フランスにおける食品業界の動向

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フランスでは3月17日にロックダウンが始まり、5月11日に解除されました。
休止状態になった企業や商店に対し、国は社会保障費の免除だけでなく、従業員の休業手当として手取り賃金の約84%を還付するなど、失業を何としても最小限に抑えるための取り組みを実施しています。
今回は、日本より一足早く経済再生に向けた活動を開始したフランスでの、食品業界の動向をご紹介いたします。

クリック&ドライブ

外出自粛に伴い、最も成長した市場は食品のネット販売でした。 今までネットスーパーで注文したことがなかった120万世帯がロックダウン1週間目に追加客となり、そのうち50万世帯は定年退職者層でした。 この傾向はコロナウイルス終息後も継続するとみられています。
中でもネットで発注し、スーパーの受取り口に車で取りに行く、「クリック&ドライブ」は、2000年にフランスで生まれ、急成長した販売形態です。 2020年1月時点で、全国に対象店舗は約5,200店あり、平均1万のアイテムを展開しています。 このサービスでの売り上げは、ロックダウン初日から4週間で、生鮮食品が前年対比+150% (Nielsen Scantrack調べ)と最も大きく伸びました。 小麦粉、パスタ、米、砂糖、卵といったベーシックなアイテムの買いだめが主で、購入方法は進化したものの、先行きが見えない中、低価格が第一の購買条件であることが観察されています。

バー、レストラン支援

飲食店が営業を再開できるのは6月2日、他の国々と同様にテーブル間の距離は最低1m、バーでの立ち飲みは禁止等、様々な制限があり、対応に頭を抱えている店舗が多い状況です。しかし、パリは例外で、まだ屋内席は利用できず、屋外席とテイクアウトのみ営業が可能です。テラス席がなかった店もこの制限下で営業できるよう、歩道での営業許可が緩和され、規則を守るという条件でパリ市のサイトに申請するだけで一時的な許可が下りることとなりました。それでも、2ケ月以上営業ができなかった上にフル稼働できない飲食店の30%は、閉店に追いやられるという予想もされています。(写真1)

資金繰りに苦しむレストランをサポートするため、様々な活動が行われており、その代表的な活動が ジェム・モン・ビストロ(J’aime mon bistrot 私のビストロが好き) というサイトです。 ハイネケン、コカ・コーラ、酒類卸業者など、飲食店のサプライヤー60社の発案で立ちあげられ、アサヒビールやサントリーグループのシュウェップスも参加しています。

このサイトでは、支援したい店舗を選び、1.50€から50€の先払い券を購入します。この券は、店舗が営業活動を再開した際に来店して使うことができますが、店主にはすぐにキャッシュが振り込まれる仕組みとなっています。さらに最初の2万件については、先払い券額の50%をサプライヤー団体がレストランに振り込み、10€の購入があると店主は即10€の振込を受け取ることができ、営業再開時にさらに5€を受け取ることができるという2重のサポートが評価され、広がりました。 「この緊急事態下で、共通の目的に向かっていつもよりずっと迅速に意思決定ができました。 長年競合関係にあるクローネンブルグ社とハイネケン社が協力するのは異例のことです。」と、クローネンブルグ社の外食営業責任者は語っています。6月2日時点での平均購入額は40€(約4800円)で、集まった金額は合計157万€(2億円弱)ほどです。

また、バドワイザーやレフ等のブランドを持つABインベブ社が単独で立ち上げた支援サイト、バー・ソリデール(BAR SOLIDAIRE連帯バー)も同様の先払い券制で、上限は100€。 同社はさらにその金額と同額分のビールを開店時に店に供給し支援し、3百万€の予算をあてるそうです。

外食産業サプライヤーへのダメージ

レストランの閉鎖で外食産業のロスは、毎週約1億6千万食と言われています。外食産業組合のアンケートによると、レストランのサプライヤーの40%は売上マイナス75%以上というダメージを受け、62%は4月3日~8日の期間出荷することができたのは、生産量の2割にとどまったと答えています。

そんな中で比較的ダメージが少なかったと答えたのは、ノルマンディーにある乳業メーカーMLCです。MLCは生産組合ですが、乳生産、乳製品加工、そして、加工品の卸事業も営む多角経営を行っており、年商20億€。コロナの影響は事業によって大きく差があり、乳加工品は、スーパーでの売上が伸びているためほぼ影響が無く、一方、129の支店を持つ卸事業は、病院、福祉介護施設以外の集団給食、一般レストランの閉鎖で売上はマイナス40%以上となっています。 「事業の多様性は、運営が複雑になる要因ですが、同時に強みでもある。 状況が変化するにつれ、輸出分を国内向けに、外食産業向けをスーパー向けに回すなど、ダメージを少なく抑えることができた。」と同社は語っています。卸事業は、従業員の一部を自宅待機にしたものの、グループの事業継続プランに基づき、どの支店も1顧客、1マーケット専属にはしない方針が実り、ロックダウン中も全店舗が営業を続けることができました。在庫管理については、チーズのようなチルド品の一部は、衛生管理当局の監督下で冷凍、寄付枠も増やし、また、代替の販売ルートを確保するため、一部小売りの認可を受けながらB to Bに特化していた支店で一般消費者向けのドライブ販売へと転換し、1000台抱える車は、一般消費者向けの直接販売の配達車に利用したそうです。 (RIA 5月号、France Bleu5月6日、Figaro4月10日より)

 

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