストアで手に入る、腸内環境改善食品を見ていきましょう。
こちらは、使用する砂糖の半分をフラクトオリゴ糖に置き換えて作られた、ミルクたっぷりのミルクチョコレートです。フラクトオリゴ糖とは、体内で消化されにくいオリゴ糖の一種で、程よい甘さのある糖分です。オリゴ糖は善玉菌のエサとなるため、腸内環境改善効果があります。また、砂糖の約半分のカロリーなので血糖値への影響も少ないのが特徴です。実際に試食してみたところ、通常のチョコレートとほとんど同じ味わいに感じられ、甘いチョコレートを食べているのに腸内環境を改善でき、且つカロリーも低い、一石二鳥の商品です。
こちらは、乳酸菌と食物繊維、塩こうじ、雑穀など、腸内環境改善に役立つ原材料が沢山使われています。自宅で簡単に台湾気分が味わえ、その上に腸内環境まで改善できる優れものです。電子レンジで加熱後、お皿に移さずに袋のままで食べられるのも、この商品の特徴です。三菱食品のブランドである「からだシフト」シリーズには、他にも様々な種類の食品があり豊富なラインナップを楽しめるので、楽しく腸活を継続したい消費者から人気の商品となっています。
こちらは、北海道産の菊芋を使用して作られた、手軽に腸活ができるポタージュです。菊芋は病気知らずのインディアンの食事にも多く用いられ、イヌリン(水溶性食物繊維が豊富な多糖類)、先ほど紹介したオリゴ糖、食物繊維など腸内環境改善に効果的な栄養素が豊富な食材です。2.3万人の「食の情報の専門家」フードアナリストが選ぶ日本初の食品・食材評価制度において金賞を受賞した商品でもあり、高い品質が認められています 5)。
近頃では、コンビニエンスストアやドラッグストアで手軽に手に入れることのできる、腸内環境改善食品が増加しています。今後も、健康志向の高まりにより、そのような食品の種類はさらに増えていくと予想されます。技術の進歩に伴い、これまでにない商品が出てくるのも楽しみですね。どのような商品が出てくるのか、今後の腸内環境改善食品の動向から目が離せません。
参考文献
1) 株式会社ビズキ ”腸活”への意識が高い年代は◯代と判明!多くの人が期待する効果とは?https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000032.000033242.html
2) goodcho 腸の基本を知ろう*腸の構造・役割は? https://goodcho.aub.co.jp/intestine-knowledge/
3) 株式会社ミルテル 腸が「第二の脳」と呼ばれるのはなぜ?整腸とメンタルヘルスの関係を解説 https://www.mirtel.co.jp/column/cho-daininonou/
4) ダノンジャパン 腸活ブームのなか約2,000万人※が『腸活迷子』になっていることが明らかに https://www.danone.co.jp/news/20240917-3/
5) 一丸商店 https://ichimarushoten.com/
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