前回のコラムでは、アメリカの自然派食品スーパー大手「Whole Foods Market(ホールフーズマーケット)」が発表した2022年の食品トレンド予測をお届けしました。今回から3回にわたり、実際にWhole Foods Marketで販売されている各トレンドの市販品を紹介します。
(調査日:2021年11月)
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Whole Foods Marketによる2022年食品トレンド予測〜市販品を紹介(2)
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Whole Foods Marketによる2022年食品トレンド予測〜市販品を紹介(3)
Plenty社は、カリフォルニア州サウス・サウンフランシスコ市で、サステナブルな野菜栽培を手掛けるフードテック企業です。屋内垂直農法を活用して、レタスや、ルッコラ、ケール、水菜などサラダ用の野菜を無農薬、非遺伝子組み替えで栽培しています。屋内で栽培することにより季節を問わず新鮮な野菜を安定的に供給することができ、また野菜には化学薬品、土、農薬が付着していないため、消費者は洗わずに野菜を食べることができます。Plenty社は、屋内垂直農法によって野菜の栽培に必要な土地と水の使用量を削減しています。使用する電力は100%再生可能エネルギーによるもので、製品パッケージも100%リサイクルが可能な素材です。同社は2020年に、Forward Foodingによる「Food Tech 500社」の第1位に選出されています。
Smallhold社は、ローカル、オーガニックの食用キノコを栽培し、Whole Foods Marketをはじめとするアメリカのスーパーマーケットで販売しています。同社は、ニューヨーク市ブルックリン区にキノコの栽培施設を所有していますが、アメリカの各地域にあるレストランやスーパーマーケット、バー、商品倉庫のスペースを借りてキノコを栽培し、その地域で新鮮なキノコを販売するという特徴的な取組みを行なっています。商品ラインナップには、シイタケ、マイタケ、エリンギタケ、ヒラタケ、ヤマブシタケなどがあり、消費者が自分でキノコを栽培できるキットも販売しています。
野菜や果物、ハーブ、スパイスを使って、非加熱・無濾過ビネガーを製造するAcid League社は、ゆずを使用したPink Peppercorn Honey Yuzu Vinaigretteというビネガーを展開しています。同商品はフルーティーかつ花のような香りが楽しめ、サラダにかけるだけでなく、ステーキやホタテとの相性も良いそうです。原材料には、水、リンゴ酢、エクストラバージンオリーブオイル、塩、レモン果汁、乾燥赤ピーマン、ゆず果汁、蜂蜜、ピンクペッパーコーンなどが使用されています。
またRowdy Mermaid社は、薬用キノコの一種である霊芝や、オーガニックの果物、ハーブを原材料にしたトニックウォーターを販売しています*。同社は、霊芝には免疫力を高める効果が期待されるβグルカンが含まれていることに着目しています。霊芝を使用した飲料ですが、霊芝自体の味は全く感じられず、ほのかな甘みを持つ爽やかな炭酸飲料に仕上がっているとのことです。現在4種類のフレーバーが販売されており、そのうちの1つが抹茶・ゆずフレーバーです。原材料には、水、きび砂糖、緑茶、抹茶エキス、タンジェリン(みかんの一種)パウダー、ゆず香料、霊芝エキスなどが使用されています。
*トニックウォーター:炭酸水に香草や果皮のエキス、糖分を加えた清涼飲料水。
アメリカ食品大手ゼネラル・ミルズ社のミートスナック製造子会社であるEpic Provisions社は、ビーフ、バイソン、チキン、ポーク、鹿など多彩なラインナップのジャーキーを販売しています。原材料として使用される家畜のうち、特に牛、鹿、子羊は100%グラスフェッド(牧草飼育)で育てられています。グラスフェッドは、家畜が自然に近い環境で放牧されて牧草や干し草を食べて育つため、健康やアニマルウェルフェアを意識する消費者から最近注目を集めています。同社は、美味しいミートスナックをつくる過程において、家畜や環境にも配慮した製品づくりを行うことをコンセプトとしており、環境再生型農業も取り入れています。
またオーガニック牛乳を販売するNeutral社は、アメリカで初めてカーボンニュートラルを実現させた食品企業です。同社の牛乳パックには、「This milk fights climate change.(この牛乳は気候変動と戦います。)」と記載されています。同社は、乳牛用の飼料栽培から牛乳パックの廃棄・リサイクルに至るまでに排出される二酸化炭素量を調査し、可能な限り二酸化炭素の排出を減らす取組みを行なっています。そして、それでも排出される二酸化炭素については他の酪農家と提携するなどして相殺し、カーボンニュートラルを実現させています。またNeutral社は、ビル・ゲイツ氏らが設立したエネルギー問題に特化したベンチャーキャピタル「Breakthrough Energy Ventures」から資金を調達していることでも知られています(※1)。
以上のように、アメリカでは消費者や投資家が、環境に配慮した製品づくりを行う食品企業に注目し、トレンドとなる新商品が次々と生まれています。次回は、市販品紹介の第2弾をお届けします。
(参考資料)
(※1)
https://www.fastcompany.com/90689378/bill-gates-latest-big-climate-investment-is-milk
Whole Foods Market Forecasts Top 10 Food Trends for 2022 (2021.10.18リリース)
https://media.wholefoodsmarket.com/whole-foods-market-reveals-top-10-food-trends-for-2022
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